内川に鳴かれないような切り順を選択したため、が先に切れて手の中にが孤立しているような状態だった。
もし優が自己都合で→と序盤に払っていたら、内川の選択も変わっていたかもしれない。
結果として優の丁寧な対応が、絶望的な状況に一筋の光をもたらした。
ちなみにドラはなんと4枚とも山に眠っており、内川が引いたのが1枚目だった。
当然内川は知る由もなく、を切らずに→を落としていく。
イーシャンテンだった内川は大きく後退する。
その2巡後、
リャンシャンテンだった魚谷が引いたのは。
もちろん手には必要無いが、下家の高宮に鳴かれる可能性がある。
魚谷は、手をやや狭くする打を選択。
が鳴かれる場合に高宮のテンパイスピードを下げることができるし、鳴かれる可能性が高いが手から出ない形になる。
このは他家から見ると
ソーズのホンイツを狙っていて、テンパイして溢れた牌に見える。
そうなると後がない優以外は途端に押しにくくなる。
好形のイーシャンテンだった高宮は
直後を掴む。
内川が切ったを鳴いていないので、強気に押すも…
次に引いたションパイのでギブアップ。
手を崩して完全にオリに回った。
その直後、魚谷もやっとイーシャンテンになる。
ただ既に内川・高宮がオリに回っており、対子3つのイーシャンテンではポンできる牌も出てきづらい状況になっていた。
14巡目、魚谷がツモ切ったに高宮が合わせて打。
7枚目のなので、優もチーしてカンのテンパイを取る。
少し前の巡目なら、優が仕掛けても誰かしらが押し返してきていただろう。
3人のうち誰かしらにさらっとテンパイが入り、軽く優の親番を蹴る。そんな1局だった。
しかしこうなっては誰も優に追いつくことができない。
優が山に2枚残っていたをツモり、1,000オールのアガリ。
あの4番手の絶望的な状態から、アガリにたどり着いたのは優だった。
優のアガリに繋がったポイントは、やはり7巡目の打1mだと思うが、もちろん優自身それを狙ってやった訳ではない。
ただ目の前の情報を1つ残らず拾い上げ、丁寧に対応した結果、訪れた幸運なのだ。
優はこの後の展開に恵まれ、何と27,300点の3着で終局した。
そしてギリギリではあるものの、個人成績首位をキープしている。
今回取り上げた局は、優の着順に大きく影響した局かと言われれば決してそうではない。
ただどんな逆風の中でも冷静さを失わず丁寧な一打を繰り出し、どんなか細いチャンスでも掴みとる優を象徴するような局だったため取り上げた。
幸運は、努力を積み重ねた者にだけ訪れる__
今シーズンの優は、その言葉を体現する存在になっている。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
Twitter:@EzakiShinnosuke