吹き抜けた新緑の風 5年ぶりのシャーレへ 渡辺太がドリブンズを変えていく【Mリーグ2023-24セミファイナル観戦記 4/11】担当記者 #後藤哲冶

吹き抜けた新緑の風
5年ぶりのシャーレへ
渡辺太
ドリブンズを変えていく

文・後藤哲冶【月曜担当ライター】2024年4月11日

ついに始まったMリーグセミファイナル。
レギュラーシーズンのポイントが半分になって行われているセミファイナルは、2日が経過した段階で既に混戦状態。

そんな中で、赤坂ドリブンズは苦しい戦いを強いられていた。
月曜日の試合と、この日の第1試合を含めてここまでの戦績は4着1回3着2回。
トップはおろか、2着すらとることができず、徐々にポイントを失う展開で4位まで後退している。

厳しいチーム状況の中、登板するのはセミファイナル初対局となる渡辺太
今シーズンドリブンズに新しい風を呼び込んだゴールデンルーキーに、状況の打開を託す。

暗雲立ちこめる雰囲気に、太は風穴を開けられるか。

4月12日 第2試合
東家 渡辺太 (赤坂ドリブンズ
南家 滝沢和典KONAMI麻雀格闘倶楽部
西家 堀慎吾 (KADOKAWAサクラナイツ
北家 松ヶ瀬隆弥EX風林火山

東1局

東家に座った太のセミファイナルは、決して良いとは言えない配牌からスタートした。
【1ソウ】を切って、役牌重なりも見ながらの進行をとる。

8巡目にリャンメンテンパイを入れた滝沢が、リーチに打って出る。
【2ソウ】【5ソウ】待ちの、ドラ1リーチだ。

それを受けての太。
現状安全牌は【9ピン】1枚のみ。ここは1枚切れの西を打って迂回する。
滝沢が【1マン】を対子落とししていることから、チートイツも否定されていてこの【西】はほとんど通る牌だったのも大きい。

上家の松ヶ瀬から【4マン】が出て、これをチー打【7マン】
まだ安全牌はなく、【7マン】は比較的通しやすい牌。
それならばチーしてテンパイを狙った方が良いと判断。ドラの【3ソウ】を引けば、たちまち12000のテンパイだ。

【赤5ソウ】を引いて打【3ピン】
安全牌は【7ピン】しかなく、それを切ったとて、次巡【3ピン】を切るケースがほとんどなので、ここで先にリリース。
この時から既に、太のスジカウントは始まっていた。【8ピン】が通ったことで、残りのスジは更に限定されてきている。

【2ソウ】を引き入れてテンパイ。ソーズは残りのスジを考えても厳しい所だったが、この1巡で状況が大きく変わっていた。
【2ソウ】【6ソウ】が4枚見えたことで、【1ソウ】【4ソウ】【7ソウ】のダブル無スジになっていた【4ソウ】が疑似的に中筋の牌になったのだ。

ということもあって、【4ソウ】をプッシュしてテンパイをもぎ取る。
ドリブンズらしい期待値を追った麻雀で、厳しい配牌から収入を得ることに成功した。
太と滝沢の2人テンパイで流局。

東3局1本場

太は、この手牌から打【4ピン】
素直なリーチを目指す手牌進行なら、優秀なくっつき牌である【4ピン】は残したいところだが、太はその進行をとらなかった。
その理由は、対面に座る親番堀の捨て牌にある。
堀は、役牌【白】からの【2ソウ】切り。もうこの時点で、太は親の堀の速度感を感じ取っていた。

ここからの【3マン】切りも、その姿勢が顕著に表れている。
親の堀に対して比較的安全な【7ピン】を残しつつ、先に【3マン】を処理。

親の堀は、6巡目の段階でこの手牌。
ダマで12000が飛んできてもおかしくない、広いイーシャンテンになっていた。

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