桜花爛漫!内川幸太郎が
セミファイナルに咲かせた
八重の桜
文・渡邉浩史郎【火曜担当ライター】2024年4月16日
第1試合
東家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
西家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:浅見真紀(赤坂ドリブンズ)
人が大きなストレスを感じるのはどんな時か。
一説では「届きそうで届かない」「達成しそうで達成できない」、進みそうで進まないこのもどかしさの中で人の無力さを痛感したとき、大きなストレスを感じるそうだ。
麻雀で例えるならば
「トップが遠い」
文字に書き起こすだけでもうんざりする、この状況が当てはまるだろう。
現在進行形でその身を置いている……
内川からすればたまったもんじゃない。2024年に入ってからまだMリーグ内でのトップはなし。流れが変わるかと思われたセミファイナル初戦登板でも痛恨のラスを引いてしまった。
チームリーダー:ドラフト1位指名が不振という点では首位のパイレーツと似通うものがあるが、あちらほどチームポイントに余裕があるわけではない。
完全実力結果主義のサクラナイツ控室では、既にチームメイトの下働きとして弁当を運んでいる、なんてまことしやかなうわさも流れている。
そんな冗談はさておき、実際内川もチームメイトに支えられている現状は不甲斐ないと感じているだろう。
だからこそ、このセミファイナル前半戦の山場で勝ちたい。万感の思いを込めて、内川は卓についた。
東場は内川に手が入る。【東1局】、内川にメンチンイーシャンテンが入る。これはマンズ何を引いても聴牌の形。
上家の松本からが出て、これをチー。
待ち取りは二つ。切ってのか、切ってのか。
内川の選択は打。
どちらも見た目枚数は4枚なら一気通貫がついて跳満になる打もあり得ただろう。
しかし仕掛けている高宮・松本への危険度、仕掛けて手牌四枚のところから手出しが入った松本に愚形からの待ち変化の匂いを感じて、複数枚持たれていなさそうなに狙いを絞ったイメージか。
実際に松本はカンからの待ち変え、は握りつぶされていた。
次巡、内川が持ってきたのは……
意地の悪い神様のいたずらか、和了る手筋のない。
そしてさらに誘惑が押し寄せる。この形、を切ればの二つの三面張が複合した聴牌だ。フリテンとはいえ、待ちの多さで断然カバーできる。
しかしは高宮にも松本にも通っていない。待ち表示を確認してもらえばわかる通り、何なら二軒のロン牌だ。
だが、でも。揺れる内川が出した結論は……
ツモ切り! 切りと並ぶ、放銃回避の道を選び抜いた!
そして18000聴牌の高宮から押し出されたを捉える!
これぞ手順マエストロ!
セミファイナルが始まって以来初の気持ちいい和了で前に出ると……
ここで和了りラッシュ! ポンテンでトイトイの5200を和了、迎えた親番でも……
早いリーチは裏こそ乗らないが2000点の収入。後はこのまま突っ走るだけかと思われたが……
勝負手となり得た手を松本の早いリーチに躱される。
そしてこの親番を落とされてからが内川苦難の道であった。
ライバル候補として一番近かった親番:浅見が2000オールと二人聴牌で近付いてくる。