勝ち以外はなにもいらない 今、一番面白い鈴木優の麻雀【Mリーグ2023-24セミファイナル観戦記 4/23】担当記者 ZERO / 沖中祐也

一打一打、本当に見合っているか、他の道がないかを検討している。（をツモったときは打を検討していた）
戦場から目を逸らさない。決して、思考から逃げない。

それが勝ちへとつながる、唯一の道であることを、俺は知っているから。

こうして、待望のが亜樹の手からこぼれた。
ホンイツ・の8000点。

それは不遇の展開と不遇の配牌の中で掴んだ、奇跡的なアガリだった。

微差ながらトップ目に立った優はその後も

リーチ・ツモ・ピンフの700/1300。

切りリーチからのリーチ・タンヤオ・イーペーコーの7700をゲットし、都合３連続のアガリをモノにする。

こうしてトップ目で迎えたオーラス。
優はアガればトップのテンパイを入れていた。

だがこのでオリを選択。

たろうからリーチが入っているだけでなく、岡田のホンイツ仕掛けに対してもこの生牌のは切りづらい。

たろうさんアガってくれーと祈っていたが、岡田と亜樹もオリているように見える。
刹那の安堵の隙を

亜樹がつく！ 追っかけリーチが入ったのだ！

優はこの瞬間、たろうへの差し込みを考えたという。
状況を整理してみよう。

・亜樹に通っていて、たろうに通っていない牌はのみ
・優はたろうに8000放銃までならトップ
・ただし12000を打つと３着まで転落してしまう
・亜樹はたろうのリーチ棒が出たため、8000出上がりが逆転条件
・ただ、亜樹は捨て牌からドラのを持っていなさそう
・優の目から赤が全部見えている
・岡田はオリていて、この１局で終わりそう

ということから、亜樹のリーチは条件付きである可能性が高いと判断。
そのうえで、流局しても、たろうがアガっても、亜樹が条件を満たさないアガリをしてもトップであり、を切ってハネマンと言われると順位点と素点で72000点のリスクがあることをふまえ、そのまま現物を抜いた。

その結果

亜樹がたろうから8000をアガリ、トップをまくられてしまった。
ドラのは後から３枚ツモってきたものであり、これは見抜けない。

亜樹のアガリを見た瞬間、優は

顔を歪めた。
あとから知ることになるが、を切ればたろうへ5200の放銃となっていただけに余計に悔しい。

ただこの選択に関しては、リスクとリターンを振り返ってみてもわざわざを切るほどではなく、後悔はなさそうだ。

亜樹に続き、2戦目も瑠美がトップをとり、風林火山が

Piratesの眼下まで肉薄してきた。

もうこの展開で優勝を逃したら、ショックという言葉では済まされない。
いや、世間はレギュレーション的にも麻雀の競技性的にも仕方ない、と言うかもしれないが、本人たちが許さない。

「圧倒的に勝つ」
勝利だけを渇望する男たちの戦いは、まだ終わらない。