今シーズンの神域リーグ、一番のサプライズ指名は誰だったか、と言われれば。
多くの人が、2人の選手を想像するのではないだろうか。
1人は、先日鮮烈なデビュー戦を飾った、ヘラクレスの龍惺ろたん。
そしてもう1人が……
アキレス、多井監督によって指名された、ゴモリーだ。
ドラフト指名を受けたその瞬間彼女は、歓喜の涙を流していた。
夢の舞台に、立つことが決まったゴモリー。
開幕節となった前回は、登板機会が無かったのだが。
アキレスにとっては、苦しすぎる開幕節となってしまった。
咲乃連闘、多井監督で344。初日にしてマイナスポイントを大きく抱える展開。
そんな逆境の中、ゴモリーは初お披露目となった。
神域リーグのルール上、トップを取らないとなかなかポイント差は埋まらない。
目に見える数字の差が大きくなっていくのは、序盤とて心に負担となるもの。
できればこの第2節で取り返しておきたい。
そんなチームの期待も背負って、ゴモリーが夢の舞台へと足を踏み入れた。
そうして迎えた第1試合、ゴモリーは新人とは思えない冷静な立ち回りで見事トップを獲得する。
彼女の地力の高さが伺えた試合だった。
勢いに乗った彼女は、そのまま連闘。
シンデレラガールが、アキレスの負債をまとめて返済する連勝を獲りに行く。
第2節第2試合
東家 鈴木勝 (チームグラディウス)
南家 空星きらめ(チームゼウス)
西家 ゴモリー (チームアキレス)
北家 朝陽にいな(チームアトラス)
東1局
試合は開幕早々に動く。
親番を迎えた勝に、早々にテンパイが入る。待ちはペンと悪いが……
「さっきのルイスの分!」
親番で、ドラが1枚あること。
ペンという、変化するのに絶対に2手かかる(フリテンリーチを考えないなら)部分が残っていること。
以上の事から見ても、これはリーチで申し分ない。
第1試合で3着となってしまったルイスの分を取り返すべく、勝が2巡目にして早速の先制リーチだ。
これを受けて困ったのがゴモリーだった。
なにせ早すぎて、安全牌が無い。
だからこそ、真っすぐに打ちぬいた。
前巡切ってあって使いにくいを切り飛ばすと。
ドラのが重なった……!
こうなれば手牌の価値も高い。
通っていないを打ち出して、勝負。
安全牌が切れる時は切って、それでも手の形は維持する。
安全そうなピンズを払って、ゴモリーは自然とマンズのホンイツへ。
ドラが鳴けた……!
あとはめくり合い。序盤の展開を大きく左右する最初のめくり合いは――
ゴモリーに軍配!
しかしこれも、楽な道ではなかった。
親のリーチに通ってない牌を切るということは、誰だって怖い。
しかしVPLというVtuberのプロリーグにも参加する彼女は、今までの経験で、そして学んできた知識で、こうなったら押したほうが得というのを理解していた。
運だけではない、実力のアガリ。