明暗を分けた一つのディテール 勝利を手に、浅見真紀はさらなる高みを目指す【Mリーグ2024-25観戦記 10/8 第1試合】担当記者 #東川亮

次局は萩原が見事な一発ツモでハネ満、浅見は親かぶりで再び2番手に後退するが、

それでも、目の前の手牌に対してやるべきことをやる姿勢は変わらない。

南3局【發】を鳴いて高目2000点のテンパイ。

【1マン】【4マン】、どちらを切っても良さそうに見えるが、浅見はあえて内側の【4マン】を切った。ここにはわずかながらも決定的な差がある。

それがこの【赤5マン】引きのパターン。【4マン】を切っておくとスムーズに【2マン】と入れ替えられるが、【1マン】を切ってしまっていたら、受け入れるためには一度テンパイを壊さなくてはいけない。もちろん【赤5マン】を引く確率は低いが、その可能性を無視せずに備えておくことで、こうした幸運を享受できる。

テンパイの瑞原から高目のドラ【1ソウ】を捉える。發ドラ1の2000点ではなく、發ドラ赤の3900としたことで、オーラスをトップ目で迎えられたのが大きかった。

オーラスは瑞原が先制リーチ。浅見としては、このリーチと戦う必要はない。自分が振り込みさえしなければ、トップが確定するからだ。これが2着目だと、横移動でトップを逃す結末もあり得た。

トップを目指してアガリに向かう元太がテンパイ。ただ、浅見としては元太がアガってももう一回トップチャレンジはできる。

リーチ棒が出て、満貫出アガリでトップになれる萩原は、【南】ホンイツドラの1シャンテン。振り込んでも着ダウンはないとくれば、ここは真っすぐに押す。

もちろん、無スジの【4ピン】であろうとも、だ。

リーチドラ、2600。着順の変わらないアガリ。

すなわち、浅見の勝ちだ。対局場がドリブンズのグリーンに染まる。

一礼し、浅見は大きく息をついた。

それだけ張り詰めたものがあった、ということだろう。

試合後には「このままずっとトップを取れなかったらどうしようと思っていた。ちょっと安心して戦える気がする」と、安堵の表情。

 

もちろん、反省点もある。

けれども、傍らにはそれを指摘し、正そうとしてくれる頼もしい仲間がいる。

勝利の喜びと飽くなき探究心を胸に、緑の風を卓上に吹かせ、さらなる高みへ、それゆけまきどん。

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