次局は萩原が見事な一発ツモでハネ満、浅見は親かぶりで再び2番手に後退するが、
それでも、目の前の手牌に対してやるべきことをやる姿勢は変わらない。
南3局、を鳴いて高目2000点のテンパイ。
と、どちらを切っても良さそうに見えるが、浅見はあえて内側のを切った。ここにはわずかながらも決定的な差がある。
それがこの引きのパターン。を切っておくとスムーズにと入れ替えられるが、を切ってしまっていたら、受け入れるためには一度テンパイを壊さなくてはいけない。もちろんを引く確率は低いが、その可能性を無視せずに備えておくことで、こうした幸運を享受できる。
テンパイの瑞原から高目のドラを捉える。發ドラ1の2000点ではなく、發ドラ赤の3900としたことで、オーラスをトップ目で迎えられたのが大きかった。
オーラスは瑞原が先制リーチ。浅見としては、このリーチと戦う必要はない。自分が振り込みさえしなければ、トップが確定するからだ。これが2着目だと、横移動でトップを逃す結末もあり得た。
トップを目指してアガリに向かう元太がテンパイ。ただ、浅見としては元太がアガってももう一回トップチャレンジはできる。
リーチ棒が出て、満貫出アガリでトップになれる萩原は、ホンイツドラの1シャンテン。振り込んでも着ダウンはないとくれば、ここは真っすぐに押す。
もちろん、無スジのであろうとも、だ。
リーチドラ、2600。着順の変わらないアガリ。
すなわち、浅見の勝ちだ。対局場がドリブンズのグリーンに染まる。
一礼し、浅見は大きく息をついた。
それだけ張り詰めたものがあった、ということだろう。
試合後には「このままずっとトップを取れなかったらどうしようと思っていた。ちょっと安心して戦える気がする」と、安堵の表情。
トップとってもダメなもんはダメなので、ちゃんと指摘してくれるドリブンズが私は大好きです。
早くパーフェクトなトップを取れますように🙏 pic.twitter.com/qlRFR725cJ
— 浅見真紀 (@makimakinncho) October 8, 2024
もちろん、反省点もある。
けれども、傍らにはそれを指摘し、正そうとしてくれる頼もしい仲間がいる。
勝利の喜びと飽くなき探究心を胸に、緑の風を卓上に吹かせ、さらなる高みへ、それゆけまきどん。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。