押す!押す!粘る!押す!
Mリーグ屈指の攻撃型雀士による乱戦
文・髙倉拓馬【火曜担当ライター】2024年10月8日
第2試合
南家:浅井堂岐(セガサミーフェニックス)
西家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
今宵の第2試合は、Mリーガー屈指の攻撃型4人による争い。
どの局を見ても一人旅になることがない、殴り合いの火蓋が切って落とされた。
一口に「攻撃型」といっても、その方向性は人によって様々。
手役を追い貪欲に打点を求めて、手牌価値を極限まで高めて押す打ち手から、手数と機動力で攻める打ち手。
鋭い読みで牌を通して戦う人もいれば、ギリギリまで粘りこんで攻撃の芽を残し続ける人もいる。
攻撃の全てが詰まったような争いになった。
東1局
攻撃型の特徴その1は「面子を中抜いて降りることを極力避けて、攻撃の芽をギリギリまで残すこと」。
この本田のリーチに、堂岐は
のトイツ落としで粘る。手配価値的にはかなり微妙な手ではあるが、現物は1枚しかない。しかもその現物であるは、打つとこの局の加点が無くなる一手だ。ドラのが重なった時、あるいは通った時に攻め返せる可能性を残している。、も無筋の中ではそれなりに通せそうだ。
も通りこの手まで伸びる。タンヤオ、ピンフや引きの一気通貫まで手牌価値が上昇した。これなら現物のを打って手を狭める必要もない。はそこまで勝負牌という認識ではなかっただろう。
結果はこのが本田に5200の放銃となってしまったが、これこそが極限まで打点を追い求めて粘る堂岐の雀風であり、本人にも後悔は全くないだろう。
攻撃型の特徴2は「読みで牌を通してギリギリまで攻め抜くこと」。東2局は優の攻め方が面白い。
このタンヤオが見えるがなんとも言えない手牌から、優はドラのを打っていった。
・巡目的にが重なるのを待っていてもアガリにまで結びつかなさそう
・カンが先に入らないとこのは使いづらい
・とが安全度が高く、この牌を守備牌として使いつつ、そのまま押し返しまで持っていきたい
・ドラを打つことによる他家への威圧
このような意図が見られる。
この局はたろうが先にテンパイを入れ、待ちのタンヤオでリーチをかけていくのだが、
安全牌を打っている間にこのようなイーシャンテンになる。
12巡目、自分はリーチのみ、高めタンヤオ。両面2つとはいえお世辞にもいい1シャンテンとはいえない。だがここから優はを勝負していった。これは
・安全牌が足りないから押した方がマシ
という理由もあるかもしれないが、さらに2つ要素を挙げるとするなら
・が通っている状態でのがリーチ宣言牌、が当たるとするとが引っ張られる理由が薄いので、はピンズの複合形両面で当たりやすい。とすると例えば
から打、から打が考えられるが、優自身が2枚所持で前者の可能性を下げている
・たろうが少考の後リーチを入れている。もしならその間が生まれるのだろうか?もしピンズ待ちなら愚形のことがありそう。からのカンは、1枚切れにつき、とのシャンポンにする人が多そう
このような理由で押したのではないかと考える。要素2番目の「ピンズ愚形」にはカンチャンで該当してしまうが、テンパイすれば話は別。それは手牌価値で押し切ろう、そういう優の魂胆が感じられる。実際
優はこの手牌から筋になったを打って放銃になってしまうのだが、このタイミングで
・が通っていて、がのワンチャンスになっている
を打つ選択肢もあったと思う。それでもこの牌を打たなかったのは、に何か感じるものがあったのかもしれない。
攻撃型の特徴その3は「精緻な山読み、押し返しに備えた手組み」。
このなんでもない配牌からを打って、リーチ手順をメインに手なりの進行をしていったが、