明暗を分けた一つのディテール　勝利を手に、浅見真紀はさらなる高みを目指す【Mリーグ2024-25観戦記 10/8 第1試合】担当記者 #東川亮

明暗を分けた一つのディテール　

勝利を手に、浅見真紀はさらなる高みを目指す

文・東川亮【火曜担当ライター】2024年10月8日

第1試合

東家：瑞原明奈(U-NEXT Pirates)

南家：浅見真紀(赤坂ドリブンズ)

西家：萩原聖人(TEAM雷電)

北家：竹内元太(セガサミーフェニックス)

大和証券Mリーグ2024-25、10月8日の第1試合。

序盤からペースをつかんだのは、デビュー戦から連勝中のフェニックス・元太。

開局から2局連続でアガリを決めると、東3局では1シャンテンのターツ選択で、をツモ切ってソーズを厚く持つ。カンとカンは見た目枚数だけで比べるとのほうが2枚多いが、局が終盤に差し掛かろうという状況でピンズの中張牌があまり場に見えておらず、危険度も込みでソーズ受けを優先したという。

実際、はすでに山になかった。

その後、マンズがリャンメンに変化し、を引いてテンパイ。現状トップ目で巡目も深く、リーチせずともタンヤオドラドラ赤の満貫ということで、ダマテンとする。

すぐに瑞原から打たれ、さらなる加点に成功。

さらに南1局、元太はタンヤオドラ赤の待ちテンパイ。は既にテンパイしていた瑞原がポンしている牌だったが・・・

ラスト1枚を瑞原が持って来てしまう。今シーズンより搭載されたフーロ牌表示機能はこういうときにとてもありがたい。

ツモ番を増やしたい瑞原は当然の加カン。ということは・・・

「ロン」

元太の手牌が開かれた。

タンヤオドラ赤、そして搶槓（チャンカン）。

搶槓は、誰かが加カンした牌が自身のアガリ牌で、それをロンしたときにのみつく1翻役。

なお「搶」は「そう」などと読み、「奪う」という意味の文字である。武器の「槍」ではないのでご注意を。

この搶槓、Mリーグでは過去6シーズンで、同じフェニックスの茅森早香が1度アガったきりである。そんな超レア役が決まり、元太は瑞原から満貫を直撃。

大量リードにレアなアガリのおまけまでついた元太は、もうデビューからの3連勝が目前かに見えた。

ただ、そこにストップをかけた者がいた。

Mリーガーとしてはもちろん、麻雀プロとしても卓内で唯一元太の先輩となる、浅見である。

南2局1本場、序盤でを鳴いて選択。鳴くことは決まっていたが、ここから何を切るかまではまだ考えがまとまっていなかったようで、しばしの少考があった。形だけを見るなら払いになりそうだが、がドラで、打点を考えると残したい。

選択は。良形を残しつつ2枚あるドラも使い切りたい選択と思われるが、本人の中では反省点となる一打だったようだ。実際、速度・打点の両方において、やや中途半端な印象はある。

まき「それよりもさ、今日はめっちゃ恥ずかしい1打があって…」

けん「3p？」

まき「そう！第一感は56s外しだったんだけど、残った形が悪すぎるなと思い、色々考えて変な牌切ってしまった。」

けん「そうね。3pは6番目くらいの候補手になりそう。」 pic.twitter.com/1mmpeoCsqq

— 赤坂ドリブンズ (@AkasakaDrivens) October 8, 2024

ただ、すぐにをチーできて手が進み、切り。ここでスピード方向に寄せ、ピンズを払っていく選択とした。ドラ1枚だと打点はそれほどだが、親番の連荘できるのが大きい。

その後は元太のリーチを受けるも、直後に望外のを引き入れてテンパイ、片スジのを押す。5800、ツモって2000オールのリャンメン待ちテンパイなら、勝負する価値は十分にある。

元太の待ちはつかんだらまず止まらなさそうだったが、それよりも先に浅見のアガリ牌が積まれていた。これで供託を合わせて、わずかながら元太を逆転する。