天才のおれが
逃げ切り方を教えてやる!
パイレーツ・朝倉康心、
盤石のゲームメーク
文・東川亮【木曜担当ライター】2020年10月22日
今週のMリーグ中継から、ソニー損保による女性Mリーガーを起用したCMが流れるようになった。
麻雀卓にもソニー損保の名前がついており、公式の発表はされていないが、おそらく何らかの形でソニー損保がMリーグを支援してくださるようになったと思われる。
Mリーグファンとしては非常にありがたい話だ。
筆者は別会社の自動車保険を契約しているのだが、次回の更新時にはソニー損保の自動車保険への乗り換えも検討してみようと思う。
さて、保険というのは平時では不要だが、不慮の事故など万が一のときのためにさまざまな形で自身の生活を守ってくれる大切な備えだ。
ただ、麻雀で点棒を失ったときの保険は存在しない。
すなわちトップを取るためには、自らの力で最後の局が終わるまで点棒を守り抜かねばならない。
特に今週は、ここまで5戦連続で東場のトップ者が逆転される、しかもそのうち3戦はラス目で南場を迎えた選手がトップまで突き抜けるという、波乱の展開となった。
「だったらおれが逃げ切り方を見せてやろう!」
そんなことは考えていなかったと思うが、今回はU-NEXT Pirates・朝倉康心の、リードしてからの戦い方に着目してみた。
第2回戦
南家:藤崎智(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:和久津晶(セガサミーフェニックス)
北家:朝倉康心(U-NEXT Pirates)
東場は、親の勝又のリーチから始まった。
役なしのカン待ちだが、良い手変わりが引きか1枚切れのくらいしかないことから親のリーチで周りを押さえつけようと意図、さらにはにある程度感触があったか。
ツモって裏1の2000オールにでもなれば、打点的にはそこまで悪くはない。
周りがやや引き気味に打つ中、朝倉がチー。
これで役はほぼタンヤオに限定されるため、現物を打ってその後の手変わりを見るかと思いきや、朝倉は現物のを切った。
他2人が手から現物を打っているのを見て、真っすぐアガリに向かうのではなく、あくまでも安全に手を進めながら、あわよくばテンパイを取り返そうということか。
普通、親のリーチに対してはなすすべなくオリを選択する方が多いかもしれないが、このあたりの粘りはなんとも朝倉らしい。
最後にはテンパイを取りきって流局。
「形テン(形式テンパイ)は勝負手」は朝倉の色紙に書かれるフレーズだが、ここで1000点払うのと1500点をもらうのとでは、差し引き2500点の収支差があるだけでなく、親に対しても点差を付けられずに済む。
こうした細かい得の積み重ねが、朝倉の真骨頂だ。
気は早いが、まずはトップ目。
そして次局には気持ちよく2000-4000をツモり、一気にリードを広げた。
東4局。
親番の朝倉は4巡目でイーシャンテンという手牌になるも、藤崎の手もまとまっており、ぶつかりそうな形に。
次巡、朝倉はを引くと、迷うことなくを切った。
トップ目に立っている親番においては、より高打点を狙って手狭に受けるよりも、できるだけ良い待ちを作ってアガリをとりにいくことが優先だ。
を切ればとテンパイする牌が7種あり、マンズを引けばリャンメンでテンパイ。
一方でを切るとの6種となり、枚数も少ない上にどうテンパイしても愚形待ちとなってしまう。
その後はマンズを払っていき、一度はの縦引きによるテンパイを逃すも、ドラを引き入れて打点を高くし、狙い通りの好形リーチ。
ツモって4000オール、他3者を大きく突き放した。