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日向は4枚目のを少考の後、ツモ切り。リスク回避がダマテンの理由なら、暗槓はその思考から外れた選択になる。
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同巡、小林が場に4枚目のをツモ切り。
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菅原の手はあわやのところまで来ていたが、夢は潰えた。
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それを受けて、瑠美は空切りでリーチと打って出た。菅原の国士無双の可能性が消えたこと、ピンズ一色手模様の小林からまだピンズが余っていないことで、リーチをぶつけて決め手にしようとしたか。もちろんダマテン続行の選択もあったが、強気な勝負だ。
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直後、日向の手が止まる。は1枚切れでリーチの現物。小林にはダブ
だが、国士無双模様だった菅原が1枚は持っていると考えると、かなり切りやすそうではある。
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切ることは決まっている。あとは、切ってどうするか。意を決したように、日向は声を発した。
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リーチだ。
ここでダマテンにしたら、危ない牌を引いたらオリることになりそうだ。そうなれば、ツモられれば逆転まであり得る状況、流局したとしても、次局はさほど重くない条件が瑠美に残ることになる。そして自分の待ちも悪くはなく、リーチの瑠美から切られた25pを捉えられないのは最悪。もちろん放銃リスクもあるが、それらを鑑みた上で、日向はリーチのほうが優位と判断した。
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小林もテンパイして無スジかつドラまたぎのを押す。清一色ドラ1、ハネ満テンパイはトップまで見える勝負手。そもそも、あんな夢も希望もなさそうな手をここまで持って来たのは、1巡目の
チーが始まりだった。
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決着は一瞬でついた。日向、一発ツモ。
リーチをしなくてもツモっていた牌だったが、それだと500-1000のアガリにしかなっていない。それが2000-4000、4倍の価値になったのは、瑠美のリーチ宣言が誘発したところもあっただろう。瑠美としてはリーチをしない手もあり、それで日向がダマテンだったら次局にハネ満条件を残せたが、これで倍満でも届かなくなってしまうという痛い結果になり、オーラスでは小林の反撃によって2着も取り逃すことになってしまった。
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この日の出場を監督に直訴したという日向は、試合後のインタビューで「麻雀が打てるのは本当に当たり前ではない」と語った。
胸中にある思いは分からない。
けれども彼女は、これからもその気持ちを抱きながら、怖くても苦しくても、諦めず、妥協せずに戦っていくのだと思う。
この日の試合のように。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。