竹内元太とは
──分析報告書──
文・小林正和【金曜担当ライター】2024年12月13日
実況・日吉
「本日の第一試合目を戦う4選手が出揃いました。石橋さん、対局の注目ポイントはいかがでしょうか。」
解説・石橋
「初心者の方に、Mリーガーの中でお手本に薦めたい選手は誰と聞かれたら真っ先に滝沢さん、仲林さん、松本さんの3人を挙げますね。竹内さんもバランスに優れていて、この試合は特に綺麗な麻雀が見れると思いますよ。」
麻雀は時として、音楽のように無限のハーモニーとリズムを秘めた芸術へと変貌する。
ギターソロのように、激しく場を揺るがす強烈なビートを刻んだかと思えば
ピアノソロによる美しい旋律が流れ、観客を優しく包み込む。
そして、サックス奏者による即興で躍動感をもたらすと
データが織りなす緻密なシンセサイザーが最適化へと導いていく。
正に雀風は、異なる音色を放つ個性の競演とも言えるだろう。そこに時代のトレンドが交差し、移ろいゆく日々と共に麻雀も変遷する。
“ツキや流れ”と言う見えない正体から、それは徐々に“確率・期待値やAI”と言った見える化へと。
本日の第一試合目は、様々な楽器をバランス良く取り入れたオーケストラによる交響曲が奏でられたのであった。
第1試合
東家:竹内元太(セガサミーフェニックス)
南家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
西家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
北家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
まず、教科書のような選択を見せたのは仲林。
南4局1本場・オーラス
現状ラス目だが、滝沢とは200点差なのでアガれば3着浮上。ハネマンツモなら2着まで手が届く場面である。
つまり真っ直ぐ、出来れば役ありの手で進めたい所にツモ… さて何を切った!?
ドラがであり345三色・跳満ルートの可能性を考慮すると、選択肢はからになりそうだが…
ノータイムでとした!
実は、この一打が秀逸であったので少し掘り下げたいと思う。
ピンズとソウズの形が1345と同じ形をしているのででも良いのでは!?と思った方もいるかもしれない。しかし、ある牌を引いた時に明確に差が出るのだ。
その牌とは… の事である。
にを足して、更に孤立牌のを加えてみよう。なんととなりと受けのリャンカン形へ変身を遂げるのではないか。
こうした変化は割と出現率が高いので覚えておきたい。他に似たような牌姿としては
と言った並び。
孤立牌のかに手が掛かりそうだが、マンズはを引いた時にのリャンカンブロックとなるのでの方を切るのが良いとされている。
次に、お手本のような押し方を披露したのは滝沢であった。
東1局1本場
ドラのがアンコと勝負形ではあるが、親の元太からリーチを受けているシーン。
滝沢にとってネガティブな情報を補足すると、愚形箇所のペンが場に1枚捨てられており良形部分の待ち牌であるがバタバタと切られている状況だ。残りの表ドラや他の赤牌の所在を考えると攻め込み辛い。とりあえず現物のに手を掛けてのイーシャンテンキープで様子を見ると思われたが…
普段と変わらないトーンでドラ跨ぎのを切った!
その時の河がこちら。
ここで勘違いしてはいけないのが、闇雲に押しているのではないと言う事。着眼点は仲林と松本の対応に隠れている。
まずは、2巡目から仕掛け出した松本の動きを考察してみよう。
チーによる打点の高いケースは滝沢の視点から見ると