冷静と情熱のあいだ、内川幸太郎の一打【Mリーグ2024-25観戦記 12/16 第2試合】担当記者 #江崎しんのすけ

この【6マン】、醍醐には通っているので当たることは無いが、勝又へはどのくらい危険なのか。

勝又に対して通っていないリャンメンのパターンは【1マン】【4マン】【3マン】【6マン】【6ピン】【9ピン】の3つしかなく、【1マン】【4マン】【6ピン】【9ピン】がワンチャンスで出てきにくくなっていることを考えると一番危ない筋と言えるだろう。

危険度で言えば、かなり危ない【6マン】なのだが、内川が選んだポイントは醍醐と勝又の打点の違いにある。

勝又の仕掛けはよくよく見ると、ドラを持っていない安い仕掛けである可能性が高いことがわかる。

ホンイツも他の役牌も無さそうなので打点はドラの枚数で決まりそうだ。

勝又は序盤に【1ソウ】【3ソウ】でチーをしているため、もし【4ソウ】を1枚持っている場合は【1ソウ】【3ソウ】【4ソウ】【5ソウ】からの【2ソウ】チー、いわゆる食い伸ばしだったことになる。

もし【5ソウ】が無い状態で【2ソウ】をチーしたとすると、【1ソウ】【3ソウ】【4ソウ】からドラを使わずチーしたことになるのでおかしい。

その場合、手の中に【4ソウ】【5ソウ】が残っていることになるが、13巡目に赤【赤5ソウ】をツモ切っているので否定されている。

【4ソウ】が2枚だった場合も同じで、【1ソウ】【3ソウ】【4ソウ】【4ソウ】【5ソウ】からドラを使わずに鳴いたことになるし、そもそも【2マン】【7マン】を切ってまで【1ソウ】を残す理由が無いので出てこないだろう。

【4ソウ】が暗刻の場合、【1ソウ】【3ソウ】【4ソウ】【4ソウ】からの【2ソウ】チーは一見ありそうだが、10巡目に【5ソウ】を手出ししているので可能性は低い。

【4ソウ】【4ソウ】【4ソウ】【5ソウ】と持っていたことになるが、くっつき候補として【5ソウ】を残していたならば、ドラそばでなく、くっつきの枚数が多い【7マン】【3ピン】【5ソウ】よりも残っているはずだ。

つまり、表ドラの【4ソウ】は1~3枚どのパターンも出てきにくいのだ。

次にカンドラの【8マン】
これは【7マン】が4枚既に見えているので、もし勝又が持っていたとすると2枚か3枚手に持っていることになる。

これも可能性としては低く、ポイントはカン【2ソウ】をチーしたときの打【8ソウ】だ。

この【8ソウ】【7マン】の後にチー出しで出てきているので、孤立ではなく手牌に関連している可能性が高い。

そして【8ソウ】が4枚見えているので、関連のし方としては【6ソウ】【6ソウ】【8ソウ】【8ソウ】【9ソウ】【9ソウ】のような【8ソウ】周辺のトイツのフォロー牌として持たれていたパターンが多いだろう。

そうなるともし勝又の手の中に【8マン】のトイツがあるとすると、【8マン】【6ソウ】(もしくは【9ソウ】という2つのトイツが手の中にあることになる。

ということは【8マン】と何かのシャンポン待ち、もしくはシャンポン受けのあるイーシャンテンということになるが、醍醐が直前にツモ切った【8マン】に何の声もかかっていないため否定されている。

最後に【8マン】を持っているケースだが、これは5巡目に7mを手出ししたタイミングで【8マン】が暗刻になっているパターンは考えられる。

しかし、その場合醍醐がツモ切った【8マン】を大明槓する可能性が高いのではないだろうか。
勝又はラス目で、【8マン】が暗刻で満貫が確定していたとしても、大明槓することで跳満・倍満が狙えるのであればカンの一手だろう。

唯一持っている可能性があるのが赤【赤5マン】でこれは否定できない。
そのため勝又の打点は【白】のみの2,000点から白・赤1の3,900点と読むことができる。

そして、勝又がドラを持っていないということは、裏を返せばリーチをしている醍醐が持っている可能性が高いということだ。

3着目の大介も完全にベタオリしているので、ドラを複数枚持っている可能性は下がっている。

【6マン】は勝又には通っていないものの、その他の牌は通りそうとはいえ醍醐に通っていない牌。

万が一ドラを複数枚持っている醍醐に放銃しようものなら、逆転されるだけでなくオーラスに満貫ツモ条件でも届かない差になってしまう。

親の勝又に放銃してしまうと、局が進まない上に点差も縮まるが、醍醐がアガって逆転されるか勝又が連荘するかの2択しかなく、むしろ勝又への2,000点の放銃であればテンパイ料で醍醐と3,000点差を詰められるより安く済むので、内川にとって悪い状況ではないのだ。

結果として、醍醐のアガリ牌である【4ソウ】が山に1枚残っており、勝又の【3マン】【6マン】は山に残っていなかった。

残りの山は18枚で2人のツモは1回ずつ、もし内川が【6マン】を打たなければ約11%の確率で醍醐が逆転してオーラスを迎える未来が待っていたことになる。

オーラスは醍醐と内川のアガリ競争となり、内川が制した。

ボーダー争いの中で、価値のある大きな一勝をチームに持ち帰った。

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