この、醍醐には通っているので当たることは無いが、勝又へはどのくらい危険なのか。
勝又に対して通っていないリャンメンのパターンは・・の3つしかなく、・がワンチャンスで出てきにくくなっていることを考えると一番危ない筋と言えるだろう。
危険度で言えば、かなり危ないなのだが、内川が選んだポイントは醍醐と勝又の打点の違いにある。
勝又の仕掛けはよくよく見ると、ドラを持っていない安い仕掛けである可能性が高いことがわかる。
ホンイツも他の役牌も無さそうなので打点はドラの枚数で決まりそうだ。
勝又は序盤にでチーをしているため、もしを1枚持っている場合はからのチー、いわゆる食い伸ばしだったことになる。
もしが無い状態でをチーしたとすると、からドラを使わずチーしたことになるのでおかしい。
その場合、手の中にが残っていることになるが、13巡目に赤をツモ切っているので否定されている。
が2枚だった場合も同じで、からドラを使わずに鳴いたことになるし、そもそも・を切ってまでを残す理由が無いので出てこないだろう。
が暗刻の場合、からのチーは一見ありそうだが、10巡目にを手出ししているので可能性は低い。
と持っていたことになるが、くっつき候補としてを残していたならば、ドラそばでなく、くっつきの枚数が多いやがよりも残っているはずだ。
つまり、表ドラのは1~3枚どのパターンも出てきにくいのだ。
次にカンドラの。
これはが4枚既に見えているので、もし勝又が持っていたとすると2枚か3枚手に持っていることになる。
これも可能性としては低く、ポイントはカンをチーしたときの打だ。
このはの後にチー出しで出てきているので、孤立ではなく手牌に関連している可能性が高い。
そしてが4枚見えているので、関連のし方としてはやのような周辺のトイツのフォロー牌として持たれていたパターンが多いだろう。
そうなるともし勝又の手の中にのトイツがあるとすると、と(もしくはという2つのトイツが手の中にあることになる。
ということはと何かのシャンポン待ち、もしくはシャンポン受けのあるイーシャンテンということになるが、醍醐が直前にツモ切ったに何の声もかかっていないため否定されている。
最後にを持っているケースだが、これは5巡目に7mを手出ししたタイミングでが暗刻になっているパターンは考えられる。
しかし、その場合醍醐がツモ切ったを大明槓する可能性が高いのではないだろうか。
勝又はラス目で、が暗刻で満貫が確定していたとしても、大明槓することで跳満・倍満が狙えるのであればカンの一手だろう。
唯一持っている可能性があるのが赤でこれは否定できない。
そのため勝又の打点はのみの2,000点から白・赤1の3,900点と読むことができる。
そして、勝又がドラを持っていないということは、裏を返せばリーチをしている醍醐が持っている可能性が高いということだ。
3着目の大介も完全にベタオリしているので、ドラを複数枚持っている可能性は下がっている。
は勝又には通っていないものの、その他の牌は通りそうとはいえ醍醐に通っていない牌。
万が一ドラを複数枚持っている醍醐に放銃しようものなら、逆転されるだけでなくオーラスに満貫ツモ条件でも届かない差になってしまう。
親の勝又に放銃してしまうと、局が進まない上に点差も縮まるが、醍醐がアガって逆転されるか勝又が連荘するかの2択しかなく、むしろ勝又への2,000点の放銃であればテンパイ料で醍醐と3,000点差を詰められるより安く済むので、内川にとって悪い状況ではないのだ。
結果として、醍醐のアガリ牌であるが山に1枚残っており、勝又のは山に残っていなかった。
残りの山は18枚で2人のツモは1回ずつ、もし内川がを打たなければ約11%の確率で醍醐が逆転してオーラスを迎える未来が待っていたことになる。
オーラスは醍醐と内川のアガリ競争となり、内川が制した。
ボーダー争いの中で、価値のある大きな一勝をチームに持ち帰った。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
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