醍醐大が止めた7m、そして切り拓かれた未来【Mリーグ2024-25観戦記 1/20 第2試合】担当記者 #江崎しんのすけ

しかし、醍醐が選んだのはなんと【3ソウ】
【7マン】ではなく、2人に通っていない牌を切って放銃を回避する。

【3ソウ】は5sが4枚見えているのでノーチャンスの牌だ。
【5ソウ】を切っている白鳥は、【3ソウ】36s待ちやカン【3ソウ】待ちが出てくることは無いが、ペン【3ソウ】は否定されていない。

醍醐が【7マン】ではなく【3ソウ】を切った理由は、直前の大介が切った【8マン】だ。

大介はアガれない【6マン】をツモ切った後、手の中から【8マン】を切っている。

役牌は【西】以外全て見えており、【9ソウ】をポンしているが【6ソウ】切りが早いことから、大介の役は【西】チャンタ・一通・三色などが考えられる。

【6マン】を切っているにも関わらず、【8マン】を持っていたということは手の中に関連している可能性が高く、【西】チャンタ・一通の3つでは使うことができる。

例えばこんな形や

こんな形などが考えられる

醍醐は大介の【8マン】手出しを見て、【7マン】【3ソウ】では【7マン】の方が当たる可能性が高いと考え、3s切りを選択。

この選択のすごいところは、【3ソウ】が大介・白鳥どちらにも通っていないところだ。

大介の手がチャンタや123の三色だったとしたら、【3ソウ】待ちになっているケースだって充分にあり得る。

たとえ【7マン】の方が3sよりもやや危ないと思ったとしても、3sが通るわけではなく、【7マン】を切れば自身の受け入れが広いのであれば、【7マン】を切ってしまう人も多いのではないだろか。

極端な言い方をすれば、醍醐の手から【7マン】をツモ切って放銃したとしても、誰から何を言われることも無いだろう。

ただただ、得だと判断した選択を積み重ねていく__
醍醐の魂の籠った選択が、詰み寸前だった状況を切り開いていく。

次巡、大介のツモは【9マン】

【6マン】を引く前にこの【9マン】が顔を出していれば、あっさり決着が付いていた。大介も勝利まであと1枚というところから、牌のイタズラが続く。

【9マン】は白鳥に通っていないため、【7マン】を切って【9マン】単騎に変更。

この変更により、醍醐の手が復活する。

【7マン】を切ることができ、【1ソウ】を引き入れカン【2マン】でリーチをかける。

大介が【2マン】を引き、中膨れの【2マン】単騎に変更。

結果は流局。
勝負こそ決まらなかったものの、醍醐は勝負の決まる放銃を回避する。

そして南4局1本場

6巡目、醍醐にテンパイが入る。
【9マン】【3ピン】のシャンポン待ち。役が無いためリーチが必要だが、【9マン】が1枚切れているので見た目枚数で残り3枚。

ここが、醍醐がインタビューで語っていたシーンだ。

この局面での正解は、テンパイ取らずの打【3ピン】だと醍醐は言う。

理由は親番の白鳥が絶対に押してくるからだ。
白鳥は4着の優とかなり点差が離れているので、もし醍醐がリーチをかけても、よっぽどのことが無い限り攻めてくるだろう。

そのため白鳥と1対1のめくり合いになっても分があるよう、リーチを打つときは好形テンパイが望ましい。

理屈ではわかっているが、どうしても裏目を恐れてしまう。
もし次のツモが【9マン】【3ピン】で、アガリを逃して逆転できなかったら
【3ピン】と赤【赤5ソウ】のくっつきに構えても、カンチャン待ちになって好形変化しなかったら…

それでも、醍醐は自身の選択を信じ、最適解を選んでいく。

最適解を選んだとしても裏目を引くことが多々あるのが麻雀だが、今回は醍醐に味方した。

最高の【4ピン】を引き、【2ピン】【5ピン】【8ピン】待ちでリーチをかける。
この【2ピン】【5ピン】【8ピン】が山に9枚残っていた。

親番の白鳥から出アガり、勝負を決める。

南場からの大逆転劇で、個人2連勝を達成。

麻雀は、長い目で見れば得な選択をし続けたプレイヤーが勝ちやすいゲームだが、プロの対局では、短期での結果を求められることも多く、短期がゆえに起きる葛藤は、見ている人の心を打つものがある。

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀シリーズ 新刊情報/