あの日語った悲願へ 瀬戸熊直樹 続く雷電の挑戦【Mリーグ2024-25観戦記 3/10 第1試合】担当記者 #後藤哲冶

これを終盤安牌に窮した日向から捉える。
5200の直撃で、これで勝負の行方は分からなくなった。

南4局

この太のアガリは、瀬戸熊にとっても悪くなかった。
2着目だった日向から直撃したことにより、2着目瑞原との点差は17300。
満貫を直撃されても変わらない、比較的安全なトップ目に立つことができた。

南3局で5200をアガリ、着順アップのための点差が縮まっていた太が【2マン】【5マン】待ちのリーチへ。
リーチタンヤオピンフ。ツモれば3着は確定、裏ドラが乗れば2着まで行けるリーチだ。

これに対して瀬戸熊の対応が面白い。
太にスジとはいえ当たり得る牌の【7マン】【7ソウ】をイーシャンテンからプッシュ。

更に【3ピン】を引いた後、日向から切られた【南】をポンして前に出た。
つまり、瀬戸熊はこの局アガリに向かったのだ。

瀬戸熊は、確かに太に12000までなら放銃してもトップ。
だからこそ、「当たっても良い」くらいの感覚で打っていたのかと思ったが、それは違った。

「マンズ下が濃厚で、【3マン】は勝負するか迷っていた。ドラと赤が切れてきたので、(相当な高打点はあまり無い)上手くテンパイやアガリで連チャンを狙ってました」

と語ってくれた。
そして1500でもアガリさえしてしまえば、次局瑞原には跳満ツモ条件すらも残らなくなる。
アガリやテンパイで、更に素点を積み重ねるルートを選んだのだ。

ボーダー争いからは抜けたように見える雷電。
しかし、戦いはレギュラーシーズンで終わりではない。

先を見据えて、瀬戸熊は狙える加点チャンスを逃さないように打っていたのだ。

しかしこの南4局は、太のツモアガリで終局。
裏ドラ2枚の3000、6000は、瀬戸熊からすると少し予定外の失点だったかもしれないが。

それでも見事に、最後まで戦う姿勢を示して、堂々たるトップを瀬戸熊が獲得した。

太が最後に2ランクアップの跳満ツモで2着に。
瀬戸熊は要所でアガリを決め、見事なトップ獲得となった。

南4局での瀬戸熊の姿勢を見て改めて思う。
この時期、レギュラー突破争いや個人タイトル争いに注目が集まりがちだが、全チーム懸命に戦っていることを忘れてはならない。
レギュラーが終わればすぐにセミファイナルが始まり、そして上位4チームに入れなければ、ファイナルでは戦えない。

当たり前のことではあるが、優勝を狙うための終盤戦を、全チームが戦っているのだ。

雷電が狙うは初優勝。
いつか瀬戸熊が最強位を獲った時に聞いたことがある。

「次はMリーグでも勝ちたい」と。

瀬戸熊が欲しいと願うMリーグ優勝のタイトル。
まだまだ今期だって、可能性は十分に残っている。

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