あの日語った悲願へ 瀬戸熊直樹 続く雷電の挑戦【Mリーグ2024-25観戦記 3/10 第1試合】担当記者 #後藤哲冶

南1局

ホンイツを見ていた瀬戸熊だったが、ソーズのリャンメンターツができたことでホンイツを一度見切る。
ドラ周りの【3ソウ】を残していたことが功を奏した。

【赤5マン】を引き入れた後、更に【西】を引いてリーチへ。
【6マン】にくっつけばホンイツのルートを残しつつ、こうなれば素直にリーチ。
瀬戸熊の構想通り。ドラをツモれば2000、4000。十分に二の矢になる打点。
ドラの【2ソウ】は3枚山に残っている。

そこに日向が追い付いた。一度はダマテンに構えたが、
【6マン】が切れたことで手牌の変化が乏しくなったこともあり、そのままカン【4マン】でのリーチ敢行。
現状4着目にいることを考えても、良いリーチ判断だと思う。
日向の待ち【4マン】も3枚山に残っていた。

が、制したのは瀬戸熊だった。
注文通りドラの【2ソウ】をツモっての2000、4000。
これで大きくトップを手繰り寄せる。

しかし瀬戸熊が素晴らしい打ち回しを見せたのはこの局だった。

南2局。イーシャンテンから【4ソウ】を引き入れて形が変わる。
直前に切られた【8ソウ】は場に3枚目の牌で、カン【5ソウ】のテンパイが取れる牌だったがスルー。
タンヤオで無防備になる上に、カン【5ソウ】では戦えないと感じ、山に手を伸ばした。

そして瀬戸熊が選んだ打牌は【6ソウ】だった。
前述した通り、【8ソウ】が3枚切れで【5ソウ】【8ソウ】の待ちは目に見えて苦しい。
加えて【4ソウ】を引いたことでチートイツのイーシャンテンにもとることができたが、瀬戸熊はそうはしなかった。

雀頭が【5マン】に変わった後、【6マン】を引き入れて打【5マン】
受け入れ枚数はもちろん【3マン】切りだが、濃い牌が余り始めた親の太に対して【3マン】は切りやすい。
多少受け入れを犠牲にしてでも、ここは後に切りやすい【5マン】切りを選択。

これが好判断だった。
直後親の太からリーチが入り、瀬戸熊は一発目に切りやすい【3マン】を切った後、【4マン】引きテンパイで前巡持ってきた【2ピン】を勝負してダマテンに構える。
【5マン】が手に残っていると、いきなり【2ピン】【5マン】の2枚勝負前提になっており、トップ目からはかなり行きにくかったはず。
通っている【6マン】切りでイーシャンテンキープ等になっていると、このテンパイにはたどり着けていないのだから。

最後の【8ソウ】を、リーチ者太から捉えた。

6巡目の【6ソウ】切り、そして8巡目の【5マン】切り。どちらもできていないと辿り着くことのできない3900。
この局は瀬戸熊の持つ懐の深さが存分に活きた1局だったように思う。

南3局1本場

日向が4000オールをツモって一気に2着まで上がった後。
瑞原が【發】【白】を仕掛けてホンイツへ。

瀬戸熊は浮いている【中】を切ることなく、あくまで控えめな進行。
瑞原の切り出しからみても、ホンイツに真っすぐ向かっていそうで、そう大三元がありそうな手順ではなかったが、単純にそのリスクを背負う必要が無いという判断。
このままテンパイできたとしても、リーチが必要な手になる可能性が高い。ならば、【中】を打たずにアガりやテンパイで来た時だけ手を組む。
二の矢を繋げたことが、この立ち回りに繋がっている。

また、親番の日向が強い牌を切らずオリを選んだことも、瀬戸熊が引きやすい要因だった。
瑞原に満貫クラスをツモられたとしても、まだ有利な状況は変わらない。
日向としては自身の手もドラ3あっただけに、トップになるべく強く【1ピン】【9ピン】を押しても十分良いシーンだったが、ここは無理しない判断。

しかしこの選手は当然真っすぐ来る。
太だ。
4着に沈んでいたが、ここで勝負へ。
大三元の可能性がある【中】も手の内に無ければ、形もペン【3ソウ】と全く良くはなかったが、これを堂々とリーチに行けるのがこの選手の強さ。

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