「条件戦」を戦い抜いた男、多井隆晴、佐々木寿人【Mリーグ2024-25セミファイナル観戦記 4/28 第2試合】担当記者 #高倉拓馬

「条件戦」を戦い抜いた男、

多井隆晴佐々木寿人

文・高倉拓馬【火曜担当ライター】2025年4月29日

第2試合

東家:小林剛(U-NEXT Pirates)

南家:多井隆晴渋谷ABEMAS

西家:鈴木たろう赤坂ドリブンズ

北家:佐々木寿人KONAMI麻雀格闘倶楽部

この半荘、注目となるのは麻雀格闘倶楽部だろう。

麻雀格闘倶楽部はこれがセミファイナル最終試合。現在雷電とのポイント差は26.9で、この差によって雷電に突きつける条件が変わってくる。

トップを取れば雷電は2半荘で1回のトップか、あるいは2着2回の条件が必要になり、麻雀格闘倶楽部にはそこそこの通過率がある。

逆にラスを引くと雷電もラスを引くことが最低条件となり、通過は厳しい。

麻雀格闘倶楽部の命運は魔王に託された。

東場はぶつかり合いこそあるものの、大きな点数移動が起こらない。

だがその中でも、多井の2回のリーチ判断は素晴らしかった。

かなり厳しい条件の中、相手の親を全力で流し、自分の親で全力で加点するという目標でプレイした多井。

一般的にはかけることがためらわれる「リーチのみ愚形」を、この半荘では多用した。

リーチのみのシャンポン待ち、多井はためらわずに即リーチといった。

3人が序盤に【7ピン】【9ピン】と捨てていて【8ピン】の場況の強さがうかがえる。

そして自分の手にはろくな変化がない。

実際リーチ時点では3山。

他3者に集まってしまったが、場況が良い牌というのは、得てして他家が使いにくい牌でもある。

たろうから出た【8ピン】を捉えて1300。

タンヤオピンフ変化がありそうなこのペン【3マン】も、リーチ。

【3マン】の場況の良さに加えて、たろうのホンイツに対する抑制目的、仮に押されても【3マン】は使い切れないだろうと踏んでのリーチだ。

この【3マン】も3枚山。場況読みがピッタリだ。

こうして多井は小さいながらもアガリを重ね、トップ目で南場を迎える。

ABEMASはポイント状況的には厳しい立場。

それでも、トップを待ち望んでいるサポーターが沢山居る。相手の親を全力で流し、自分の親でなんとしてでもという執念が感じられる。

しかし、嵐は急に訪れた。南1局

たろうのダブルリーチ、赤ドラ2の勝負手。

【6マン】が打たれて【3マン】が筋となり、

寿人が2枚持っている【3マン】が危険に晒されるが、打たない。

【9ソウ】はワンチャンス。【3マン】は両面にこそ当たらないもののペンチャン、カンチャン、シャンポン、単騎と愚形パターンを網羅しており、その危険度は無筋に匹敵する。

一応自分の手が復活する可能性もあり、先に【9ソウ】とした。

この一手で寿人の手から現物が尽きることは無くなり、無事最終巡まで凌ぎ切った。

一方多井の手。安全牌、安全牌と切り進めていたのに、テンパイ。

ションパイの【北】を打って、テンパイを取る。

一応このカン【8ピン】があと1枚残りで、海底でツモれる可能性も残っている。

だが掴んで来たのは、アガリ牌はアガリ牌でもたろうの物。

通っていない牌がかなり多いことがお分かりいただけるだろうか。

・マンズの【1マン】【2マン】【3マン】【4マン】

・ピンズの【6ピン】【7ピン】

・ソウズの【2ソウ】【3ソウ】【4ソウ】【6ソウ】

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