「条件戦」を戦い抜いた男、
文・高倉拓馬【火曜担当ライター】2025年4月29日
第2試合
東家:小林剛(U-NEXT Pirates)
北家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
この半荘、注目となるのは麻雀格闘倶楽部だろう。

麻雀格闘倶楽部はこれがセミファイナル最終試合。現在雷電とのポイント差は26.9で、この差によって雷電に突きつける条件が変わってくる。
トップを取れば雷電は2半荘で1回のトップか、あるいは2着2回の条件が必要になり、麻雀格闘倶楽部にはそこそこの通過率がある。
逆にラスを引くと雷電もラスを引くことが最低条件となり、通過は厳しい。

麻雀格闘倶楽部の命運は魔王に託された。
東場はぶつかり合いこそあるものの、大きな点数移動が起こらない。
だがその中でも、多井の2回のリーチ判断は素晴らしかった。

かなり厳しい条件の中、相手の親を全力で流し、自分の親で全力で加点するという目標でプレイした多井。
一般的にはかけることがためらわれる「リーチのみ愚形」を、この半荘では多用した。

リーチのみのシャンポン待ち、多井はためらわずに即リーチといった。

3人が序盤に、
と捨てていて
の場況の強さがうかがえる。
そして自分の手にはろくな変化がない。

実際リーチ時点では3山。
他3者に集まってしまったが、場況が良い牌というのは、得てして他家が使いにくい牌でもある。

たろうから出たを捉えて1300。


の場況の良さに加えて、たろうのホンイツに対する抑制目的、仮に押されても
は使い切れないだろうと踏んでのリーチだ。

このも3枚山。場況読みがピッタリだ。
こうして多井は小さいながらもアガリを重ね、トップ目で南場を迎える。
ABEMASはポイント状況的には厳しい立場。
それでも、トップを待ち望んでいるサポーターが沢山居る。相手の親を全力で流し、自分の親でなんとしてでもという執念が感じられる。
しかし、嵐は急に訪れた。南1局。

たろうのダブルリーチ、赤ドラ2の勝負手。

が打たれて
が筋となり、

寿人が2枚持っているが危険に晒されるが、打たない。
はワンチャンス。
は両面にこそ当たらないもののペンチャン、カンチャン、シャンポン、単騎と愚形パターンを網羅しており、その危険度は無筋に匹敵する。
一応自分の手が復活する可能性もあり、先にとした。
この一手で寿人の手から現物が尽きることは無くなり、無事最終巡まで凌ぎ切った。

一方多井の手。安全牌、安全牌と切り進めていたのに、テンパイ。
ションパイのを打って、テンパイを取る。
一応このカンがあと1枚残りで、海底でツモれる可能性も残っている。

だが掴んで来たのは、アガリ牌はアガリ牌でもたろうの物。

通っていない牌がかなり多いことがお分かりいただけるだろうか。
・マンズの
・ピンズの
・ソウズの