運命を明日へ「持ち越す」ために──“麻雀賢者”赤坂ドリブンズ園田賢がオーラスに出した、2本のリーチ棒【Mリーグ2024-25ファイナル観戦記 5/15 第2試合】担当記者 ゆうせー

もちろん、最も託したい選手に多く任せることが、現行のルールでは勝つための正着だ、というのは分かる。

だが、同じ選手、そして同じメンツばかりが続くと、見ている側としてはいささか食傷ぎみになってしまう。これが毎年続くと、マンネリ感が強くなる可能性もある。

一方で、今までファイナルシリーズでは比較的登板数の少なかった茅森のような選手が、キラリと光る選択を見せてくれると、視聴者としては新鮮で、発見をしたような気持ちにもなる。

何より、Mリーグは「チーム戦」だ。全員で勝ち取る優勝が見たい、と考えるのは自然な気持ちではないだろうか。

もちろん、選手のスケジュールや、突然の体調不良など、考えなければいけない事柄は存在する。

ただ、ファイナルシリーズだけは、全員が同じ試合数だけ出ることにより、正真正銘「4人」で戦って、その年の優勝を決めるのがいいと私は考える。皆さんはどうだろうか。

この場を借りて所感を述べたが、そんな気持ちにさせてくれるくらい、ファイナル終盤での茅森の打ち回しからは、勝負所でのハートの強さをひしひしと感じた。

さて、この局は、

仲林がリーチツモタンヤオ、1100-2100のツモアガリを決めて、上位との差を詰める。

次の親番は本田。

いい形のイーシャンテンだ。

ただ、よく見ると下家の園田が切った【7ピン】をスルーしている。

そして、園田からリーチが入ったあと、

最後のツモでテンパイ。

【2マン】は現物である。

ここで、

雷電の貴公子、本田朋広は、

通っていない【3マン】を切って、ツモ番なしリーチをかけた!

もう特大トップを取るしかない雷電だからこその、一撃必殺狙い。

特殊な条件下での、これぞRMO──

「(R)雷電の(M)麻雀は(O)面白いんです!」

と言うほかない選択だ。

今シーズン、最後まで雷電ユニバースが試合を楽しみに出来るのも、たくさん試合に出て、ポイントを多く持ち帰ってきた本田の存在が大きいように思う。

園田が持ってきた、この局での最後の牌は、

ドラの【3ピン】

園田は肝を冷やしただろうが、これは本田の入り目

南2局は流局。続く南2局1本場も流れたあとの、

南2局2本場

本田が先制リーチを放つ。

ここに一発で飛び込んだのは、

園田であった。

リーチ一発ピンフ裏、12000は12600で、本田が突き抜けていった。

だが、まだまだ稼ぎたい本田。

そんな中で、プロの読みが炸裂したのは、次の南2局3本場

園田が3副露して、

今、【2マン】チーのあとに、

【6ソウ】を打ったところだ。

この時点で、【7マン】は「超危険牌」と判断できるのである。

少々難しい話にはなるが、プロの思考を味わっていただきたいので、お付き合いいただきたい。

理由としては、「【6ソウ】マタギのリャンメン待ちが否定されているから」というのが大きい。

直前に、茅森が【6ソウ】を切っていて、園田はポンをしていない。

よって、【5ソウ】【6ソウ】【6ソウ】【6ソウ】【6ソウ】【7ソウ】の形が否定されるのである。本田が少し前に切った、【7ソウ】に声がかかっていない、というのもある。

そして、このように、最終手出しのマタギが通ったときというのは、その最後に切った牌は「好形テンパイを求めて持っていた牌」と考えられる。そうでないと、わざわざ危険を冒してまで残しはしない。

パターンとしては大きく2つあって、1つは【6ソウ】の周りがアタマになっているケースだ。

【6ソウ】【7ソウ】【7ソウ】【5ソウ】【5ソウ】【6ソウ】で持っていて、残るターツが愚形なので、なんとか切り替えたいと目論んでいるときである。

【3マン】【4マン】【6ソウ】【7ソウ】【7ソウ】(愚形ターツ)→例 【3マン】【4マン】【6ソウ】【7ソウ】【7ソウ】【6マン】【8マン】

この場合、残る愚形ターツは「関連牌を河に切っていない」ブロックとなる。逆に言えば、もし【6マン】【8マン】あたりを切っているなら、【6ソウ】【7ソウ】【7ソウ】をリャンメンで採用していないことになり、矛盾が生じるからだ。

このパターンでは周りを切っていない【7マン】は、危ない牌の判定となる。

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