もちろん、最も託したい選手に多く任せることが、現行のルールでは勝つための正着だ、というのは分かる。
だが、同じ選手、そして同じメンツばかりが続くと、見ている側としてはいささか食傷ぎみになってしまう。これが毎年続くと、マンネリ感が強くなる可能性もある。
一方で、今までファイナルシリーズでは比較的登板数の少なかった茅森のような選手が、キラリと光る選択を見せてくれると、視聴者としては新鮮で、発見をしたような気持ちにもなる。
何より、Mリーグは「チーム戦」だ。全員で勝ち取る優勝が見たい、と考えるのは自然な気持ちではないだろうか。
もちろん、選手のスケジュールや、突然の体調不良など、考えなければいけない事柄は存在する。
ただ、ファイナルシリーズだけは、全員が同じ試合数だけ出ることにより、正真正銘「4人」で戦って、その年の優勝を決めるのがいいと私は考える。皆さんはどうだろうか。
この場を借りて所感を述べたが、そんな気持ちにさせてくれるくらい、ファイナル終盤での茅森の打ち回しからは、勝負所でのハートの強さをひしひしと感じた。
さて、この局は、

仲林がリーチツモタンヤオ、1100-2100のツモアガリを決めて、上位との差を詰める。
次の親番は本田。

いい形のイーシャンテンだ。
ただ、よく見ると下家の園田が切ったをスルーしている。
そして、園田からリーチが入ったあと、

最後のツモでテンパイ。
は現物である。
ここで、

雷電の貴公子、本田朋広は、

通っていないを切って、ツモ番なしリーチをかけた!
もう特大トップを取るしかない雷電だからこその、一撃必殺狙い。
特殊な条件下での、これぞRMO──
「(R)雷電の(M)麻雀は(O)面白いんです!」
と言うほかない選択だ。
今シーズン、最後まで雷電ユニバースが試合を楽しみに出来るのも、たくさん試合に出て、ポイントを多く持ち帰ってきた本田の存在が大きいように思う。
園田が持ってきた、この局での最後の牌は、

ドラの!
園田は肝を冷やしただろうが、これは本田の入り目。
南2局は流局。続く南2局1本場も流れたあとの、
南2局2本場。

本田が先制リーチを放つ。
ここに一発で飛び込んだのは、

園田であった。

リーチ一発ピンフ裏、12000は12600で、本田が突き抜けていった。
だが、まだまだ稼ぎたい本田。
そんな中で、プロの読みが炸裂したのは、次の南2局3本場。

園田が3副露して、
今、チーのあとに、

を打ったところだ。
この時点で、は「超危険牌」と判断できるのである。
少々難しい話にはなるが、プロの思考を味わっていただきたいので、お付き合いいただきたい。
理由としては、「マタギのリャンメン待ちが否定されているから」というのが大きい。
直前に、茅森がを切っていて、園田はポンをしていない。
よって、や
の形が否定されるのである。本田が少し前に切った、
に声がかかっていない、というのもある。
そして、このように、最終手出しのマタギが通ったときというのは、その最後に切った牌は「好形テンパイを求めて持っていた牌」と考えられる。そうでないと、わざわざ危険を冒してまで残しはしない。
パターンとしては大きく2つあって、1つはの周りがアタマになっているケースだ。
や
で持っていて、残るターツが愚形なので、なんとか切り替えたいと目論んでいるときである。












この場合、残る愚形ターツは「関連牌を河に切っていない」ブロックとなる。逆に言えば、もしあたりを切っているなら、
をリャンメンで採用していないことになり、矛盾が生じるからだ。
このパターンでは周りを切っていないは、危ない牌の判定となる。