カンで掴んだ者と、
カンに泣いた者 ──
【A卓】担当記者:生沼紗織 2025年11月28日(土)
チャンスの神様は前髪しかない、というが、麻雀最強戦の神様には後ろ髪もある。
それが、11月29日に行われた最終予選『ザ・リベンジ』だ。
一年を通じて行われる最強戦予選の放送の中で、選ばれし者だけがオファーされて出場することができる敗者復活戦。
選考基準はただひとつ。麻雀最強戦でいいプレイをし、「もう一度この舞台で見たい」と思わせたプレイヤー。
人気や実績だけじゃなく、麻雀最強戦という舞台での活躍が重視されるこの予選は、ある意味麻雀打ちが一番呼ばれたい舞台とも言える。
今年、その予選A卓に選ばれたのがこの4名だ。
卓上大乱闘B卓敗退 最高位戦日本プロ麻雀協会所属 朝倉康心プロ
最強の遺伝子3位 日本プロ麻雀連盟所属 鷹見としやプロ
最強の遺伝子4位 日本プロ麻雀連盟所属 山脇千文美プロ
Mリーガー最強決戦準優勝 日本プロ麻雀連盟所属 本田朋広プロ
それぞれ出場した予選の中で、印象的なプレイを見せるも、惜しくも優勝を逃したプロばかりだ。
朝倉はオーラス、逆転手をテンパイしたが、安易に字牌の白単騎にとらず、読みと心中した
単騎でリーチを敢行。実際に山に残っていたその
は、惜しくも朝倉のもとに来ることはなかった。
この鋭い読みと、それと心中できる覚悟が、ファンが朝倉の麻雀に魅了される理由だろう。
事実、毎予選行われる勝利予想では、現役Mリーガー・本田朋広を差し置いて堂々の一位となった。
鷹見は、フリテンの
をポンしなおして三色同刻をアガるなど、劇的なプレイで鮮烈な最強戦デビューを飾った。結果こそ3位だったが、道中も緩急に富んだ攻撃を繰り広げ、解説の仲林圭プロをして「天才」と言わしめるほどの、圧倒的な実力とセンスを見せつけた。おそらく記憶に新しい視聴者も多いのではないだろうか。
この鷹見の鮮烈なアガリの裏で、悔し涙を飲んだのが山脇だった。
親の鷹見の三色同刻確定の仕掛けに気圧されることなく、役満までありうる9pを勝負してリーチ。結果は鷹見のツモアガリになったが、「価値ある手で勝負をする」という意思のこもった闘牌は、多くのファンを魅了した。
山脇はインタビューで、「週に8回セットしている」と語っていたという。ご存じの通り、一週間は7日しかない。1日で勉強会をはしごするほど、日々麻雀を打ち込んでいる勉強熱心な側面も、選出の理由の一つとなったという。
本田はMリーガー最強決戦決勝の東1局、親の勝又健志プロの先制テンパイの当たり牌を抑えて組み直し、海底でハネマンをツモ。続く東2局でもハネマンを出アガり、ほぼ優勝を決めたかと思われたが、東4局の渡辺太プロによる大連荘で逆転され、惜しくも準優勝となった。
四者四様の選出理由があるが、どんなに魅力的な選手が集まったとしても、優勝するのはたったひとり。ただし、予選に限っては上位2名が決勝進出となる。
果たして、今日、チャンスの神様の後ろ髪を掴むのは、一体誰か。
東場はまさに鍔迫り合いをしているような、一進一退の攻防が続いていたが、朝倉が東4局にマンガンをツモアガってトップ目に立つ。
南2局、ラス目の鷹見が最後の親番で、
をポンして連荘を目指す。
それを受けて親が落ちた2着目の本田はこの手牌。
三着の山脇とは1200点差。四着目の鷹見も8100点差と近い。
七対子の目を残しつつ、素直に進めるなら![]()
に手をかけそうな形だが、本田の選択は打
。
まだ局数も多く残っており、ドラもなく、急所が多い手牌だ。
後手にまわった時のことを考えて動けるタンヤオをつけにいった、ということだろう。
Mリーガーの中でも副露率の高い、本田ならではの選択だ。
これが大きくハマり、7巡目に一盃口出来上がりのタンヤオで先制リーチ。
後がない鷹見もなんとか粘り込み、ドラ表示牌のカン
でテンパイを入れた。
ほどなく山脇も、ドラ
を引き入れてカン
の追っかけリーチ。
鷹見にとっては正念場だ。
本田・山脇どちらかのアガリでこの親が落ちれば、ラス目の鷹見はかなり苦しい展開を強いられる。逆に、供託2本を回収しながらアガることが出来れば、ほぼ本田・山脇と並び、親が落ちても勝機がある。もちろん、打点はあればあるだけ良い状況。
そんな鷹見のもとに4枚目の
が訪れた。鷹見は少考しこれを加槓。
しかし、新ドラの恩恵を受けたのは、本田だった。
誰かが恩恵を受ければ、誰かが被害を被るのが麻雀という勝負の摂理だ。














