「東1局で勝負はついていた…」石橋伸洋が書き下ろす最強戦敗戦記

文・石橋伸洋

あの日、白鳥がを理論で止めたのか、それとも直感で止めたのかは定かではない。

しかしーーーー

あえてオカルト風に言うと東1局に勝負はついていた

私は、最強戦の予選で3位敗退。
直感を信じていればとらなくていいリスクをとらずに済んだし、これから書くような読みもいらなかった。
直感を信じずとも理論をつきつめて心揺れずに進行していれば形式テンパイをしっかり目指すことができたが、それもできなかった

「今までやってきた経験を信じて、そして基本に忠実に打とう」と行きの車を走らせながらぼんやりと考えていたことなど自分にはできない相反することだった。

5月10日。

麻雀の実戦ができない生活がずっと続いていた。
家でネット麻雀や牌を使っての練習はしているのだが、できることなど限られている。

久々の対局となったのは

『麻雀最強戦2020最強の麻雀戦術本プロ決戦』。

「他の対局者も同様の条件であるのだから不安を抱えているのは自分だけではないはず。今までやってきた経験を信じて、そして基本に忠実に打とう」

会場に車を走らせながら自分に言い聞かせていた。

試合開始の合図である銅鑼の音が鳴り響く余韻も残る東1局。
朝倉が親番で早々に1枚目のオタ風のポンから動きだしていた。

対する自分の手格好

 

朝倉の切り出しは→ポンして打であり、ホンイツまず想定、ドラはピンズ、そしての手出し後のからホンイツの場合はピンズではなくソーズである可能性が高そうだ。


ネット麻雀・天鳳出身の朝倉。ネット麻雀のイメージは鳴きが多いと連想する人が多いと思うが、朝倉はイメージとは違い「とりあえず鳴いてみよう」という仕掛けは意外と少ない。
ドラ色のホンイツの場合は朝倉でも普通に「とりあえず鳴く」ことはそこそこあるのだが、ドラ色ではない場合は話が別。
非ドラ色であるソーズのホンイツと仮定して出現頻度が高そうな順に並べると、以下のようになる。

①手の内に(アンコ、トイツ、孤立の)字牌が多く安全度が確保されている手牌
→朝倉が安全牌がない状態でバラバラから仕掛けることは少ない。

②手の内に字牌が少ない場合はアガった場合に打点が見込める手牌
→ソーズホンイツの場合はドラのがないので役牌、イッツートイトイのどれか(または複数)が絡んでいる

③配牌がよくて手が早い、鳴いてイーシャンテンかテンパイの手牌
→1枚目のから動いたことを考えると鳴かずにメンホンを狙う手もあるのでケースとして少ない

自分がドラドラの手牌でこのソーズホンイツに鳴かれる、または当たる可能性のあるを切る価値が果たしてあるのかどうか。


が余ってはいるものの字牌がまだ切り出されておらず、孤立字牌を抱えながらの進行が多いとみては切っていった。

このは何事もなく通過…そして、次の朝倉の手出しは
ホンイツを狙う打ち手がと切るのはかなり特徴的な切り出しで、を切ったときに

などをはじめとした複合形の可能性が薄くなり、ホンイツへのアガリに向かっているとするとブロックが整っていることを意味する。

ブロックが整っているとなると残っているのはリャンメン()と字牌(役牌の残りは。オタ風の)や数牌を含むシャンポンの可能性が高い。

次巡私の手は


切りが自然ではあるものの、が鳴かれる(当たる)可能性がそこそこあると読んでいたため、ここは保留の打

そして次の朝倉の手出し

これによって私が直前に切ったを朝倉がチーしていないのはかなりの違和感が残ることになる。
(実戦ではこれを全て情報処理できる前に局面が進んでいくので「違和感」という形で残ることが多い。)

この違和感はなんだ?

勝負手を目の前にした私はをギリギリまで押すべきだと考えていたので必死に考えていた。
チーせずから残っていたリャンメンの候補からが除外される。
そして打からも除外。

でははどのように使っていたのか…

待ち変え?

これはひょっとしてブラフもあるのではないか

様々なパターンが頭の中がグルグルしているうちに朝倉が手出しで

ソーズホンイツと読んでいたにも関わらずここでピンズの手出しである。

この朝倉の切り…
日頃から接点の多い朝倉のちょっとした顔の動きだったり、息遣いの違いだったりかもしれない。ひょっとしたら自分の一か月のブランクによるただの勘違いだったかもしれない。

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