朱き卓上に染まる──破壊の女神、伊達朱里紗──【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 12/12 第2試合(麻雀チャンネル)】担当記者 小林正和

もちろん、本田のAプランは、自身がアガり切ることだっただろう。

だが結果として、本田が親番での失点を免れたこの展開は、十分にBプランと呼べる着地点だ。

こうして劣勢に立たされながらも、本田はやれることをやり切り、ラス回避の3着を死守していったのだった──。

と、ここで終わりかと思わせておいて…実はこの半荘、本田の「やんちゃさ」は、まだ終わっていなかった。

 

南3局2本場

ラス目の阿久津からリーチを受けた本田の手牌。

解説・河野直也

【2マン】も通ってない!全然無理ですね。【2ソウ】がフリテンもあって、ここからはいくら何でも押せないです!!」

本田

【5ピン】をペシっ!)

解説・河野

「えっ!【5ピン】!!」

解説席もビックリ。

このあとは2着を諦めず、阿久津のリーチに対して押し続け、追いかけリーチまでたどり着いた場面も用意されている。

詳細は、ぜひ追っかけ再生で確かめてほしい。本田という打ち手の「らしさ」が、最後の最後まで詰まっていた。

 

  • 三浦らしさを封じた、伊達らしさ──朱き破壊の女神──

自団体では、最終節を残しながらも昇級ボーダーに約100Pの差をつけ、ただ一人、200Pオーバー。

早々にA1リーグを決めてしまいそうな男…

それは、三浦智博だ!

今、強い雀士の一人として注目を集め、新チーム発足メンバーとしてEARTH JETSに選ばれた三浦。

しかし、ここまでの個人スコアは最下位と、あまりにも苦しく、悔しい状況。

だが一つ掴めば、一気に浮上できるタイプでもある。

なぜなら、攻め寄りの打ち手の中でも、とりわけ打点にこだわるタイプだからだ。

この試合でも、何度もポンテンやチーテンが取れた。それでも三浦は、メンゼン主体の選択を崩さずに戦っている。

 

東2局

リーチ・ツモ・ピンフ一盃口・裏3

6,000オール

一撃が大きいと思えば、受ける時も徹底している。

上下に点差がついた南2局では

ラス目の阿久津からリーチを受けるも親番で着落ちのリスクは小さい局面にも関わらず、「実戦5万半荘の感覚派」は一発で【5ピン】放銃となり得る危険さを冷静に回避してみせた。

こうして、ここまでの悔しさをぶつけるトップを三浦が掴むかに思われた。

だが突然として、女神のような微笑みとともに、卓を朱に染めていく者が現れる。

伊達朱里紗だ!

東3局

あの本田でさえ身を引いた二軒リーチへ、迷いなく踏み込んだ!

河をよく見ていただきたい。

【5マン】【8マン】はすでに5枚見えである。

親番とはいえ、自身は2着目。

この状況でリーチに踏み切れる者は、決して多くないだろう。

これが、先日Mリーグ通算獲得スコア1,000Pを達成した、いかにも「らしい」強さの一面だ。

阿久津から最後の1枚のアガリ牌【5マン】を掴み取る、勝負強さもまた、伊達らしい。

このアガリをきっかけに場は5本場まで積まれ、気づけば6万点オーバー。

そして、さらにポイントを持てば、その「らしさ」は脅威を増す。

彼女がもたらすもの。

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