“名前も呼べない(笑)” 下石戟、笑顔の裏で首位肉薄【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 3/19 第1試合】担当記者 宮水さくら

“名前も呼べない(笑)”

下石戟、笑顔の裏で首位肉薄

文・宮水さくら【木曜担当ライター】2026年3月19日

第1試合

東家:伊達朱里紗KONAMI麻雀格闘倶楽部
南家:勝又健志EX風林火山
西家:下石戟BEAST X
北家:醍醐大セガサミーフェニックス

実力者が揃った本日の一戦。対局の主役として注目したいのは、今シーズンここまで確かな結果を積み重ねてきた下石だ。

ここまで既に12勝を挙げており、最多勝ランキングでは現在13勝で並ぶ永井孝典滝沢和典に肩を並べるチャンス。個人ポイントでも結果次第で首位へと躍り出る可能性がある。積み重ねてきたものを結果へと変え、上位との差を一歩でも縮めることができるのか。

 

東2局

下石に、さっそくチャンス手が舞い込む。ホンイツのテンパイとなるカン【7ソウ】を引き入れ、わずか5巡目でのテンパイ。

打点としては十分に戦える一方で、待ちはペンチャンと心もとない。ここは【發】のトイツ落としからテンパイを外し、チンイツへと向かう選択も視野に入る局面だった。

しかし下石が選んだのは、ペン【3ソウ】待ちのホンイツ一盃口テンパイを取るルート。打点は8000点。速度と打点のバランスを取りつつ、まずはアガリに向かう構えを見せる。

この直後、場も大きく動く。伊達がカン【3ソウ】を引き入れて【4ピン】【7ピン】待ちのテンパイ。先制リーチが入る。

そして勝又が【發】を切ったことで、下石に再び選択が迫られる。

仕掛ければ待ちが【1ソウ】【4ソウ】【7ソウ】へと変化し、待ちは良くなる。しかし、打点は3900点にダウン。一方で鳴かずに構えれば、待ちはペン【3ソウ】のままだが8000点の打点を維持でき、さらに次巡のツモによる変化やアガリも残されている。

ここで下石はスルーを選択。打点を重視し、ペン【3ソウ】待ちのテンパイを維持した。

さらにその後のツモ番でも追っかけリーチという選択肢があったが、ここもあえてリーチを打たずヤミテンに構える。場況を見据えた、落ち着いた判断が続く。

やがて親の勝又がダブ【東】を仕掛けて前に出る。【3ソウ】【6ソウ】のいずれかを切ればテンパイという局面で、勝又が選んだのは【3ソウ】。これを捉え、ホンイツ一盃口の8000点をアガり切る。

多くの分岐が存在したこの局面。いずれの選択も難度が高い中で、下石の判断はすべてがかみ合う結果となった。

試合後のインタビューでも、その思考は明確だ。テンパイ時の打牌選択について、「【5ソウ】を切るか【8ソウ】を切るかで迷ったが、【8ソウ】切りなら【4ソウ】【7ソウ】引きで二盃口、【5ソウ】切りなら一通一盃口と、どちらも同じ3翻の手変わりがある。その中で、どの形が後々【3ソウ】を引き出しやすいかを考えて【5ソウ】を選択した」と語る。また伊達のリーチに対しても、「【1ソウ】【4ソウ】【7ソウ】への変化もあったが、8000点のペン【3ソウ】でぶつけて勝負したかった」と、あえて鳴かずに押し切る意図を明かした。

さらに追っかけリーチを選ばなかった理由についても、「1軒リーチであれば、このように【3ソウ】がこぼれる可能性もあると考えた」と冷静に状況を見ていたことがうかがえる。

結果として、この局は経験に裏打ちされた下石の判断が見事に実を結んだ一局となった。

 

南3局

トップ目の醍醐大が38600点を持って迎えた、下石戟の親番。ここから反撃が始まる。

5巡目、下石はカン【3ピン】を引き入れ、カン【8マン】待ちのテンパイが入る。愚形でドラも絡まない手牌。打点・待ちともに十分とは言えず、ここはテンパイを外して手を作り直す選択も考えられる局面だった。しかし下石は迷わずリーチを選択。

親リーチをかけることで他家の自由度を奪い、局面を支配する構えを取る。

数巡後、伊達朱里紗【6ソウ】を引き入れ、ペン【7マン】待ちでテンパイ。

役もドラもないため一度はヤミテンに構えるが、次巡に【發】をツモ切りし追っかけリーチを敢行する。

ペンチャン待ち・リーチのみで親リーチにぶつける強気の一打だ。

両者の待ちは、山に残る枚数も僅差。まさに捲り合いの様相を呈する中、伊達が【8マン】を掴み、下石のアガリ。

リーチのみ2000点ながら、親番をつなぐ価値あるアガリとなった。

 

南3局1本場

再び下石に好機が訪れる。配牌から678の三色が見える好形で、4巡目には三色が確定。

カン【2ソウ】待ちのテンパイに仕上げ、ここも即リーチを選択する。

三色が確定しているためヤミテンに構える選択もあるが、下石は打点上昇を見据えたリーチを選ぶ。ツモれば4000オール、出アガリでも裏ドラ次第では12000まで見える攻撃的な一手だ。カン【2ソウ】は山に3枚。何としてでもアガり切りたい手牌である。

このリーチを受けた伊達は、ドラの【發】をトイツで抱えた難しい手牌。

押し返すか、回るかの判断を迫られる中で、彼女が選んだのは【發】のトイツ落とし。場には生牌ながら自分で2枚持っていることから、相対的に安全度の高い牌として処理した形だ。他家も安全牌に乏しく、全員が難しい対応を強いられる展開となる。

やがて場には【3ソウ】が2枚切られ、【2ソウ】が通りやすくなったタイミングで、トップ目の醍醐が【2ソウ】を掴む。完全な安全牌がない中での選択はツモ切り。

下石のアガリになる。

リーチ・三色・裏ドラ1の12000は12300。トップ目からの直撃というこれ以上ない形で、大きな加点に成功する。

 

南4局

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