「打点・押し引き・忍耐」
全てを見せても届かぬ夜──
松本吉弘が魅せた美学。
文・みやうち悠太【火曜担当ライター】2026年9月29日
第2試合
東家:竹内元太(セガサミーフェニックス)
南家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
西家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
まだまだ始まったばかりのMリーグ。しかし、開幕から3試合に登板し、1着2回・2着1回と圧巻のスタートダッシュを決めている男がいる。渋谷ABEMAS・松本吉弘だ。
迎え打つ3人も今季未だラス0。 だが、4人が卓に集えば必ずトップもラスも生まれるのが麻雀というゲームの残酷な理である。
東1局
4者4様に重い配牌で幕を開けた第二試合だったが、それぞれの選択によって徐々に手牌の形が引き締まっていく。
をポンして真っ直ぐに動き出した高宮。
789の三色を見据えて慎重に進める竹内。
ターツオーバーのイーシャンテンから手広く構える松本。
松本は6巡目に
をツモると、対子の
に手をかけた。 平和を見据えて役牌の
を落とす手もあるが、
は既に場に1枚切られており、縦の重なりが弱いとみた冷静な見切りだ。
次巡、
にくっつく
を引き、このタイミングで
を手放す。無駄のない手順である。
8巡目、
をツモって満貫が見える形へ。
を切って目一杯に受ける選択もあるが、仕掛けを入れている高宮の河からは中張牌がパラパラと手出しされている。既にテンパイか、あるいは一向聴。ど真ん中の牌でありドラとも関連する
は巡目が深くなるにつれ切りづらくなる。
松本は押し返しを見据え、安牌として
を抱え直し、
を入れ替えて形を固定した。
自身でドラ表示牌の
を1枚使っている以上、
を引き入れての跳満変化など高望みはしない。立直・平和・ドラ2で満貫確定。勝負手としてこれで十分── そう判断した直後、無情にもツモ牌として現れたのは、その「引けるはずのない
」だった。一向聴から危険牌を連続して押すのはリスクが高い。ここで一旦
を手放して迂回。
その後、雀頭候補として抱えていた
を暗刻にして再び
を押す。
打点、良形、受け入れの広さ。その全てが確約されていれば、危険牌だろうと鋭く踏み込む。これぞ松本の真骨頂とも言えるメリハリの効いた打牌だ。
しかし、
を押した次巡、引き入れたのは無慈悲なドラの
。 高宮はすでに![]()
の両面落としを見せており、テンパイは濃厚。
フリテン含みとはいえドラは押し切れず、高宮の現物に合わせて![]()
を払って迂回する。
直後、元太の捨てた
をチー。フリテンながら満貫のテンパイを組み上げた。
さらに高宮の加槓によって
に新ドラが乗り、松本の手はフリテンながらも倍満へと跳ね上がる。 だが、最終ツモ番で手元に滑り込んできたのは高宮の当たり牌である
だった。
高宮の河に![]()
が並んでいる以上、良形待ちが濃厚。筋も
–
以外残っていない。テンパイを維持するにしてもドラの
にも放銃の懸念がつきまとう。 松本はここで、静かにオリを選択した。
ノーテン罰符を払うことにはなったが、極限まで押しつつ、危険と察知すれば一切の未練を捨てて降り切る。松本の「丁寧な麻雀」が凝縮された一局だった。
東3局
高宮が跳満ツモを決めて一歩抜け出す中、東三局、松本に絶好の勝負手が入る。
3巡目、三面張が完成する絶好の
を引き入れて、
打
。タンヤオの可能性を残すことで、万が一
が出ていく聴牌となっても高打点が残る一打だ。
その後
をツモって雀頭が出来ると打
で両面を固定。
を引きでも満貫になる、完璧な一向聴へ育った。
しかし、先にリーチの声をあげたのはトップ目の高宮。
–
待ちで山にも多く眠っている。












