ストレスの果てに
宮内こずえが取り戻した
5年前の忘れ物
【決勝卓】担当記者:うめきち 2026年10月4日(日)
日本で麻雀が一番強い奴は誰か。
麻雀最強戦とは、まさにその問いに答えを出すための、麻雀界最高峰の戦いである。
今回の看板は女流プロ下克上合戦。A卓を勝ち上がったのはファイナル未経験の新鋭、B卓を勝ち上がったのは実績ある女流のベテランだ。正直に白状すると、初めて名前を聞いた選手もいた。でも、それでこそ下克上である。知らない名前が、知っている名前を食う。その瞬間を見たくて、私は画面の前に座った。
ただ、先に言っておく。この決勝卓で私の胸を持っていったのは、下克上を狙う新鋭ではなかった。アガれない、ツモれない、報われない時間を耐えに耐えた、一人のベテランである。
東家:高宮まり
南家:宮内こずえ
西家:金宮じゅん
北家:飯嶋ひとみ
解説:竹内元太
新鋭とベテランと忘れ物
まず新鋭の二人から。
飯嶋ひとみは麻将連合所属のプロ3年目で、女性だけが出られる将妃戦のタイトルホルダー。二郎系のラーメンを食べてツモ力を鍛えているという、なんとも愛すべき人だ。「トップ取りは苦手だけど決勝卓では頑張りたい」と意気込む。
金宮じゅんはRMU所属のプロ5年目で、女流令昭位と飛翔位の二つのタイトルを持つ。二つ名は歌舞伎町の酒呑童子。新宿・歌舞伎町でスナックを自ら切り盛りしているのだから、勝負度胸の出どころは推して知るべしである。「勝負どころで勝負できるのが私の強み」と語る。
対するベテランの宮内こずえには、5年越しの宿題があった。2021年のファイナル決勝卓で、瀬戸熊にまくられて敗れたのだ。「リベンジ待ってるよ」。そんな声に応えたい。今回の彼女のテーマは、あの時の忘れ物を取りに行くことだった。
飯嶋の登場シーンは忘れられない。
がプリントされたピンクのTシャツ姿で、
が羽ばたくようなポーズを決めたのだ。
着席すると、金宮は「やったるぞ」という顔つき。
迎える高宮と宮内は、場慣れした落ち着きである。
そして開戦前、元太は目を輝かせながら言った。「下克上が見たいです」。
2秒の人に降りかかった東場
東1局、先制リーチをかけたのは宮内だった。ドラ3の大物手である。
「ツモれ」と祈るような気合のツモが続くが、
アガリ牌には届かず流局。親の高宮もテンパイを入れていたが、危険牌の
が切れずにオリている。
ここで
を押していれば、宮内への放銃だった。
東2局は飯嶋が先制リーチ。
テンパイした宮内が
を切り、これが放銃になる。
私が気になっていたのは、宮内の速さだ。予選卓では持ち時間を1秒も使わず、佐々木寿人より速いと自慢していた彼女が、この東場で使った時間はわずか2秒。
気合と静寂のツモ
金宮のツモは独特だ。手が跳ねるように二段階くらいうねり、気合を叩き込むようにツモってくる。
対する飯嶋は、静かにそっとツモる。
同じ卓でここまで所作が違うのかと、思わず見入ってしまった。雀風がそのまま手つきに出ているのだろう。金宮は勝負どころで気合で押し切る感覚派、飯嶋は論理でコツコツ積み上げる理論派に私には見えた。
東4局には高宮がタンヤオを鳴いて仕上げる場面もあったが、東場が終わっても点棒はほぼ横一線。誰もが様子をうかがい、引き気味に打っているように見えた。その中で、飯嶋は拾えるアガリを拾っていく。南1局に宮内から2600をアガり、少し浮いたトップ目に立った。
12300点は
の形をしていた
南2局、宮内は親番を迎えた。![]()
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の好形でリーチ。
しかしツモれない。東1局、東2局に続いて、またしてもチャンス手が指の間からこぼれていく。「これはアガりだ」と断言する元太と日吉の掛け合いが面白い。結局、宮内はこれをアガれず流局。
南2局1本場。飯嶋が先制のチートイツでリーチ。
先制の時は積極的にリーチするスタイルは一貫して変わらない。しかしドラドラのチャンス手の宮内が追いつき、追っかけリーチ。
そこで高宮にもピンフのテンパイが入る。















