“ロボ・小林vsセレブ・黒沢”Mリーグの気まぐれが生んだ迷勝負【熱論!Mリーグ】担当記者:ZERO

熱論!Mリーグ【Tue】

“ロボ・小林vs

セレブ・黒沢”

Mリーグの気まぐれが

生んだ迷勝負

文・ZERO【火曜担当ライター】2018年11月20日

 

 ツモ

チー ドラ

アガリトップのオーラス。あなたならここから何を切るか?

受け入れの広い打か、

ヘッド固定の打か。しかしこの手牌の持ち主は涼しい顔のまま、を切った。

私はモニターの前で唸った。

は受け入れこそ広いが、が切れないためにタンキ待ちになってしまうツモが多い。

普通に考えたら打だが、実は打の方が1枚受け入れが多いのだ。

端にかかっているがチーしやすいことを考えると、素晴らしい選択だと言える。

しかし打の良さは受け入れだけに留まらず、

ツモやツモときた時に打として、さらに受け入れが広がる「二次変化」が多い点にある。

ここまで考えると微差ではなく、大きな差だ。盲点になりそうな第三の選択。

このを切った打ち手の名は——

 

 

麻将連合唯一のMリーガー、小林剛

 

小林は先の例にあるように、仕掛けたあとの手牌の運用は正確無比。難しい選択を前にしても淡々と正解を導き出すことから、最近では「ロボ」の愛称で親しまれている。

ここのところ下降気味であるパイレーツを立て直すために、リーダーである小林が立ち上がった。

 

一回戦。東家の小林は

この手牌からを切った。ターツの決まっていない手で役牌を残し、ペンを嫌ったのである。この手からまっすぐ字牌を切っても先制リーチは望めなさそう。それならば役牌の重なりを最大限に見る。役牌さえ重なれば他の部分から鳴いていくこともできるのでアガリに大きく近づいていると言える。さらに次に引く、多くの有効牌で打と連続で切ることができるのも大きいだろう。

「最速でテンパイを見る」

のが小林のイメージだと勘違いされているが、

「与えられた手牌で最大限のパフォーマンスを考える」

と言った方が正確だ。

狙い通りを重ねてポンした小林は

この手牌からを切った。上家のをチーしていない点にも注目。

いくら親とはいえ、2段目に差し掛かったところでこの手牌では戦えないと判断したのだろう。安全度が高い上、重なった時に打点が上昇する字牌を残したのだ。決して「最速でテンパイを見る」わけではない。不利とみたらオリるし、遠回りして打点を作ることもある。見ているのはテンパイでもアガリでもなく、勝利…なのだ。

結局小林がを切らなかったことで場が重くなり、全員ノーテンで流局した。

次局、小林は

ここから比較的安全なを切って目いっぱいに構え、すぐに出たをポンした。ここから声の出ない打ち手も多いと思う。好形ばかりでうまくいけばマンガンも見込めるからだ。しかしをツモってしまうとリーチのみになってしまう。つまりこの手を頑張ってもテンパイするころには終盤に差し掛かっており、しかも半分近くがリーチのみ。それならば仕掛けて…という思考だろう。次巡。

小林はこのをツモ切り。最近の麻雀界ではこの先切りがトレンドになってきているように感じる。

のポンを逃すのは痛いが、

それよりもをチーしたときに

と切ってしまっては

自分の待ちが透けてしまい、ひいては危険…というわけだ。

勝又のリーチが入るも、小林は

比較的安全なを持っていたことで流局までオリ切ることができた。

タンヤオの仕掛けは手詰まることが多くて危険だが、こうやってテンパイするまでスリムに構えたり、簡単に手牌を読ませないことによってリスクを最小に抑えているのだ。小林の仕掛けはたしかに安いことが多いが、不思議と放銃はしない。

次局、小林の手牌。

ドラのが重なって何を切るか。小林はを切った。

、どちらも裏目は痛く、決めきれない…ということだろう。

またをポンしたときに、

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