包囲網を突き破れ!
仲林が決戦の船出で見せた涙
文・ZERO / 沖中祐也【火曜担当ライター】2023年5月2日
決戦の航海
「この日のためにお前らを獲ったんだ」
Piratesのグループラインにとんできた監督の熱いメッセージ。
海賊船の安否は、新人2人の腕に託された。
第1試合
チーム雷電
瀬戸熊直樹
2・3・4位との直接対決。
この順位表を見ていると、2年目にPiratesが優勝したシーズンを思い出す。
あの年も、レギュラー→セミファイナル→ファイナル全て最終日までもつれる展開の中、ギリギリで通過しながら優勝をもぎとった。
あと2戦で格闘倶楽部との61.2pt差をかわし、あの日の再現なるか。
仲間の期待をその背に吸収した仲林が、決戦の航海に臨む。
実は今シーズン、仲林をメインに観戦記を書く機会が一度もなかった。
自他ともに認めるオールラウンダーである仲林は、目立った特徴があるわけでもなく、派手な選択をするわけでもないので取り上げづらかったのかもしれない。
名人に名手なし
某麻雀漫画に出てくる言葉だが、仲林の麻雀には名手はないが、隙もない。
開局からその片鱗が見えた。
カンをツモってきた場面で、仲林はごく自然にを切った。
にをツモったらを切る。うん、自然だ。
でもちょっと待ってほしい。この手牌には役牌のトイツが二組(・)ある。
トイトイとホンイツを残してを切ってもよいのではないか。
仲林の所属する協会(Mリーグ同様、トップが偉いルールをメインに打っている)のプロたちは、トイトイとホンイツを同時に捨ててしまう打だけは打たないイメージなのだ。
「一番流したい親だから」
こともなげに仲林は語る。
配牌時点ではトイトイとホンイツを意識していたが、ツモで速度特化に切り替え。
名人に名手なし、を地で行く仲林の速攻が決まり、目下のライバルである格闘倶楽部・滝沢の親落としに成功した。
Pirates包囲網
東2局、親の松ヶ瀬が12000をアガった直後の1本場。
滝沢の手牌。
をツモってきたところで、少し迷った後にを切った。
おいおいちょっと待てと。
左から右までジュンチャンと書いてある手牌だ。
そもそもとを切っていて不要なをなぜ残す?
答えは仲林の仕掛けにある。
仲林(上家)がをポンしていて、と脂っこいところを切っていてテンパイしていてもおかしくはない。
ドラが固まっているとしたら、は本線の一本である。
滝沢のように手役系…今回で言うとジュンチャンなどのチャンス手が入ったときは、相対的に相手にドラが固まっていることが多い。
それに加えて、Piratesだけには放銃する訳にはいかない。
それは滝沢だけでなく、他の2チームも同じだ。