Mリーガー萩原聖人の魅せた進化と意地、そして貢献と【熱論!Mリーグ】

若き日の萩原が、既存のプロに対し、かなり過激な発言をしていたのをどこぞの動画で見たことがある。尖ったナイフのように触るモノみな傷つけていたのだ。

周りを見下している部分はなかった…と言えば嘘になるだろう。何人ものプロと衝突した、なんて噂も聞いた。

しかしMリーグが始まってからの萩原…試合後のインタビューや解説、「熱闘!Mリーグ」などでの発言を見る限り、そういったナイフのような一面は一切見受けられない。

周りの選手たちをリスペクトし、必死に麻雀を勉強している。

そしてファンには最大限のサービスを与えている。

Twitterで交流したファンの画像がよく流れてくるが、この全力の笑顔を見れば、いかにファンを大切にしているかが伝わってくるのではないだろうか。自分がこの子供たちだったら一生ファンになってしまう。

手牌を崩してしまい、申し訳なさそうに謝り、そして首を捻る萩原。

30年以上も前からカメラの前で俳優として活躍している萩原が、手を震わせるほどに緊張しているのだ。Mリーグに賭ける思いの大きさが画面越しに伝わってくる。

プレッシャーがかかっているのは萩原だけではなかった。

次の局。

滝沢が切ろうとした牌を牌山の上にのっけてしまい、あわや大惨事に。

名手、多井までもが王牌を崩してしまう。

そして決定的な事故がこれだ。

朝倉までもが、と晒そうとしたところ、と倒してしまった。

この晒し間違いに対する、審判の裁定があまりよいものではなかったのでここに記しておこう。

審判「はい、とりあえずその見せた牌はそのままにしておいてもらって、一応…はい、そのままいきます」

村上「いくってのはチーするってことですか?」

審判「いや、だから、えーっと、あの、じゃあ、あの、はい、一応、あの、持っていって大丈夫ですから、はい」

村上「持っていって大丈夫?」

審判「あの、一応、間違えたってことを示すために、はい、それでやってください。すみませんお願いします」

このようにかなり歯切れの悪いものだった。

審判の方も、起きてしまったレアケースに対し、即座に対応するのはとても大変なことだと思う。

しかし、審判がビシッとした裁定をしないと、選手は戸惑うばかりだし、視聴者も不安な気持ちになってしまう。

少なくとも「とりあえず」や「一応」といった曖昧な表現は避けるべきだろう。

そもそも、解説にきている村上と会話する必要はあったのだろうか?

アナウンスすべきは選手と視聴者であり、しっかりとした裁定のできる審判を個別に雇った方が良いと感じた。

ともあれ、全員が全員プレッシャーを抱え、そして麻雀に入り込んでいるのがわかる出来事だった。

萩原の勝負所は次の局の親番。

ペンでリーチのみをテンパイした場面。

相変わらず対面の捨て牌によって見辛いが、供託が2本あり、6本場である。

リーチにいくのも一策だと思う。

大して打点の上がる手替わりがあるわけではないし、リーチのみでも2400+3800とかなりの収入になる。この点棒状況、よほどの手でないと萩原のリーチに向かってくることができないため、牽制効果も期待できる。

しかし、やはり萩原は…

テンパイにとらないだろうな…と思っていた。

まず、がトイツというのが大きいだろう。本当にアガリたいのであれば、好形変化を待ちつつ、が出た時に備えるのもよい。

そしてもう1つの要素として微妙な巡目が挙げられる。いくら親リーチとは言え、これだけ供託があれば手牌次第では向かってこられる。そういう意味で牽制効果が期待できる巡目とは言えず、特に上家の多井はを切っていて今にもリーチがかかりそうだ。

難しい判断だが、萩原は細かい部分での戦術は日々変化しているけど、根っことなる部分は最後の最後まで萩原として戦い続けているんだな…と感じた。

を自力でツモってきて、リーチ。

萩原の思いが結実したかのように見えた。

しかし、同巡に多井に追っかけられ…

アガリ切られてしまった。

多井の捨て牌にあるを見て、萩原は何を思ったか。

即リーチを打っていればアガっていた…は、ただの結果論だが、今はその結果が一番欲しい半荘でもあるだろう。

オーラス、萩原は4000点残りのラス目で迎えた。

しかし、萩原は一切諦めの表情は見せず、衰えることのない気迫で配牌を並べていった。

ドラや赤こそないものの2メンツできていて、悪くない。

しかし萩原にとって不幸だったのが、朝倉と多井が僅差で競っていることだ。

多井はこの手牌でドラのを放した。

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