黒沢咲ならツモれる!背水のセレブが「懸けた」ドラ単騎リーチ【熱論!Mリーグ】

熱論!Mリーグ【Tue】

黒沢咲ならツモれる!

背水のセレブが「懸けた」

ドラ単騎リーチ

文・アホ東大(院)生【火曜担当ライター】2019年2月5日

 

背水の陣、黒沢咲の見つめるその先…

関東では、今までの寒さが嘘だったかのように、急に気温が上がり、いつ寒暖の波がやってくるか分からない今日この頃。

Mリーグは、いつもの時間にいつも以上の熱さを見せていた。4時間と23分。

今回、第1試合の東3局5本場に朝倉プロの副露の晒し間違いがあった。

滝沢プロから出たと鳴きたいところと鳴いてしまい、天の声、審判の張敏賢が登場。裁定は、錯チーをした朝倉プロのアガリ放棄になり、間違った副露のままゲーム続行。

解説の村上プロからの質問も、審判の「(間違った副露を)そのままでお願いします。」の一点張りで、理路整然とした裁定を期待した私は疑問に思ってしまった。

人間が行うゲームなので、故意ではないこういったミスが発生するのは仕方ないと思う。それに加えて、視聴者からは到底、想像できない大きなプレッシャーと選手達は戦っているので、朝倉プロも気負わず残りの試合を戦って欲しいと思う。

今回の大きな問題は、この裁定を適用してしまうとハイテイや一発の条件を消すために意図的な錯チーが発生してしまう可能性がある。自分のアガリ、テンパイが見込めない状況で、ツモ番をずらすために鳴くことが毎局発生してしまう。今後、Mリーグの対局で、たくさんの人の気持ちを背負って戦っているプロが意図的にそのような鳴きをするとは考えられないが、「ルールで縛られないのなら鳴こう」と勝つための戦術として出来上がってしまう可能性もあり、本来の麻雀のゲーム性を変える裁定になってしまいかねない。

また、今後Mリーグのルールを用いた大会などが日本各地で開催され、スポンサーがついて興行的に盛り上がっていく過程でこの裁定が足かせになってしまうだろう。すぐに考えられるのは、審判がいない場合のMリーグルールの大会を行いづらいことだ。そして、スポンサーがついている以上、スポンサー同士のゴタゴタが起こりうる火種は消すべきではないだろうか。

ただの麻雀好きの一視聴者としての私の意見なのだが、今回の裁定は審判の方からアガリ放棄ではない別のペナルティを課すと訂正して発表されるべきだし、去年できた新しいルールなのだから、審判の数を増やして裁定についてしっかり議論をする時間を設けてもよいと思う。しかし、麻雀というゲームの性質上、一度裁定が下されると、その裁定通りに合わせたゲーム進行になり後々訂正するのは難しい。こういった難点を今後、乗り越えていくのは必至である。

この話に関連して1つ。話はだいぶ変わるが、Mリーグを放送していく上での画面についての改善点も色々と考えられる。AbemaTVはいつでも好きな時に好きな場所で見られて大変便利な新世代マスメディアだ。しかし、手の空いたほんの少しの時間しか見られないという視聴者も多くいるのが現状だ。私みたいにスマートフォンの前で、長時間である2半荘を見られる層は、全体のごく一部なのではないかだろうか。

私個人の案だが、裁定についての訂正、前の局での展開(アガリ役や点数移動)、副露面子などを画面の端にテロップで流すのはどうだろうか。実際にテロップでは、

「~こういった裁定を現在審議中~」

「東1局、○○プロ、リーチ一発三色同順の8000点のアガリを○○プロから直撃!」

「○○プロ、間で副露中!」

などと出してもらいたい。対局の一瞬を切り取って見た人、アガリ役がすぐには分からない初級者、副露面子をすぐに忘れてしまう忘れん坊の私などへの視覚的な配慮も今後は改善していくべきだと思う。

この記事を読んだ皆さんにも今回の一件を機に、Mリーグの改善点を一緒に考えてもらいたい。Mリーグは去年に誕生し、これから今まで以上にどんどん多くの人が楽しめるものに大きく成長していくと思う。

その成長の過程を作るのは選手や関係者はもちろん、その方々に声援を送り続ける私たちファンなのだと思う。

では、長い時間盛り上がった先日の対局の名場面を1局だけピックアップしていきたい。

(以下登録名、敬称略)

第1試合は、

1位:多井隆晴(ABEMAS)+62.3

2位:朝倉康心(Pirates)+21.0

3位:滝沢和典(風林火山)▲26.3

4位:萩原聖人(雷電)▲57.0

となった。

オーラス、トップ朝倉との1200点差を多井が捲り、ABEMAS値千金のトップ。

滝沢への満貫放銃を回避し、まさに針の穴に糸を通すかのような500-1000のアガリ。

チームランキング7位の雷電には連勝条件が突きつけられるほどの辛いラスになった。

第1試合を終えてのチームランキングはこちら。

第2試合は、

黒沢咲(雷電)

多井隆晴(ABEMAS)

勝又健志(風林火山) 

小林剛(Pirates)

の対決だった。

第2試合

東2局1本場

東2局0本場に第1試合から神がかった選択を見せる多井がリーチ一発ツモタンヤオ平和一盆口赤の6000オールをアガった後の東2局1本場。

 

5巡目に勝又がこの高目三色のリーチをかける。

東1局でもダブスルーを見せてくれた超セレブ・黒沢はこの手牌。

リーチをうけて一発目で勝又の高目のを暗刻にする黒沢のセレブ吸収力。

ドラのが孤立しているこのイーシャンテン。受け入れ枚数だけで言えば打で、テンパイする牌は、。しかし、打点はほぼ皆無に等しくなってしまう。

「まだ東2局だし、勝又プロの現物のを切って、保留のイーシャンテン維持かな」

と庶民の私は、わかめスープにオムライスという庶民の食卓の上で静観していた。

セレブ黒沢は、もちろん違う選択、無筋の打

とドラの縦引き、横引きに備えたイーシャンテンに、華奢な体でどっしりと構える。

解説の村上も「行ったよ!から!こういうところ精神力強いね~。一現物ですけどね。う~ん、素晴らしい」と私と同じ反応。

次巡に絶好のを引きいれる。

「う~ん、悩ましい。とりあえずドラの単騎に受けて、横に伸びたら打かな」とわかめスープを喉に流し込もうとした矢先、黒沢の声が聞こえる。

セレブ黒沢は、またしても違う選択、を強い力で横に曲げて、リーチという発声。

 

解説の村上も「とりあえずドラ単騎か。(黒沢のリーチ!)リーチするんだ!おぎょ~~~!」と私と同じ反応。

村上の解説は愉快で楽しいので、ぜひこの場面だけでも視聴をおすすめする。

ピンズの形が良形で、すぐさま多面待ちの手代わりをしそうであり、ドラ周りのマンズも期待できるこの手を思い切ってリーチに行った黒沢。

この一打の意図は、

①現在、トップ多井との点差は10400点差で、ツモってしまえば満貫以上は容易に見込め、この1局で逆転可能。かつ、リーチをかけている勝又の捨て牌が

(リーチ)

となっていて、ドラ受けのある両面待ちである可能性は低く、勝又からの出アガリも狙える。出アガることができれば、3着4着と3万点以上の差をつけることができ、東2局にして多井とのトップ争いに持ち込める。

②この半荘のライバルの親の多井がこのリーチ者の勝又に押しているか引いているかはこの段階では分からない。しかし、多井の手が整いここからリーチの勝又に押し返して大量得点をしてしまう可能性も十分にある。2軒リーチになってしまえば、多井も安易には攻め込めない。また、多井が勝又に放銃するケースもあり得る。

③仮に勝又に放銃したとしても5巡目のリーチなので、打点は通常時より低い可能性が高い。なんとしてもトップが欲しいわけではない風林火山のチーム状況としては、好形低打点~中打点の可能性が他チームよりもほんの少しだけ高い。また、放銃もしくは、勝又のツモアガリの際には、ライバル多井の親を蹴れる。

つまり、黒沢オリジナルのこのリーチはトップがなんとしても欲しい超攻撃的な一打だ。

第1試合を終えた時点で、▲277.1というランキング7位のチーム状況でなかったら、この一打は見られなかったかもしれない。

このリーチを見たとき、私は黒沢ならすぐツモってしまいそうと心躍らせたと同時に、

チーム雷電はこんなに追い詰められている状況なのかと胸を締め付けられるような辛い気持ちになった。

黒沢の待ち牌であるドラ、最後の1枚は多井に流れて、後に多井も平和一盆口ドラドラの待ちのテンパイ。

黒沢、勝又、多井の三者にアガリは生まれなかった。

最終的にこの半荘は、チーム雷電・黒沢の背水の陣実らず。2連投2連勝連続8連帯のエース多井の力で、チームランキング3位を死守。多井隆晴の日なのかと思うくらいの気持ちよい2連勝だった。

先日は唯一の連投だった多井。インタビューを受ける多井も1試合目よりも心なしか疲れが見える。それだけの熱く長い混沌としたトップ争いだった。

第2試合を終えてのチームランキングはこちら。

どのチームのどの選手にも背負っているものはあると分かってはいても、今日は、チームランキング7位のチーム雷電のトップを願っていた。ファイナルシリーズに進める確率は他のチームより低いとしても、決して諦めずに短く長い試練の道のりを進んでいくチーム雷電3人とチームの仲間を応援して、残りの28戦も面白い雷電の麻雀を期待したい。

ちなみにこの熱い熱い対局に反比例して、対局に夢中でほったらかしだった、わかめスープとオムライスは冷めきっていた。

 

【おまけ】

~ダブをスルーする瞬間のセレブ黒沢~

 

 

アホ東大院生
22歳。麻雀プロでも天鳳高段位でもないが、とにかく麻雀観戦が趣味。