「助演男優賞をあげたい」
と言っていたくらい、名勝負の陰ではわき役に徹している人がいる。
さて、テンパイも怪しくなってきた朝倉。
ツモ番あと2回を残してツモり四暗刻のイーシャンテンになった。
ここで朝倉は
打。
四暗刻を狙うというよりは、が3枚見えていて受け入れ枚数がそう変わらず(ポンを含めると逆転する)仕掛けている滝沢に→と切ってより少ない筋でテンパイしよう、という選択だ。
滝沢の手はコチラ。
先ほどの朝倉の手牌からやを選んでいたら滝沢は鳴いてテンパイを入れていた。
それはたまたまだが、この鳴かせなかったことによって
ギリギリの、本当にギリギリのテンパイを入れた。
ツモ番はもうないが…
リーチ。万に1つだが手に窮した滝沢が打ってくれるかもしれない。
1人テンパイで迎えた次局。
ようやく先制できるテンパイが入った。
打点十分のペンリーチ。
はかなり良さそうにみえ、実際山に3枚いる。
ものすごい形相でツモりにいく朝倉。
「迫力ありますねーこわいわー」
解説・土田もたじたじの迫力だ。
天鳳民の注目を背負い、
piratesファンの夢を乗せ、
家族や仲間の期待を胸に、
力を込めてツモる朝倉。
数年前まで、部屋に1人で、自分のためだけに天鳳を打っていたネット麻雀雀士は、今や多くの人の思いを乗せて闘うようになった。
あの冷静な朝倉が、ここまで感情をあらわにして打っている姿を見て、なぜか涙腺が緩んでくる。
しかし、無情にもは脇に流れ、流局した。
次局、白鳥がラスから3着になるタンヤオをアガリ、朝倉の戦いは幕を閉じた。
朝倉は35700点のトップで2回戦の小林にバトンを渡した。
小林も今までにみせたことのない面持ちで打っていたが、及ばず3着。
piratesのファーストシーズンは5位という結果に終わった。
10月に開幕したMリーグ。
短かったようで、いろんなことがあった。
全てのチームが天国と地獄を行き来するような、そんなスリリングな展開だった。
最後の最後、冷静な朝倉の魅せた人間味が、Mリーグの魅力を集約していると言えるのではなかろうか。
麻雀に人生を賭けた者たちが、本気でぶつかりあう。
脚本はなくとも、奇抜なルールや演出を用意せずとも、そこには必ず極上のドラマがあらわれる。
3月の土日から始まるファイナルシリーズは、全てが直接対決であり、さらに熾烈な戦いになるだろう。
歴史的なMリーグの初年度に、観戦記者として立ち会えて本当に幸せを感じた。
また皆さんの前になんらかの形で関われることを祈って、レギュラーシーズンの観戦記の最後としたい。
これまでの叱咤激励、本当にありがとうございました!
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