初勝利をつかみ取れ 魚谷侑未、ライバルをねじ伏せたギリギリの押しと決断【Mリーグ2021観戦記10/7】担当記者:東川亮

初勝利をつかみ取れ
魚谷侑未
ライバルをねじ伏せた
ギリギリの押しと決断

文・東川亮【月曜・木曜担当ライター】2020年10月7日

大和証券Mリーグ2021は、TEAM雷電が好スタートを切った。開幕節を連勝と最高の結果で終えると、チーム3戦目となる10月7日の第1試合では新戦力の本田朋広が見事な勝利でデビュー戦を飾り、開幕3連勝。序盤のポイントリーダーの座を固めつつある。

一方、セガサミーフェニックスは開幕から4着3着4着と苦しんでいる。中でも、チーム2戦目に出場した魚谷侑未はトップに目前まで迫りながらTEAM雷電黒沢咲とのめくり合いに敗れ、3着フィニッシュ。もちろんまだ序盤も序盤、いくらでも取り返すチャンスはあるが、やはり最下位にいるのは気分がよくないだろう。

この日の第2試合は、火曜日に続いて魚谷が登場した。チームのエースとして、意地を見せたい一戦だ。

第2回戦

東家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)

南家:多井隆晴渋谷ABEMAS

西家:園田賢赤坂ドリブンズ

北家:瀬戸熊直樹TEAM雷電

東1局、勝利のために親番で加点をしたい魚谷だったが、いきなり逆風が吹く。瀬戸熊のリーチに強い牌を押して追っかけリーチにたどり着くものの、安全牌を切ってさらに追っかけてきた園田に一発放銃。打点こそリーチ一発ピンフの3900止まりではあったが、親番を落としてビハインドを背負う、厳しい立ち上がりとなった。

東2局1本場。全員がある程度まとまった手牌の中で、最初にテンパイした親の多井が【2マン】【5マン】待ちでリーチ。ソーズのペンチャンターツを嫌っているだけに、形もそれなりに良さそうだ。

これに対し、【發】を鳴いていた園田が少考の後に【1ピン】チーで前に出る。だがまっすぐ打【5ピン】で1シャンテンにとるのではなく、比較的通しやすい【3ソウ】をトイツ落とし。やみくもにアガリに向かうわけではない、園田の繊細なバランスだ。この日解説を務めた勝又健志EX風林火山)は、「ここまではできる」と語る。切りやすい牌を切りながら、あわよくばのアガリルートを残す形だ。

だが、そんな勝又も驚かせたのが、この【4ソウ】チー。オリようと思えば現物には【6ソウ】【西】があった。ただ、最初からある程度守備を考えるなら、そもそも手牌を短くする【1ピン】チーもしなかったかもしれない。

供託リーチ棒を含めた収入、そして多井の親リーチを蹴ることによる自身のトップ率の上昇。さまざまなことを考え、園田は消極的にアガリの可能性を残すのではなく、絶妙にバランスを取りながら自らアガリをもぎ取りに行った。

最後も【2マン】【3マン】の選択から放銃回避となる【3マン】を選んで多井の現物待ちに構え、多井から3900は4200の出アガリ。園田の異名が「魔術師」であることを再確認させられる、まさに魔法のようなアガリだった。

園田ペースになりそうな展開のなか、魚谷が園田を捉える。南1局【中】を暗刻にしてのカン【6ピン】待ちを即リーチ。リーチ後に【9ピン】【3ピン】と切ったことで中スジになった【6ピン】を捉え、7700の直撃を決めた。この手は手変わりのパターンが多く、テンパイを取らない打ち手も多いかもしれない。リーチ後に持って来た牌は運だが、親番で即リーチに出た決断が吉と出た。

南2局【東】【南】トイツの魚谷が、第1ツモで【西】もトイツにする。【南】がドラで打点が見えるが、それ以上に想像したくなる最終形はやはり、役満・小四喜。手に1枚のドラ表示牌【東】が重なることがあれば、いよいよ役満成就が現実味を帯びてきそうだ。

ただ、さすがに役満はテンパイも難しい。魚谷は仕掛けも視野に入れていたというが、門前でのチートイツドラドラ、6400テンパイならばそれでもよしだ。

その後、親の多井からのリーチが入るものの、テンパイは崩さず粘り続け、最後は待ち変えをした【3ソウ】ツモで2000-4000のアガリを決めた。

魚谷トップで迎えた南4局だが、好配牌をもらった親の瀬戸熊が立ちはだかる。【東】を鳴き、あっという間にカン【2ソウ】待ちテンパイ。待ちは良くないが、まずはアガリが大事だ。

魚谷も手を進めて1シャンテンまでこぎつけるが、場合によっては【2ソウ】が打たれるケースもなくはない。

瀬戸熊は【1ソウ】引きで、【1ソウ】【中】のシャンポンに待ちを変えた。高目中なら満貫で、一気にトップを狙えるところまで浮上できる。

だが、魚谷が【2マン】を引いて打【2ソウ】【1マン】【4マン】【7マン】待ちテンパイ。おそらく待ち変えをしなくても出てきていた牌で、それなら瀬戸熊が5800をアガっていた。

瀬戸熊も苦しいが、もちろん魚谷もキツい。3メンチャンとは言え待ちは瀬戸熊の現物ではなく、オリ気味の他2人から出るのは望み薄。そしてもし瀬戸熊に放銃してしまえば、オーラスでトップから陥落することにもなりかねない。幸い現物やノーチャンスの打ちやすい牌が続いたが、どこまで攻めるかは非常に難しい判断だったはずだ。

だが、戦うべきところを戦った魚谷に、最後は勝利の女神が味方した。ツモって400-700は、フェニックスに今シーズン初勝利をもたらす、価値あるアガリだった。

2021シーズン初のフェニックスポーズ。ファン・サポーターが待ち望んだワンショットだ。

 

この観戦記では、フェニックス・魚谷の見事な勝利を取り上げた。ただ、勝者の麻雀だけが素晴らしいわけではない。オーラスに多井が見せた打ち回しについても、ここで触れておきたい。

多井は南3局こそリーチをツモアガって1300-2600のアガリを決めたものの、この試合では感触十分のリーチがことごとく不発、厳しい表情を浮かべることが多かった。

オーラスは4番手の瀬戸熊と4100点差の3番手。瀬戸熊がひとアガリすれば、ラスを押しつけられてしまうだろう。その状況で、多井の第1打【東】が鳴かれる。

次巡、多井は持って来た【中】を手に留め、マンズのペンチャンターツ外し。さらに【1ピン】のトイツ落としで安パイを抱え、【中】は最後まで河に放たれなかった。多井はこの局、自身のアガリを捨てていた

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