最速最強にだけ見えた世界
多井隆晴が描いた
理想のシナリオ
文・後藤哲冶【金曜担当ライター】2023年2月24日
本日のМリーグはチームポイントランキング上位4チームの戦いとなった。
これが今日の1戦目を迎えたタイミングでのチームポイント。
目下一番の焦点は確かにレギュラーシーズン突破のボーダーラインだが、上位チームもじわじわと差が広がっているのがわかる。
ポイントが半分になるとはいえ、これ以上上位2チームが抜けることは、他チームも歓迎するところではないだろう。
2月24日 第2試合
東家 小林剛 (U-NEXT Pirates)
南家 多井隆晴(渋谷ABEMAS)
西家 勝又健志(EX風林火山)
北家 滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
シーズンも佳境を迎えた中での上位4チームの対戦ということもあって、各チームエース級がずらり。
始まる前から対局室には重苦しい緊張感が張り詰めていた。
東1局は最後の手番でテンパイを入れた親番の小林がリーチの滝沢に勝負して放銃。
滝沢が2600点のアガリで始まった第2試合だったが、序盤の主導権を握ったのは風林火山の誇る軍師勝又だった。
東2局は小林のリーチに対してのみのリャンメンテンパイでかわしきり、300、500のツモアガリ。
東3局は親リーチに打って出た勝又の1人テンパイで流局。
迎えた1本場。
早々に仕掛けた小林と多井に速度を合わせる鳴きを入れ。
後に滝沢からリーチが入るも、押し切って5800を滝沢から打ち取って、リードを広げる。
東3局2本場。
イーシャンテンになっていた勝又の手が止まる。
明確にピンズのホンイツに向かっている多井に対して危ないピンズは先に放しておきたいが、このは話が違う。
が全て見えてノーチャンス。も2枚見えているので単騎にしか当たらない。
よりも安全度が高く、は多井に通ってはいないが、ツモはを対子落とししてピンフに向かう構想もある。
勝又は打とした。
結局そのルートを辿ることはなかったが、この1枚の後先が勝敗を分けることだってある。
勝又は普段と変わらず一打一打丁寧に打ちまわしていた。
終盤、ホンイツの多井に追い付かれるも、これをツモアガリ、更に2000オールの加点。
東3局にして勝又の点数は4万点を超えた。
東3局3本場は多井が1000、2000。東4局は滝沢が2000オールと細かくアガって迎えた東4局1本場。
リードを持った勝又が魅せる。
4巡目に持ってきたのはドラの。
対面の小林がをポンしている場面だ。
ここはを切るか、ドラからの伸びを見てあたりを切る選択肢もあるかと思われたが。
勝又の選択はドラのをツモ切り。
今このドラが小林にロンと言われるケースは少なそうだが、もう一手進めばロンと言われてもおかしくない。
通常であればドラを残すシーンだが、ここは点棒状況も込みでドラの先打ち。
その僅か2巡後、小林にカンのテンパイが入る。
軍師勝又はどこまで見えているのか。
小林にこのテンパイが入るまでにこのドラを間に合わせた。
そうして引き入れる……!
を先に処理できなければ、たどり着けないテンパイだ。
この局の結果は小林のツモアガリとなったが、勝又の読みと状況に合わせた打牌選択には畏敬の念すら覚える。