Mリーグ2018ベストオブ【勝又健志】〜21人のMリーガー名場面集〜

Mリーグ2018

ベストオブ【勝又健志】

21人のMリーガー名場面集

文・ゆうせー

 

3分間でプレイバック!

EX風林火山 勝又健志の

限界ギリギリカウンター

 

11月20日 2戦目

現在2着目、親番白鳥の手が良い。

3巡目にこの形になって打とする。

次巡、

を引いて打。早くもイーシャンテンに。

同巡の勝又、

を持ってきて、

とした。これは親番白鳥の、

3巡目手出し→4巡目手出しに対応した一打だ。

どういうことかというと、

「メンツ手の場合には、真ん中のを切って字牌のを手に置けるくらいに、手牌が整っている」

と読めるのである。

また、白鳥は2着目の親番だ。

「安全牌のを持たずに、攻撃的に構えている」

可能性が高いとも考えられる。

だから勝又は、手牌には不要ながらも3枚切れのを持ちつつ、愚形リーチを打たない方向性のもと、白鳥に通っていないからペンチャンを払って手牌に白鳥の安全牌をとどめたのだった。

何気ないペンチャンターツ外しに見えるが、そこには勝又の先見の明が込められている。

次巡、

白鳥があっさりとテンパイ!

 

一気にトップへと駆け上がることの出来るこの手。ここは何としてもアガりたいところだ。

そのリーチを受けた勝又、

を引いてきて、

。自身の手はテンパイまでは程遠い。

白鳥の安全牌の中で、

他家に一番危険な牌を切って守備的に構えた。

すると、

勝又のに対して、小林が少考。

「チー」

小林がカンでチーをして、

とした。も通っておらず、タンヤオでアガるのならのメンツは完成させておきたいところだ。アガれる可能性自体は低いものの、一発を消す意味合いも込めてここは小林、一歩前に出た。

小林自身が微差のラス目で、リーチ棒込みの1000点のアガリ&白鳥のアガリ阻止や、流局時の形式テンパイに価値が高い、という判断要素もある。

次巡勝又、

を引いて現物のを切る。

その次の巡目は、

を引いて打

そして、

7巡目にドラのがアンコになった…!どうする…

ここは勝又、1枚切れのを選択。このときの勝又の打牌モーションには気迫がこもっていたが、それはこのが安全とは言えない牌だからである。

理由は、

赤で囲った、3巡目手出しと4巡目手出しに再び注目していただきたい。先ほど説明をした、

「真ん中のを切って字牌のを手に置けるくらいに、手牌が整っている」

という読みは、あくまでもメンツ手前提の話だ。

そう、を切ってまでを残す手としては、チートイツという方向性も考えられる。白鳥がを切る前巡にがポンポンと2枚切られている点、リーチ宣言牌がである点(チートイツの場合5は赤引きを期待して残されることも多い)からも、白鳥の手をチートイツと仮定してもそこまで矛盾は生じない。

チートイツの場合だと1枚切れのは待ちごろの牌で危険だ。

しかし、自分の手はドラ3のイーシャンテンになった。はフリテンとはいえリャンメンだ。そして、は白鳥の現物であるにもかかわらずまだ誰も合わせていない。山にはありそうだ。

勝又はわずかな放銃リスクを負いながらも、自身の手に価値を見出してを「勝負」したのだった。

次巡のは現物なのでツモ切り。

その次に勝又が引いてきたのは、

無筋のだった。ここは…

現物のを切っていった。はフリテン含みのイーシャンテンから親のリーチに切る牌ではない、という判断だろう。先ほどのでギリギリといったところか。

幸運なことに、次巡白鳥がをツモ切り。

勝又も合わせる。

そして、

次の巡目にも合わせることが出来た。そして、いつのまにやら勝又の手はドラが3枚入った、リャンメン2つとシャンポン受けの保険もある完全イーシャンテンになっていた。

これならば白鳥の親リーチにも勝負になる。

次に勝又のもとにやってきた牌は…

4枚目のドラのだ!ここは思い切ってカンをするか!?

しかし、勝又は冷静な面持ちで盤面を見て考えた後に、

カンをせずにを切ったのだった。

カンをしなかった理由としては、カンをすると既にリーチをしている白鳥の打点が上がってしまうことがまず挙げられる。

自分がアガれたら何も問題がないのだが、まだ勝又はイーシャンテン。良形のイーシャンテンであるとはいえ、この形だとテンパイするまでには平均して4巡ほどかかってしまう。その間に白鳥にツモられた場合にはカンしたことがマイナスに働いてしまうし、テンパイするまでに勝又が危険牌を引いて放銃した場合にも傷は大きくなる。カンをするならテンパイの時だ、という強い意志が伝わってくる。

そして、巡目の問題もある。もう三段目に差し掛かろうとしている。先に述べたようにテンパイまで数巡を要することを考えると、自分がテンパイをしてリターンを受け取れる可能性は高くない。となると、この巡目のイーシャンテンで白鳥の打点を上げるアクションはおいそれとは取れないということになろう。

では、カンをしないとして、は無筋だ。どうして勝又はを通せたのだろうか。

三度、この赤丸で囲んだ、手出しの切り順を見ていただきたい。ここはアガリにいきたい2着目の親番で、

とあるところからを先切りすることはまれだろう。は手出しをきちんと見ておけば通せる牌だ。また、シャンポンの片方であるが、場に1枚、ドラ表示牌に1枚と2枚既に見えてしまっているのもを切る理由としては大きい。

ここは勝又、トップ目という立場、長期のリーグ戦だということも踏まえて、いたずらにリスクを増やさずクールにを1枚外したのだった。

次巡のはツモ切り。

その間次に持ってきた、これもまた完全イーシャンテンに取れるが…

ツモ切り。が4枚見えていて、白鳥がリーチ前にを切っているので、ほぼ通る牌だ。

粘っていたのは勝又だけではなかった。

瀬戸熊も、出アガリが出来ないながらもペン待ちのテンパイをいれてきた。ツモるのはもちろん、テンパイ料も大きい場面だ。

勝又のツモる手にも力が入る。

次に持ってきたのは…

!テンパイが入った!!

「カン」

テンパイをしたのならここは勝負だ。勝又は手の内にあったを、4枚並べてさらした。

喉から手が出るほど欲しかったドラをカンされて白鳥はこの表情。

新ドラは…

だ。勝又がトイツの牌ではないか。

「リーチ」

ドラが計6枚になった勝又は、リンシャンから持ってきたを力強く曲げてリーチを宣言した。

 

思わず天を仰ぐ白鳥。

さぁ、残りのツモは各者1回ずつ。天国か地獄か。シビれるめくり合いだ。

まずは瀬戸熊、

持ってきたのはだ。のカンが入っているとはいえ、通っていない牌だ…

考えを巡らせた後、瀬戸熊は、

を押した!を通せばテンパイ料がもらえる公算が高い。接戦のここは勝負に行った。

次は白鳥のツモ番、

空振り。

凛とした眼差しで、ハイテイの牌を見つめる白鳥。

さぁ、勝又の引くハイテイ牌は…

 

 

だ!!!!!!!!

 

「ツモ」

裏ドラも乗って、リーチ一発ツモハイテイドラ7。なんと三倍満だ。

的確な読みと、冷静な判断で大物手をものにした勝又。一見すると派手な三倍満だが、今見てきたように勝又のきめ細かな判断によるところが非常に大きい。

大きなアガリにも決して浮かれることはないEX風林火山の軍師。次シーズン以降もチームにとって勝又は実に頼もしい存在だ。

 

ゆうせー
京都大学法学部卒の現役塾講師でありながら雀荘の店員もこなし、麻雀強者が最も集まる人気オンライン対戦麻雀「天鳳」でも全国ランキング1位(鳳南2000戦安定段位ランキング2018年5月現在)、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著書であり、Mリーガー朝倉康心プロの実兄。

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