疑心暗鬼!焦燥!妄想が止まらない… 福本伸行、最新作「闇麻のマミヤ」が与える衝撃

ファンタジー小説とかで死ぬほど読んだことがある。

「灼熱爆音紅炎地獄」と書いて「レッドホットスーパソニックエクスプロージョンプロミネンスフロムヘル」と読ませるような必殺技が出てくる小説を。

それはそれでいい。

しかし福本先生はその逆! 小学生が読んでもすぐわかる。でも奥が深いことも分かる。その世界を作る事ができる。

もう一度言う。これはとてもすごいことなんだ。

「麻雀漫画」を「小学生が読んでも分かる」というのは、とてつもなくすごいことなんだ。

ああ! 少し読んだだけで自分の才能の無さを痛感させられる! 体中に激痛が走る! でも、ページをめくる手を止めることはできない!

――読み終わった。

すげえ。

そして、絶対すげえものになる。

「闇麻」とはいったいなんなのか?

今、俺が理解しているものだけでおさまるわけがない。

頭の中に次々と「?」と「!」という信号が、ばばばばばばば!と出てきて止まらない。心地よい。

次は! 次はいつなんだ!

……そうだ。

俺はスマホを手に取り、黒服に電話を掛ける。

「おい! 次を早くよこせっ!」

耳から聞こえてきたのは、女性の声だった。

「――この電話番号は現在使われておりません」

……どういうことだ?

カーテンを開け、外を見る。

黒服はいない。

夢だったのか?

いや、夢じゃない。

机の上には原稿がある。

「闇夜のマミヤ」

ん?

俺はあることに気づく。

これ……第1話じゃない。

第1話じゃない!

物語は始まってさえいないのか!

嗚呼早く! 早く次をくれ!

俺はリュックに原稿を詰め込み、家を飛び出した。

負けねえ! 負けてたまるか!

誰に、何に対して分からないがそう思った。

俺はまだ、戦う。

 

花崎圭司(はなさきけいじ)
放送作家・小説家・シナリオライター。映画化になった二階堂亜樹の半生を描いた漫画「aki」(竹書房刊)の脚本を担当。
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