意を決して無筋のを切り飛ばす。
「絶対にリーチを決めさせてはいけない」
という強い思いが、アガリ牌を引き寄せた。
点数以上に価値のあるツモ。
涼しい顔をしているが、心の中は熱く燃えているはずだろう。
戦いは依然として誰も抜け出さないまま、残り2局となった。
南3局、ZEROが今度は
「トイトイダッシュ」を繰り出す。
とをポンして全速力だ。
ここまでほとんど鳴かなかった石川だが、ZEROの仕掛けにたまらず自身も速度を合わせに行った。
しかし、ここで門前を放棄させられた時点で、ZEROのペースに乗せられてしまっているようにも見えた。
そして門前を放棄した2人に、園田のリーチが襲いかかる。
ZEROの加槓によりドラが乗って、満貫が見える手になったのだ。
しかしZEROも退かない。をズバッと勝負。
このをチーして、石川も追いつく。
次々巡、を持ってきたZEROの手がふと止まった。
イーシャンテンの状態で、ラス目のリーチにどこまで無筋を押すか…
ZEROは実に15秒もの時間をかけて苦悩した。
「全然ゼロ秒じゃない!」
とか言ってはいけない。
苦悩の末、の暗刻落としで撤退。
園田に満貫をツモられても、放銃しなければ逆転の目はあるとの判断だ。
逆に石川は、満貫親被りを避けるために猛プッシュ。
このを押したのならば…
1枚切れのが止まるはずが無かった。
クレイジーな押しを見せたが、無念の8000点放銃。
いよいよ戦いはオーラスへと突入した。
ZEROは500-1000ツモか、2600点出アガリ条件。
3巡目、ドラのに待望のがくっつく。
これなら仕掛けて直撃かツモで勝利できる。
目の前の勝利に向かって、ゼロ秒で突進していった。
かたや700-1300ツモか、3900出アガリ条件の園田。
なんと4枚目のドラを引き入れ、鳴いても条件が満たせる手になった。
ここまで全く鳴かなかった園田が、遂に魔法の鳴きを見せるのか?
対してトップ目ながら、伏せられない状況の蛯原。
ZEROがイーシャンテンなのに、自分はまだリャンシャンテン。
両面ターツは多いが、ZEROに追いつけるか怪しいところだ。
ここで戦況が一気に動いた。ZEROがをチー。
テンパイチャンスは増えるが、シャンテン数は変わらない。
この鳴きの是非は意見が分かれるところだろう。
英断なのか、はたまた勝利目前ゆえの焦りか…