【麻雀小説】中央線アンダードッグ 第58話:死体【長村大】

漫画家も同時にロンの発声をしていたが、ダブロンはない、頭ハネでプロのアガリになり、親も落ちる。

もちろんおれも痛い、激痛といっていい。だが漫画家のそれは、死だ。

アガっていたはずの、だがアガれなかった手牌を少し見つめ、彼はその死体を自動卓の暗い穴の中に放った。死体はバラバラになって溶けて、山や河と混じり合って、そして数分後に新しい生命として再生する。

なんだか地球の営みみたいだな、柄にもなくそんなことを思う。

 

ラス前、おれの親だ。

 

 

第59話(10月26日)に続く。

この小説は毎週土曜・水曜の0時に更新されます。

 

長村大
第11期麻雀最強位。1999年、当時流れ論が主流であった麻雀界に彗星のごとく現れ麻雀最強位になる。
最高位戦所属プロだったが現在はプロをやめている。著書に『真・デジタル』がある。
Twitterアカウントはこちら→@sand_pudding
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