だから意外とブラフが有効な局面というのは限られている。
多井は親番という、ここぞの場面で牽制力を活かしたのだ。
16巡目までずっとこの形で、テンパイすることができなかったが、ここまで場をもつれさせたのもを切らずに「切れない牌」の範囲を広げたままにした効果だと言えよう。
をツモった多井は、ここで形式テンパイを考えて、を残し、を打った。
この瞬間に…!
たろうがテンパった!抑えていたが重なった形。しかしツモ番はあと1巡しかないし、出ていくは多井に対しても危険牌だ。どうする?
(なんなんすか?その)
(だから知らねぇって)
牌で会話する2人。
はたしかに多井に対して危険だが、多井の役はかもしれないし3色かもしれない。また、打点も読めない。全員絞り込んだが故の、形式テンパイという可能性もある。ノーテン罰符も込みで考えたたろうは…
(さぁ多井さん、種明かしをしましょう!)
とばかりに、リーチ!
当然多井もリーチ宣言牌のをポンして最終決戦へ。
結果は多井が5800のアガリ。
このアガリで36700点になるものの、その後調子が振るわず…
3着でフィニッシュ。
トップを獲ったのは東場のハネ満のアガリを守りきった…
チーム雷電、瀬戸熊だ。
瀬戸熊は「麻雀プロは麻雀で魅せる」を信条としているが、ファンサービスを大切にする萩原のそばで何かを学び取ったのか、おなじみの雷電ペイントも似合うようになってきたし…
飛び切りの笑顔をファンに見せるようになった。
Mリーグ前のサムライのようだった瀬戸熊からは信じられない変化だ。
これにはプレミアムナイトの参加者も大歓喜。
私のように「麻雀は打ってナンボ」と思っている人も、一度はパブリックビューイングに足を運んでみてほしい。実際に行ってみると、1つの対局に熱狂する一体感は貴重な体験になる。特に普段の生活の中で、Mリーグや麻雀の話をする人が周りにいない人は、とても面白く感じるだろう。
なお、12/19に大阪にて私もパブリックビューイングの解説を担当している。
盛り上げていきたいと思っているので、お近くの方は是非!
概要・チケット申し込み→https://peatix.com/event/1381590
話の流れに乗って、さりげなく宣伝をねじこんだところで運命の2回戦へ。
2回戦もプレミアムナイトにふさわしい、豪華なメンツだ。
ただ、直近の対局では調子の上がらない選手が揃った。
11月だけでみると
園田賢 +2.1
滝沢和典 -29.5
松本吉弘 -55.7
萩原聖人 -116.6
(Mリーグ成績速報様(@mleague_results)より引用)
という感じだ。
その中でも私が注目するのは、1回戦の多井の敵を打つべく立ち上がった…
松本吉弘だ。
松本は直近だけではなく、今季29人中29位と、ずっと調子がよくない。
昨年は「とにかくこの舞台で麻雀が打てることが楽しい、早く打ちたい」と語っていたが、不調の現在は、同じ心境でいるだろうか。責任感が強く、優しい性格の松本だけに、気に病みすぎていないかが心配である。
東1局
その松本の配牌は酷いものだった。
今の松本の状態を表しているようだ。
しかし萎えている暇はない。状態がどうあれ、この手牌で打つよりないのだ。