なんか飛べる気がする…最強の細胞と“めんどくさいスイッチ”を持つ田渕家の人々 女流プロ雀士【百恵ちゃんのクズコラム】VOL.11

最強の細胞

百恵ちゃんクラスになると最強の細胞を持ち合わせているので滅多に風邪をひかない。大きな病気をしたこともほとんどないので病院にかかるのはもっぱら怪我が原因だ。最強すぎるためインフルエンザ、風疹、水疱瘡、おたふく風邪等も全て罹患したことがないので百恵ちゃんはおたふく風邪が死因になるのではないかと心配している。

高校生の頃、全国的に風疹が流行ったことがあった。人口が少なく、人と人との距離が遠い滝川市でも大流行した。二時間目が終わった頃、学校閉鎖になることが決まり帰宅できることに興奮した百恵ちゃんが顔を真っ赤にしながら
「イエエエエエエエエエエイ」
と叫びながら廊下を全力疾走して帰った日、職員室で
「あいつも風疹にかかったな」
と話題になったらしいがその時も全くもって平気だった。
今では1年のうち300日くらいは具合が悪いが大体ただの二日酔いか肉の食べすぎによる胃もたれである。

しかし体は丈夫だったが怪我の多い人生だった。
はじめての大けがは三歳の時だった。お昼寝から起きてボーッとしてると
(なんか飛べる気がする)
と思い二階の窓から飛び降りた。百恵ちゃんの想定ではアンパンマンの様に飛ぶ予定だった。現実はそううまくいかず気づくと大怪我を負っていた。

お母さんの自転車の後ろに乗っていた時に
(自転車の車輪に足を入れたらどうなるんだろう)
と思いつき足を入れてしまったこともあった結果は大惨事である。血まみれの我が子に気が動転したお母さんはなぜか三軒隣のトクダさんちに百恵ちゃんを運んだ。何故すぐに病院に連れて行かなかったのか不思議だし、大怪我した時くらいちゃんとして欲しいと心から思う。

百恵ちゃんは心の優しい子だった。
友達の誕生日プレゼントに当時流行っていたスライムを渡したい、と幼いながらに思ったことがあった。しかしスライムがどこに売ってるのかもわからなかったので自分で作ることにした。
水に絵の具と小麦粉、それからフリカケが入った百恵ちゃん渾身の気味の悪いオレンジの液体が出来上がった。全くスライムには程遠かったが友達のいる公園まで走って届けることにした。が、砂利道で盛大に転び、オレンジの液体を全身に浴び、膝を負傷した。今でも大きな傷が残っているほどの怪我だった。

百恵ちゃんは悲しくて悔しくて、泣きながら家に帰った。オレンジの液体まみれで早くお風呂に入って洗いたいのに膝には大怪我を負っていて幼い百恵ちゃんはもうどうしていいかわからず部屋の隅でさめざめ泣いていた。

するとお姉ちゃんが帰ってきて百恵ちゃんの怪我に驚きひとしきりパニックに陥ったのち、百恵ちゃんをトクダさんちに運んだ。

百恵ちゃんが怪我をするとなぜみんなすぐトクダさんちに運ぶ習性があったのかはわからないが、毎度血まみれの子どもが担ぎ込まれてきてトクダさんも相当迷惑だっただろう。

何度も大怪我を負いながらも生き抜いてきたバイタリティが今の百恵ちゃんの麻雀に生きているかもしれないし、生きていないかもしれない。

 

次回は1月9日(木)午前0時更新予定‼︎

【田渕家登場人物紹介】

父 コージ:元陸上自衛隊幹部高卒ながら佐官まで登り詰めるも「髪型が奇抜すぎる」という理由で100年に1度あるかどうかの異動の内示取り消しをされた経験がある。現在は三度目の暖かな家庭を築いている。

・母 イクコ:美容師。美容室を自宅で開業するもパチンコにハマり開店休業状態を約20年続けた猛者。おそろしいほど料理が下手。ツーブロックにしたことがある。近況を知らせる連絡では年下のペンキ屋さんとお見合いをしたらしい。

・姉 タエ:無職。1度も定職に就いたことがなく家賃を滞納してはクビが回らなくなりお父さんに払ってもらいに帰ってく るお調子者。過去に大きな交通事故に遭いウン百万円もの保険金を手にするが全てホストクラブに費やした経験がある。

・エリー:田渕家の飼い犬。詐病のプロ。足をひきずったり弱ったふりをしては人間に甘やかしてもらう。動物病院で『至って健康』という診断をされるとそれまでの弱りっぷりを忘れ、凛々しい顔で帰ってくる。趣味は父の顔に噛みつくこと。オスだが思いつきでエリーと名付けられた。

・マイちゃん:母親同士が同じ美容師で仲が良く、物心がつく前から一緒にいた幼なじみ。かなりの美人だが偏差値は2くらいしかない。現在は3人の子供を産み働きながら育てているが一度も結婚したことはなく、更に子供たちは全員父親が違うという斬新なファミリーを築いている。そして最近ロシア人の子供を産んだばかり。

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