なんか飛べる気がする…最強の細胞と“めんどくさいスイッチ”を持つ田渕家の人々 女流プロ雀士【百恵ちゃんのクズコラム】VOL.11

なんか飛べる気がする…

最強の細胞と

“めんどくさいスイッチ”

を持つ田渕家の人々

女流プロ雀士

【百恵ちゃんのクズコラム】

VOL.11

前回までの「百恵ちゃんノート」

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トラウマ

思い込みとは恐ろしいものである。
はじめてお父さんに空気清浄機を買ってもらったとき、とても嬉しくて家に遊びに来てくれた友達に

「これプラズマクラスター。プラズマのいいやつなんだ」

と、たいしてよく知らないのに毎回自慢していた。
それでもブドウのマークが愛おしくて、綺麗になったであろう空気を吸いまくっていた。

しかし一年後、なかなかフィルターお掃除ランプがつかないことに痺れを切らし、勝手に掃除してやろうとカバーを外すとなんとフィルターが全て袋に入ったままになっていた。

つまり、汚い空気はフィルターを通過することなくそのまま出てきていたのである。それから一気に空気清浄機に対する愛情が冷めてしまい、それからもう何年も電源をいれていない。

これはその時のFacebookの投稿である。百恵ちゃんの悲痛な叫びが伝わるだろうか。

百恵ちゃんはこの時のトラウマで今でも電化製品にたいして疑ってかかっている。

 

失ったもの

今、百恵ちゃんは年末の帰省のため北海道に向かう飛行機の中でこの原稿を書いている。百恵ちゃんは軽くワーカーホリックな気質があり、普段から
「脳味噌の血管がブチ切れそうなくらい忙しい」
と言いながらもチンパンジーの様に仕事を入れ続け、ほとんど休みなく働いている。そのため北海道帰省だけがまともな休暇なのだ。

その貴重な休日を楽しく過ごすため、お姉ちゃんと幼なじみのマイちゃんに
「これから北海道帰るよ」
と連絡をしたのだが二人とも連絡が返ってこなかった。マイちゃんは未読スルー、お姉ちゃんに至ってはLINEのメンバーリストから消滅していた。
「また失踪か?」
と思ったが程なくしてお姉ちゃんから電話があり、携帯をなくしてしまったとのことだった。
「新しいLINEのIDを口頭で言うからメモって。えっと、まずね、小文字でまゆたん
いきなり全く脈略のない人名が出てきた。ちなみにマユという名前の知り合いはいない。
「え、まゆたん?え、誰??」
と聞いても
「いいから早く書いて」
と言ってマユタンが誰なのか頑なに教えてくれなかった。相変わらず意味がわからないな、と思った。

そしてマイちゃんからもFacebookのメッセージで連絡がきていた。マイちゃんも携帯をなくしてしまったそうで、
「揃いも揃って何やってんだよ」
と思ったがそういう百恵ちゃんも数え切れない程携帯や物をなくしてきた。前回北海道に帰省した時に携帯をなくしてしまったことを思い出した。

ーーーその日、百恵ちゃんはマイちゃんとお姉ちゃんと三人で中島公園のお祭りに行っていた。お祭りではテキ屋さんになってフライドポテトを売ってる高校の同級生のロックな女の子と再会したり、おいしいのかおいしくないのかよくわからない食べ物を食べながら色んなことを話したりして楽しく過ごした。

百恵ちゃんはその日夕方から札幌の雀荘でゲストの仕事が入っていたため、早めの解散となった。会場まで自転車で来ていたマイちゃんと別れ、お姉ちゃんと駅に向かっていると携帯を持っていないことに気付いた。慌ててお姉ちゃんにマイちゃんに電話をかけてもらい確認してもらったがなかった。

仕方がないので会場に探しに戻ることにした。しかし当然ついてきてくれるだろうと思っていたお姉ちゃんの方を見ると明らかに不満そうな顔をして
「ンーーーーー」
と言ってきた。お姉ちゃんは田渕家特有のゾーンに入っていた。
“めんどくさいスイッチ”
がはいったのだ。
このゾーンに入った田渕家の人間はもうどうにもならない。年に1回帰ってこられるかどうかもわからない、かわいい妹が唯一の連絡手段である携帯をなくしても見殺しにできるほどの強いパワーを持っているのだ。

百恵ちゃんは諦めて一人で会場に戻った。おまわりさんのいるブースにいき、遺失物届けを出した。まさか『令和』の文字を初めに書くのが遺失物届けとはとても情けない気持ちになったし、携帯の特徴を聞かれ
「ワニの絵が描いているスマホカバーで待ち受けはコアラです」
と言わされられるなど恥ずかしい思いをした。
しかしそんな努力むなしく携帯は見つからず、諦めて仕事に行くことにした。

仕事先の雀荘につくなり、従業員の方が
「百恵ちゃんの携帯、見つかったみたいだよ〜お姉さんから店に連絡があって届けてくれるみたい」
と言ってくれた。安堵したのも束の間、雀荘に携帯を届けてくれたのはマイちゃんの彼氏、そうロシア人の彼だった。
雀荘にいきなり現れて女流ゲストのサイドテーブルにスマホを置いて帰ってく謎の外国人。カオスである。
「いや、あの人は友達の彼氏で、、!」
と慌てて言い訳をしたが何を言っても苦しい言い訳にしか聞こえなかっただろう。今でもあの空気を思い出すだけで吐き気がする。

2019年夏、二度と携帯をなくすことのないよう心に決めたあの日から、百恵ちゃんはすでに二回携帯をなくしている。

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