天才のひらめき・茅森早香の大明槓 混沌の、その先の未来へ 【Mリーグ2023-24観戦記 2/22】担当記者 東川亮

天才のひらめき・茅森早香の大明槓

混沌の、その先の未来へ

文・東川亮【木曜担当ライター】2024年2月22日

大和証券Mリーグ、2023-24のレギュラーシーズンはいよいよ各チームの残り試合数が20を切りはじめてきた。今シーズンからはBEAST Japanextの参戦で9チームによるリーグ戦となったが、セミファイナルに進出できるのは6チームで変わらず。つまり、レギュラー敗退チームが1チーム増えたことになる。

そしてポイントは現状、セミファイナル進出チケット最後の1枚を6位雷電から9位BEASTまでで争う構図になっている。

そして2月22日の対戦カードは雷電、フェニックス、BEASTの直接対決。まだシーズンは1ヵ月ほど残っているが、今後を占う上で重要な2試合だ。

第1試合は下位の3チームが熾烈なトップ争いを繰り広げ、東城りおが勝利。フェニックスが6位に浮上して迎えた第2試合も、初戦同様に激しい展開となった。

第2試合

東家:鈴木大介BEAST Japanext
南家:渋川難波KADOKAWAサクラナイツ
西家:萩原聖人TEAM RAIDEN / 雷電)
北家:茅森早香セガサミーフェニックス

この試合では、数々の興味深い選択があった。まずは萩原。

東2局、南家でドラの【南】をポン。こうなればしゃにむにアガリにいきたいところだが、

萩原は孤立している【9ソウ】ではなく、トイツの【8マン】を切っていった。

現状はターツオーバーでどこを払っていくかを考えると、リャンメン2つはキープするとして【北】【5ソウ】【8マン】のトイツから選ぶなら、赤含みで攻撃力のある【5ソウ】、字牌で守備力のある【北】と比べて【8マン】は両方の魅力に欠ける。であれば先に切ってしまおうということだ。【9ソウ】はドラを切ってきた親の渋川の現物で、他の2人にもやや切りやすそう。

だが、直後に茅森からのリーチがかかる。待ちを広い【5ピン】【8ピン】【7ピン】ではなく亜リャンメン【2マン】【5マン】にとったのは、狙い目の【8ピン】が3枚見えだったことが大きく、一方で【2マン】【5マン】は早々に【4マン】が3枚見えていて、やや良さそうに見える。ただ、この待ちはほとんど相手に持たれてしまっていた。

萩原は渋川の切ったリーチの現物【4マン】をチー、通っていない【8マン】を切って前進。

【7ソウ】を引き入れ、【北】を切って粘ると、

大介のリーチに対し、2人の現物である【8ソウ】をチーしてテンパイ。

すぐに茅森が【1ピン】をつかみ、萩原が南ドラ3赤の満貫を決めた。

ドラポンでアガりたい局面ながら、しっかりとバランスをとったことが結果につながった一局だった。

お次は茅森。東3局1本場「天才すぎるオンナ雀士」の異名に違わぬ一手を見せる。

早々に【中】をポンして1シャンテンだが、この時点での打点は1000点。ドラも赤も手役もない安手ながら形は良いので、まずはトップ目の親を蹴って親番を迎えようという選択。これは至ってノーマルな進行だ。

【2ピン】を暗刻にしてテンパイ。ここからだった。

萩原がタンヤオに向かって【2ピン】を切ると

「カン」

いつもよりトーンの高い、茅森の声が響いた。

【2ピン】の大明槓。

現状自身がテンパイ、待ちの【4ソウ】【7ソウ】【6ソウ】3枚見えで良さげに見える、【2ピン】を大明槓すれば8符がついてテンパネ、新ドラ次第でさらに打点アップとメリットはあるが、現状1000点で親の現物を消費、相手に新ドラを乗せるリスクも考えると、なかなかできることではない。

新ドラは【6ソウ】で1枚乗った。そして・・・

リンシャン牌にいたのはなんとアガリ牌の【4ソウ】

1000点の手が中リンシャンドラ、1300-2600は1400-2700と、なんとアガリ点は5倍以上になった。

茅森を古くから知る赤坂ドリブンズ浅見真紀をして「初めて見たかもしれない」という茅森の大明槓。

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