天才のひらめき・茅森早香の大明槓 混沌の、その先の未来へ 【Mリーグ2023-24観戦記 2/22】担当記者 東川亮

それだけ意外性のある一打だが、カンという発想とそれを実行する思い切りの良さ、そして打点までを含め、茅森らしさが存分に詰まったアガリと言えそうだ。

打点と言えば、この人を忘れてはいけない。

東4局、鈴木大介。

メンツ手とチートイツの両方が見える1シャンテンから引きで6個目のトイツができ、いったんは待ちのテンパイを取るが、リーチはかけない。

この変化が最高だ。を暗刻にしてメンツ手に切り返し、リーチ。2役ついており、ツモれば満貫から、待ちもと申し分ない。

茅森がチートイツのテンパイを入れるも、振り切って満貫ツモ。これで大介がトップ目に立って南場を迎えると、

南1局ではの二度受けができたところで切り。が自身の目から3枚見えでが、も3枚見えでが少し良さそうということか。

このがすでにジュンチャン三色のテンパイを入れていた茅森から鳴けると、

と引き入れてタンヤオ赤ドラの2000オールをツモアガリ。

次局は萩原がリーチツモチートイツ赤の2000-4000は2100-4100と、こちらも高打点のアガリを決める。

点数的には萩原対大介の一騎打ちという状況。しかし南2局、構図が大きく変わる。

親の渋川がドラのを暗槓。

「槓全メシ完全メシ祭」だ！

カレーメシ100食分ゲットチャンス！

沸き立つ視聴者、そしてもう一人。表情からはうかがい知れないが、

新ドラのを、茅森は2枚持っていた。赤1、最悪2000点の手が一気に満貫以上にレベルアップ。しかもこの時点でそこそこ形の良い1シャンテンである。

を引き入れて場に見えすぎているターツを払い、さらに強力な手にシフトしていくと、

ドラのを暗刻にしてドラ5のテンパイなら、親のドラカンが相手でも真っ向勝負だ。

この待ちはが既に山になかったが・・・

3枚あったを一発でツモ！

裏ドラこそ乗らなかったが、リーチ一発ツモドラ3赤2の強烈な倍満を決めた。

今シーズンは鳴りを潜めていることが多かったが、もともとMリーグで「打点」と言えば、茅森を連想する人も多いはず。その姿が健在であることを見せつけてくれた。

さらに南3局では、のシャンポン待ちで即リーチをかけ、ツモって裏ドラを乗せて2000-4000。

トップ目の萩原に親かぶりをさせ、トップ目でオーラス。ここで茅森がチームの同日連勝を決めれば、フェニックスは一気に他3チームを置き去りにすることができる。それはフェニックスを応援する全ての人たちの願いだった。

 

だが、もしもMリーグに神様のような存在がいるとするならば。

 

どうやら、もう少しボーダー争いの混沌を楽しみたがっているようだ。

南4局、大介が5巡目にしてタンヤオドラドラ赤の満貫テンパイ。ツモか直撃なら茅森を逆転してトップになるため、大介は2枚までは見逃そうと考えていたという。

しかし、素点回復に向かった渋川がを暗槓すると、

新ドラが。

なんと大介に2枚乗って、ダマテンでハネ満になった。

こうなれば、どこから出ても逆転トップ。

直後、こちらも逆転トップを狙う萩原は、手牌に不要なを止めておくことなどできなかった。

将棋の駒のように高い音を立てて倒された手牌が、直接対決第1ラウンドのゲームセットを告げた。

2月22日の対戦を終え、6位フェニックスと9位BEASTのポイント差はおよそ140となった。これは直接対決であれば1日で逆転できる差である。過去のシーズンで、ここまで終盤に下位が団子状態になったことは、ちょっと記憶にない。