チームの2連続ラスを回避!
土壇場で留まる
魚谷侑未、執念の3着
文・山﨑和也【月曜担当ライター】2020年11月16日
ここ最近、衝撃的な出来事があった。大物選手の所属団体移籍、大スターの体調不良による対局延期。ご存知の方も多いと思う。
そのニュースに対する大きな反響を目の当たりにし、麻雀界も将棋界も多くのファンがいることを痛感した。応援している人を思う気持ちがその人の力になる。Mリーグで戦う選手達もきっと同じだ。
第2試合を戦う選手達はこちら。
南家 魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
北家 藤崎智(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
勝又はここまで2連勝中。チームの勢いそのままに3連勝を目指したい。
魚谷と多井の戦いもアツい。魚谷は昨年度のMVP、多井は一昨年のMVPだ。だが、ともに今シーズンはまだエンジンがかかっていない印象を受ける。筆者はその2人に注目していた。
東場はサクサクと局が進んでいった。大きな点数の変動はなく、あっという間に南場に突入。
南1局から展開が大きく動いた。
微差でトップにいる多井。親でかなりの好配牌をもらった。第一打目は。これは多くの人がそう打つのではないだろうか。
2巡目で早くもドラのを手放した。もう形が決まっているとはいえ思いきった選択である。を引いてしまうと痛いが、安全牌のを残すほうがよいと判断したか。
対抗馬は勝又。をポンして混一色の染め手に向かう。をポンできれば満貫も見えてくる。
勝又の仕掛けに構わず、多井は丁寧な手作りを見せる。を引いて打とした。いま見返してみると当然だが筆者は入れ替えられるのをうっかり。三面張にとっても逃さない手格好になった。
狙い通りを引き入れて待ちのリーチ。多井の親の先制リーチは将棋の二枚飛車に匹敵する恐ろしさだ。
勝又もイーシャンテン。が通っていないものの、テンパイしたら切る腹づもりだっただろう。
通っていないを押した。この直後に、どこからか深いため息のようなものが聞こえる。おそらく多井だ。
明白に押されていることがわかったからか、を切る素振りは少し嫌がっていたように見えた。
しばらく膠着状態が続き(打)
勝又にもテンパイが入った。が通ったあとに切りやすくなったをリリース。待ちはと。は守りに徹している魚谷と藤崎の手にそれぞれ1枚あり、は山に1枚。両者とも高打点だ。
結果は多井が制した。裏も1枚乗って4000オールで一気に突き放した。ここ最近の多井は親番で流されることが多く(東1局も勝又が光の速さで平和のみの1000点で流していた)持ち味が出せていなかったが、ファンにとっては待望の連荘だ。強い多井が帰ってきた。
南1局1本場。
藤崎が早々にカン待ちのリーチをかける。唯一1万点台に沈む藤崎にとってはここが勝負どころ。ダマでもアガれるが、忍んでいる余裕はない。
このリーチに放銃してしまうと一気にラス落ちまで可能性がある。多井と魚谷はしっかり受けに回る。特に魚谷の安心感は格別だ。見よ、この守備力の高い布陣を。
1鳴き(ペン)していた勝又もドラのを引いてブレーキをかける。
守備力の高い顔触れが揃うと不用意な失点はまず見られない。この局は藤崎の一人テンパイで終わった。
南2局2本場。
親は魚谷。魚谷も親番で勝負強さが増している印象がある。
配牌は決していいとはいえないが、ここから辛抱強く手を進めていった。この時点では魚谷が絶望的といえただろう。序盤で明らかに手がよかった者がいたのだ。