堀慎吾は
なぜトップを取れたのか⁉︎
四者のリーチ後の対応で
別れた勝敗の綾
文・渡邉浩史郎【金曜担当ライター】2020年12月18日
12月18日㈮ 文責:渡邉浩史郎
突然だが皆様、好きな役はあるだろうか?
古今東西いろんな役がある。アンケートをとったわけではないが、現代麻雀で最も好きな人が多い役と言ったら……
やはりリーチだろう。
リーチの強さと言ったらここでは書き記せないほどであり、初心者にはアガリ役のお供、中・上級者には攻めの道具として、幅を問わず色々な人に愛されてきた役だ。
麻雀では一局に一回誰かがリーチをかけている、といっても過言ではないくらい出現頻度が多い。それ故に、他家のリーチ後の対応、押し引きというものが麻雀をやるうえで重要な要素の一つになっている。
今回の半荘も御多分に漏れず、総局数10局のうち計12回のリーチが発生した。今回はそんなリーチ後の対応について、見ていきたいと思う。
第1試合
東家 佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家 堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
西家 瑞原明奈(U-NEXTパイレーツ)
【東1局】
親の寿人のリーチを受けた堀。一発目は現物の対子落としで回るが……
寿人のツモ切ったドラのをポン!これを安牌として使うことなく、攻めに転じていった。
無筋を切ることなくイーシャンテンまでこぎつけた堀。ここでは……
無筋のを切っていった!
このだが、試合後に堀はTwitterで「強気の攻めではなく、弱気である」と語った。恐らく堀の目からは寿人の8巡目の手出しが相当スライド(と持っていたところにを引いて切られた)か、それに類する形に見えていたのだろう。そう考えるとが両面で当たる可能性は低く、ドラがである今回の場合は愚形やシャンポンで当たる場合もほとんどなさそうだ。
読みを使いこなして一見危険な無筋も安全牌として扱う、堀の面白い麻雀の一側面を見ることができた。
この局のリーチ対応といえば園田も秀逸。
リーチ前からピンフのみの黙テンを入れていた園田。目論見の一つ通り、親リーチの現物待ちとなって出アガリを期待していたところに引いてきたのは無筋の。
ここは打で降り。自身の目からが4枚見え、が4枚見えで、先ほどの手出しと照らし合わせるとある程度寿人の手牌構成が読めてくる。ピンズで1~3ブロックはありそうな中で、ピンズの両無筋であるは現状のこの手からは押す価値がないと判断した。
これが見事に放銃回避。子方二人のリーチ対応の妙が見られた一局であった。
【東2局】
寿人のリーチを受けた瑞原。自風で生牌のを重ねるがこれをツモ切り。一枚切れのを切らなかった。での一発放銃はほぼ確実に高打点になることを懸念しての守備的な一打だろうか。
しかしこの形になればトップ目とはいえ危険牌打ちリーチで被せる!結果的に手順は変わっていなかった可能性は高いが、瑞原のトップ目に立った時のリーチ対応が分かる切りだったといえよう。
【東3局】
寿人の四巡目リーチにマンガン聴牌で追いついた堀。
ここはダマ。打点的には十分な役あり愚形聴牌であれば後の状況に対応できるダマが有利だと判断。恐らくしばらくは黙テンのまま無筋を切り続けるであろう。
を一鳴きして1500のイーシャンテンの瑞原も、ここは打!
今通った切り→ソウズにくっつけてリーチの一巡前に切られたの外側の一対子落としが比較的安全な手筋であるかと思ったが、がドラ筋の安めということもあり、ここは強気に攻めていった。
早いリーチだったり河が強いリーチに対して、自身の手が価値ある手なら自分都合押し。価値が低い手ならしっかりリスク回避という基本構図が見えてきたのがわかるだろう。
【東4局】
寿人の早いリーチにをポンしていた堀がチー打で聴牌。その後も、と怒涛の無筋三連打。
自身の手は・赤1の2000点と打点があるわけではないが、安牌がほとんどない。寿人のリーチはターツ選択もなく、通っている牌も少なくて読みで止められる要素がほとんどない。であればこの手をアガり切ってリーチを潰すことが最大のディフェンスに成り得るという判断での自己都合押しだ。
このタイプの自己都合押しは通った牌の種類と自身の手牌の安牌量とのバランスでどこかで降りることが多い。そういった場面での堀のバランス感覚を見てみたかったが、ここはツモであっさり寿人のリーチを躱す。