新世代の頂点から最強へ
裏セレブ・一瀬由梨が歩む、
迷いなきファイナルへの道筋
【決勝卓】担当記者:東川亮 2021年8月22日(日)
近年、麻雀プロにとってこれまで以上に重要となっているように思われるのが「セルフプロデュース」だ。
毎年たくさんの麻雀愛好家がプロの門を叩き、麻雀プロの数は増加の一途をたどっている。
その中で名を馳せようとするならば、いかに自分をアピールしていくかは非常に大切なことだろう。
ただ、やはり麻雀プロにとって大事なのは、勝つことだ。
麻雀最強戦「女流プロ最強新世代」は、新進気鋭の女性麻雀プロが参戦する大会となった。
本戦に出場し、決勝卓まで駒を進めたのは32名の中からわずか4名。
ここで勝つことは、麻雀プロとして一つ抜きんでるチャンスをつかむことに直結する。
その力を示すのは誰か、麻雀界は新たなスターを求めている。
中月裕子。
A卓ではアグレッシブな攻めを実らせて大きなリードを築き、そのまま逃げ切って決勝卓へ勝ち進んだ。
日本プロ麻雀協会では名の知れた女性プロの一人だが、ここを勝ってファイナルへ進むことの価値は大きい。
決勝の舞台で、ハネ満タイキックの炸裂はなるか。
A卓では親番を落として2万点以上のビハインドという劣勢から、満貫直撃などで一気の逆転突破を決めた。
一度散りかけた身として、もはや怖い物はない。
ファイナル行きへ、左手が繰り出すイリュージョンやいかに。
相川まりえ。
東海からやってきたチャレンジャーは、親番で強烈な6000オールを決め、B卓を勝ち上がった。
自撮り最高位、カリスマメイド、自称・他称を含めていろいろな呼び名があるが、麻雀最強戦でものを言うのは麻雀の力のみ。
攻守に鋭い打ち筋で、麻雀界のカリスマとなる。
一瀬由梨。
B卓戦では親番でのツモアガリで接戦を抜け出し、2位通過を決めた。
黒沢咲・二階堂亜樹に憧れているという彼女の異名は、誰が呼んだか「裏セレブ」。
ドラに愛されるセレブの剛腕が、最強戦の舞台で唸る。
東1局、先制テンパイは中月。
待ちのリャンメンテンパイだが役なし、ここは三色への振り替わりを見ていったんダマテンとした。
のみ手リーチの1300、あるいは500-1000はトップ取りが至上命題の決勝卓では全く決め手にならない。
高打点のチャンスはできる限り狙っていこうという考えだろう。
だが親の相川がリーチとくれば話は別だ。
ここで相川にアガられれば、早くも劣勢に立たされてしまう。
ツモ切り追っかけリーチで勝負に出た。
2件リーチの局面、ここで一瀬が相川のツモ切ったをチー。
手の内はまだ遠く、切ったのは安全度が極めて高いトイツの、いわゆる「一発消し」だ。
一般的にはごくノーマルな鳴きには見えるが、彼女のキャッチフレーズ「裏セレブ」を考えれば話は別、らしくはないムーブに見える。
結果はハッキリと出た。
相川が直後に中月のロン牌をつかみ、裏ドラが1枚乗って中月が2600のアガリ。
ただ、もし一瀬が動いていなければ中月が一発でツモ、リーチ一発ツモ裏1の2000-4000ツモだった。
2000点の失点を防ぐと共に、ライバルのスタートダッシュを阻止。
これが「セレブ」の「裏」の顔か、一瀬としてはしてやったりといったところだろう。
逆に中月は目に見えて満貫を安手に貶められただけに、アガったとは言えあまり気分はよくなかったはずだ。