大花火は打たせない!
~菅原千瑛が魅せた
「離れ業」
文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2023年11月10日
第2回戦
東家:日向藍子(渋谷ABEMAS)
南家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:菅原千瑛(BEAST Japanext)
北家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
場面は南3局1本場。
ここまで菅原が要所を締めて、ダントツ状態を築いている。
この親番を安全にやり過ごせたら、下位陣に2着争いを演じてもらうことでかなりの高確率でトップを持ち帰ることが出来るだろう。
この試合、もしもトップを獲れるとすれば、チームにとってはポイント以上に大きなものをもたらすことになる。
なにせ、チームは近7試合連続で3・4位に甘んじていて、その頭上にはマイナス200以上の大雨をもたらした厚い雲が垂れ込めている。
一筋の光明を呼び込むきっかけをBEASTは必死に求めている。
一戦一戦がまさに死に物狂いなのだ。
だから、この親番で菅原に求められるテーマは、「何事もなく親番を終えること」。
内川と日向の点差もマンガンひとつ分ということもあり、二人に競らせておけば造作もないことのはず。
しかし、ここはMリーグ。
そうは問屋が卸さない。
南家の伊達が初打に放ったに「ポン」の声。
声の主は日向だ。
日向は、
ここからマンズの両面ターツを払い、ピンズのホンイツへ寄せていく。
「あれ! だいさん… いや、でぇさんげんだ!」
プレイヤー解説の仲林圭(U-NEXT Pirates)が叫んだとおり、遠くに見える大花火の姿。
日向は、
カメラが1周する間にを手牌の左側に置き直し、ギャラリーにアピールしている。
「三尺玉の大花火、打ち上げてやるんだから。」
稀代の女花火師と化した日向は、じっと場を見つめている。
そして、第1試合で渇望していた今シーズン初トップをもぎ取り、連闘権を行使した内川。
菅原の親を落として2着以上を確保しようと前に踏み出すと、女花火師がその牌に声をかけた。
ここで、改めて日向の河を観ていただきたい。
(2打目のはツモ切り。)
解説の仲林は「これね、はトイツに見えないですね。」と語る。
「手の内にがトイツだと、が手出しにはならないですよ。だから、今の内はが切りやすいですよ、かなり。」
仲林が語るとおり、最初からがトイツなのであれば、一色手にする必要がない。端にかかったターツは待ちとして優秀なので、それを切り出してくるケースは稀であろう。
現に、日向のは手の中に1枚。
今なら切りやすいのは確かなのだが… 同巡の各家の手牌をご覧に入れよう。