忍の一字
瀬戸熊直樹
文・後藤哲冶【木曜担当ライター】2023年12月7日
TEAM雷電の近況は芳しくない。
11月の初めまでは100ptを超えるポイントを持ち、3位に位置していたのが直近11試合でトップが無く、ポイントを大きく減らし順位はレギュラーシーズン敗退圏内である7位まで後退を強いられていた。
そんな苦しいチーム事情の中で、今日の第2試合に出場するは、瀬戸熊直樹。
瀬戸熊は今週末、2連覇中の最強位として、麻雀最強戦のセミファイナルも控えている。
チームにとっても、個人にとっても、良い流れを持ち帰る対局にできるか。
12月7日 第2試合
東家 多井隆晴 (渋谷ABEMAS)
南家 瀬戸熊直樹 (TEAM 雷電)
西家 佐々木寿人 (KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家 二階堂亜樹 (EX風林火山)
この半荘、先制に成功したのは瀬戸熊だった。
東1局、先制リーチを打った瀬戸熊が、寿人の追いかけリーチ宣言牌を捉えて8000のアガリ。
これで景気よく先制すると。
迎えた親番、絶好の暗刻を引き入れのリーチ。これを一発でツモアガって4000オール。
大きな加点で、これで大きめなトップ目に立つことに成功。
しかし瀬戸熊は知っていた。Mリーグにおいて、この程度のリードではトップを確定させるには至らない、と。
続く1本場、またしてもドラのの暗刻の勝負手が入る。
瀬戸熊はこの形から
を打った。
こうしておくと鳴けるタンヤオへの渡りがあるのが大きい。
瀬戸熊はこの時、カンチー、とはポンする予定だったと言う。勝負手に関しては迷いなく副露を使っていくのも瀬戸熊の長所だ。
を切っておけば引きでターツへの変化も見込める。
しかし先制リーチは寿人から。2枚切れのカン待ちだが、もちろん寿人はお構いなし。
ドラ赤あっての勝負手リーチだ。
寿人のアガリ牌を引き入れて手が進む瀬戸熊。
しかし、真っすぐ打ち抜くかはいずれも寿人には通っていない。
それでも、瀬戸熊はを打ちぬいた。
が通っていてで当たることはなく、を自身で2枚使っているので比較的当たりにくい。
とはいえ、十分に当たり得る牌だ。瀬戸熊は、このドラ3の手を、トップを決定付けるアガリにすると決めたのだ。
絶好のカンを引き入れた!
息を深く吐いた後、リーチ宣言。待ちはとのシャンポンに取った。
これを決めれば、トップを決める二の矢になる。
瀬戸熊の表情からは、そんな意気込みが感じられた。
ツモる手に力が籠る。
が、この勝負は寿人に軍配。
は残り1枚だったが、寿人にとってはいつもとなんら変わりないか。
2000、4000のツモアガリで戦線に復帰。
(そう、上手くはいかないか)
瀬戸熊が、静かに袖を捲った。
ここからが、長い、長い、トップへと続く道のスタートだ。