光が強ければ、影もまた濃く
〜小林剛と二階堂瑠美の
コントラスト
文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2024年2月23日
「光が強ければ、影もまた濃く」
ドイツの詩人、ゲーテの有名な言葉です。
この言葉の解釈ですが、そう見えるものだよね、という単純なもの(光が強くなったからといって影が濃くなるわけではなく、これは目の錯覚なのだそうです。)から、例え話になぞらえて深い意味を暗示させるものまで、捉え方によって様々。
ただ、一様に語られるのは、
「一つの物事だけに目を奪われてはいけない。」
ということ。
今日のゲームは、今期のレギュラーシーズンを象徴するようなコントラストが描かれました。
第2試合
東家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:小林剛(U-NEXT Pirates)
西家:二階堂瑠美(EX風林火山)
北家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
「工夫の鬼」二階堂瑠美のカウンター
東2局6本場をご覧いただきたい。
ここまで6局中半分の3局で放銃の憂き目に遭った瑠美。
原点から約2万点の失点を喫して迎えたこの局でようやく出番が。
3巡目。ピンフのみのテンパイ。
瑠美は「工夫の鬼」。
巡目が早いこと、そしてタンヤオとドラとの振り変わりがあるので、
当然のヤミテン。
手役に思い入れの強い瑠美は、さらなる工夫を手牌に込めたかったのだろう。
現在のチーム状況も相まって、思うようにならない今を憂うようなこの表情。
しかし、未来への希望を諦めたわけではない。
5巡目。
ひょっこり引いてきた。
ここに、瑠美の「意志」が垣間見えた。
瑠美の選択はソウズのターツ払い。
マンズかピンズを伸ばしたい、ということもさることながら、単純にピンフのみで和了ることに嫌気したのだろう。
劣勢を挽回するためには、踏み込むための「足場」が必要。
それが、もらったままのピンフテンパイであるはずがない。
長らく修羅場をくぐり抜けてきた、瑠美なりの感覚なのではないかと記者は感じたがどうだったろうか?
ただ、このタイミングで
園田が自信満々にリーチを放ってきたのは想定外だったか。
前述のとおり、失点を重ねている最中に嫌なタイミングのリーチ。
自身が子方であることもあって、小林の親を追い落とす役を園田に任せても良いだろう。
手の中にある、から落として、撤退すれば良い。
でも、瑠美はそれを良しとしなかった。
リーチの一発目から無筋を飛ばしていく。
(…瑠美さん、そんなに良い手入ってるの?)
白い巨塔の財前五郎(唐沢寿明版)をイメージしたという出立ちの園田、瑠美の河に視線を落としてご覧のような怪訝な表情。
(白い巨塔がわからないよ!という方は、ぜひドラマを探してご覧いただきたい。山崎豊子さん原作の不朽の名作です。)