浅見真紀、バイプレイヤーは主役の一角となるか【Mリーグ2023-24観戦記 2/23】担当記者 #東川亮

浅見真紀

バイプレイヤーは主役の一角となるか

文・東川亮【金曜担当ライター】2024年2月23日

筆者は今シーズン、近代麻雀誌上ならびに近代麻雀noteにて連載されている、赤坂ドリブンズ・越山剛監督「燃える監督」のインタビュー記事を担当している。

越山監督が監督という立場からMリーグでの戦いを語るという企画で、先日は最新号分のインタビューをさせていただいたのだが、やはりレギュラーシーズンも終盤になってくると、独特の大きなストレスがかかってくるようだ。それはポイント的には有利に見える今の状況にあっても、である。詳しくは、本誌掲載・note更新時にぜひご覧いただきたい。

さて、そんな心労を和らげるのは、何よりも勝利。大和証券Mリーグ、2月23日の第1試合では、今シーズン新加入の「聡明なるバイプレイヤー」浅見真紀が今シーズンの15戦目に臨んだ。

第1試合

東家:瑞原明奈U-NEXT Pirates)

南家:伊達朱里紗KONAMI麻雀格闘倶楽部)

西家:浅見真紀赤坂ドリブンズ)

北家:勝又健志EX風林火山)

東2局、勝又が役なし3メンチャンから【西】【5ピン】待ちのツモり三暗刻に手を変えてリーチをかける。

このとき、浅見の手は好形の1シャンテンだった。メンツ手ならイーペーコー、トイツ手ならチートイツになり、【發】を鳴いてもOKという盤石の形で、しかもドラが2枚のチャンス手。しかし手牌の右端にたたずむ【西】が、不安を増幅させる。

【8ソウ】も少考してプッシュ。こうなると、テンパイしたらほとんど放銃するかに見えたが、

次の無スジ、【5ソウ】は切りきれず、現物【1ソウ】で一歩後退。

次巡のツモは【1ソウ】で、前巡に【5ソウ】を切っていれば【4ピン】【7ピン】待ちのテンパイが入っており、そこで攻めに出ていたら【西】で放銃となっていた。ここは浅見がギリギリの引きで危機回避に成功する。

すると、流局で迎えた東3局の親番では打点こそリーチのみと安いものの速攻を決めて供託を回収。

連荘して迎えた次局には、ダブ【東】の暗刻を生かして満貫テンパイの勝又から5800は6400を打ち取り、着実に加点していく。

浅見の二つ名には冒頭に紹介したものとは別に、「守備を忘れた特攻シンデレラ」というものがある。おそらく攻撃全振りのスタイルから名付けられたものだと思われるが、「聡明」である今の浅見は、闇雲な特攻はしない。

たとえば、連荘で迎えた東3局3本場、伊達のリーチに対して【4マン】をチーすればタンヤオ赤のテンパイを取れたが、これはスルーしている。通っていない【7ピン】を押し、次巡はロン牌の【8マン】を打ち抜いて放銃となるのだが、後手から攻めるならそれに見合った打点をしっかり作ろうという意識が垣間見えた。そしてそれは今回だけのものではなく、Mリーグでしばしば見せてきた打ち筋だ。

失点にも、動じる様子はない。放銃リスクを覚悟で、それでも押すことが得だと理解、整理して打てていることの証だろう。

そして、攻めるべきときはしっかりと攻める。東4局、親の勝又が【東】の加カン、【7ソウ】暗槓と立て続けに動き、瑞原のリーチもかかっている状況で、浅見は新ドラのカン【3ソウ】待ちでリーチをかけた。元ドラが【1マン】でアガればドラ4から、放銃に回ればラス落ちすらあり得る状況だが、それ以上にリターンが大きいと見て踏み込む。

ラス目の親である勝又も満貫のテンパイ、一発でつかんだ【3ソウ】をそのまま叩き切る。

「ロン」

声が重なり、浅見は牌に伸ばした手を止める。

ここは瑞原が頭ハネ、8000の出アガリ。これで試合は、女性3名による三つ巴となっていく。

そして、浅見が試合後に「決め手になったかもしれない」と振り返ったのが、南3局1本場のリーチ。役もドラもない安手ではあり、

親のリーチに対して瑞原が仕掛けで、勝又がリーチで被せてきていた。

このめくり合いを制して1000は1100オールのアガリ。この試合の浅見は11局中、実に5局でアガリをものにしたが、最高打点は東3局2本場の5800は6400。打点には恵まれなかったが、そういうときは得てして相手に高い手が入っているもの。それをしっかりとつぶし、あるいは回避していき、

オーラスタンヤオのみの1000点ながら自力で決めきって、自身の5勝目を手にした。

トップ率33%、ポイントはプラス122.8と、チームの一員として戦力になっていることは、もはや疑う余地もない。この勝利で、越山監督のストレスも幾分和らいだのではないだろうか。

ただ、試合後には浅見の麻雀の内容についての検討も行われていた。チーム公式Xでは、南3局2本場の手組みについて行われたチーム内での会話が紹介されている。まだまだブラッシュアップするところも多いのだろうし、それを繰り返しながら、ドリブンズの浅見真紀としてさらに強くなっていく。

ドリブンズの選手起用方針は「均等ではなく公平」。あくまでも選手を公平に評価し、それに見合った出場機会を与えるというものだ。そうしたなかで、脇役を指す言葉「バイプレイヤー」を掲げる浅見の出番は、そこまで多くはならないのかもしれない。

しかし、強い組織・チームにおいては必ず、メインではなくとも脇を固める強力な存在がいる。そして、一つひとつ結果を出しながら成長していくことで、監督として「使いたい選手」つまり「主役」になっていくことも十分あり得るだろう。これからの終盤戦、そしてセミファイナルやファイナルという厳しい舞台で浅見が放つ輝きに、注目だ。

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