天衣無縫
文・ゆうせー【木曜担当ライター】2024年11月21日
第2試合
東家:本田朋広(TEAM RAIDEN / 雷電)
南家:二階堂瑠美(EX風林火山)
西家:猿川真寿(BEAST X)
北家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
天衣無縫… 物事に技巧などの形跡がなく自然なさま。天人・天女の衣には縫い目がまったくないことから、文章や詩歌がわざとらしくなく、自然に作られていて巧みなこと。また、人柄が飾り気がなく、純真で無邪気なさま、天真爛漫なことをいう。(goo辞書より引用)
その二つ名の通り、明るくて穏やかな人柄で、ファンも多い選手だ。
「天衣無縫」という言葉を雀風に当てはめる場合、原義である「巧み」というよりは、人柄と同じように「天真爛漫」の意味合いで使われているように思う。「豪快」にも近いイメージだ。
また、瑠美は、守破離の麻雀という本も出している。守・破・離は、それぞれ基礎→応用→発展のようなもの。
アレンジを加えたオリジナルの「離」の一打を繰り出すこともある瑠美。
しかしこの日の、南2局の「ある一打」は、正着から「離」れ過ぎていたように感じた。
点数が接近して迎えた南2局。
瑠美の配牌は、
いい。
役牌が2組あって、ドラもトイツのチャンス手だ。
瑠美は、
を切った。
を打つと、かなり目立ってしまうからだろう。
読みの話になるが、第一打が2や8の数牌の場合、その人が役牌トイツを持っている可能性が上がる、と読む人は多い。私もそのうちの一人だ。
理由としては諸説あるが、「2や8が要らない」ので、タンヤオやピンフの可能性が下がっていると考えるからだ。字牌が手牌の一角を占めるため、数牌のスペースが圧迫されて2や8の牌が早めに押し出されている、とみなすことも出来よう。
さらに、を河に並べるだけならいいが、このあと手からやを切ることになると、なおのこと役牌トイツが炙り出されてしまう。
「よりやが大事だった」→「すでに役牌がトイツだったのでやを重ねて打点を上げたかった」という考え方になるからだ。
従って、
役牌のにおいを消すためにも、打は有力な一打だ。を残すことで、ツモからのターツ切り替えも狙える。
ピンズのホンイツを強く見て打とするのも、もちろんいいが、一択ではないだろう。
次に瑠美は、
鬼ヅモ!
絶好のを埋める。
そして、
ここで打。
やを引けばピンズのホンイツへ。
そうならなければ、ソウズのカンチャンを使っての役役ドラドラ、または役牌ドラ3が本線だ。
→と切ったことで、逆の切り順よりは平坦な河になっている。
本田との点差は11100。
やんちゃな貴公子を、天衣無縫が笑顔で狙う。
3巡目には、
をツモ切り。
から切っている場合は、を引いた時点でホンイツへと寄せる手もなくはない。
しかし、役役ドラドラでも12000点。染めずとも打点十分だ。満貫で本田に届くことを考えると、ブロック不足にしてまで、を払ってを残すことを強いるのは酷に感じる。
が重なっている打ち手もいるだろうが、瑠美のように河に2枚並ぶのも、また致し方ないと言えよう。