最高で最強だった貴方へ
【D卓】担当記者:後藤哲冶 2024年12月14日(土)
近藤誠一は2018年の最強位だ。
そしてその年には、自団体の最高タイトルである、第43期最高位にも輝いている。
文字通り、最高で最強な選手になったのだ。
プロ歴27年。
所属団体である最高位戦の新人にも、近藤誠一に憧れて最高位戦の門戸を叩いたという選手も少なくない。
もちろん、私もその一人だ。
Mリーグも勇退し、自団体のリーグ戦も、引退を視野に入れている近藤。
第一線を退いてしまうというのは寂しいが、だからこそ、こういった機会で存分にその腕を振るって欲しい、とも思う。
1st Stage D卓出場メンバー
東家 男の花道 優勝 近藤誠一
南家 ザ・リベンジ 優勝 松本吉弘
西家 現最強位 桑田憲汰
北家 Mリーグスペシャルマッチ 優勝 仲林圭
東1局
シンプルに手を進めていた近藤が、ここから打を選択。
狙いはチャンタ系の手役。
メンゼン高打点が魅力の近藤らしい打牌だ。
ドラのを引き入れてテンパイ。ジュンチャンドラ1の12000点テンパイだ。
待ち。
近藤はこれをダマテンに構える。
直前に松本がを切っていることもあり、拾えそうな待ちであること。
は既に自分の目から3枚見えており、無理してリーチをかける必要はないと判断。
見事にこれをツモアガって4000オールの加点。
2人が抜けられる最強戦セミファイナルのルールにおいて、この4000オールのアガリは非常に大きい。
そしてこのD卓戦は、前評判通りぶつかり合いの展開に。
東1局1本場は、仕掛けの2人に真っすぐに手をぶつけていった桑田が松本に3900の放銃。
しかしその桑田も迎えた親番で仲林から2900を討ち取ると。
続く1本場では2600オールの加点で一気に通過位置へ。
百戦錬磨の選手達を相手に、僅差の勝負では敵わないとわかっているからこそできる、現最強位の腹をくくったリーチ攻勢だ。
東3局2本場
を引き入れた近藤の手が止まる。
いらないのはだが、を切ってしまうと生牌のダブを切ってきている親の桑田に対する安全牌が無くなる上、脇2人に対しても安全牌に乏しくなる。
現状トップ目という有利なポジションにいる以上、ドラドラの勝負手とはいえ、不安定なタンヤオ目一杯には行きにくい。
そこで近藤が選んだのがだった。
チートイツだけは見切って、の受けが広い部分を固定し、手牌に幅を持たせる。
この打牌の良いところは――
こういった安全度の高い牌が来た時に、と入れ替えられることだ。
手牌の安定感を失わずに、押し返しを狙う事ができる。
を引き入れた後に、仲林からドラのが放たれる。
これをポンしてテンパイ、待ちだ。