水曜日のMリーグ
~それは滝沢和典が
魔王のようにツモった日
だった説~
文・カイエ【火曜担当ライター】2025年10月21日
Mリーグがその産声を上げたのが2018年。
ドラフト会議で名を呼ばれた初期メンバーは21人。
3人が7チームに分かれて、初年度を戦った。まだ男女混成のルールもなく、1チーム4人体制でもなかった。

第2試合
東家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
西家:勝又健志(EX風林火山)
北家:萩原聖人(TEAM RAIDEN / 雷電)
此処に集いしは、オリジナル21の4名。
多井と萩原はドラフト1位で指名を受け、麻雀界に与えた影響という点では双璧ともいえる存在。
滝沢と勝又は元チームメート。その歴史をリアルタイムで知る視聴者も、割合的には少なくなってきているかもしれない。それだけMリーグという競技は人口に膾炙しつつある。
あれから7年の月日が流れた。
8シーズン目のMリーグも、すでに各チームが24試合目を迎え、ちょうど5分の1に到達。
長いようで短いシーズン。
光陰矢の如し。
とはいうものの、この日のMリーグは史上最長のロングゲームとなった。
光陰亀の如し。
第2試合の開始は22時10分頃。
第1試合で史上3例目の最多10本場が出現するなど、大激戦が繰り広げられたためだが、そういう日の2試合目は存外、コンパクトにまとまるものである。
だが、この日は違った。
2半荘で40局を数えた死闘は、インタビューやハイライトなどを除いた「対局」だけで日付をまたいだのだった。
ロングゲームには、親の連荘と流局と長考が付き物だ。
この半荘も、2局連続で流局からスタートし、重厚な打ち手たちによる、重厚な展開を予感させた。
東2局3本場
流局2回と、多井の1500点のアガリで迎えた3本場のこの局は、コメント欄やSNSでも、とりわけ言及が多かったハイライトのひとつ。見よ、西家の萩原の手を!

ドラのをヘッドに、赤が2枚。
待ちの高目345の三色となるこのテンパイは、すでに捨て牌3段目の終盤といえども絶好の感触。まして無類の三色好きを公言する萩原のこと。ここは…

??!
切り出したは縦に置かれ、
以外では役がなく、出アガリができないダマテンとした。
これには実況の松嶋桃+プレイヤーズ解説の鈴木優も驚く。

は自身の目から6枚見え。
はもちろん、勝又以外からは
すら今にも切り出されそうだ。しかし、唯一アガれる
は場に2枚切れ。
も2枚切れなら、同巡フリテンなどのリスクを考えても即リー判断となりそうだが…

次巡、萩原はを横に曲げ、ツモ切りリーチを敢行!
奇策に打って出た!

同巡、多井がテンパイを入れる。ドラのを切るか
を切れば、単騎待ちのテンパイ。
もっともは4枚見えており、萩原がツモ切りリーチした宣言牌でもある。
鈴木優「リーチ行くほどのテンションじゃなさそうですけどね」

いや。多井の決断は、ドラの単騎待ちでの追っかけリーチだ!
が、は萩原の手に2枚。3対1の枚数不利な状況で、

高目のを掴まされてしまう。
リーチ・三色・ドラドラ赤赤はハネ満12000点の放銃。
対局終了後に、多井は次のようにポストしている。
ツモ切りリーチ史上
1番高くて1番形の良い役なしリーチが出てくるとは…
東単騎くらいに思ってしまった…なんとか逆転を狙ってみたものの
あと一歩届かず…