女流桜花決定戦大詰めを前に、現女流桜花：清水香織がMリーグをチェック。
対局のクライマックスに思い出したレジェンドの言葉とは？
第2試合
この試合って局数が少なかったんですけど、すごく見応えがありました。
仲林君が東1局にカン
待ちリーチをツモって、今日こそいけるかなという感じでしたけど、東2局から連続で8000放銃。たろうちゃんが
のシャンポン待ちリーチ、仲林君もホンイツの
待ちテンパイが入っていたんですけど、親がマンズに染めていて、とのリーチは余れば出てくるかもという待ちですけど、それをアガれたので、感触は良かったと思います。
東3局、これが黒沢さんの妙手でしたね。が暗刻になって、テンパイを外して四暗刻狙い、黒沢さんらしい手組みだったと思うんですよ。そこで四暗刻になりたいけど、持って来た牌が
だった。
と切っていて、チートイツっぽい捨て牌でもあるけれども、仲林君もチートイだったら単騎ってあんまりないよね。という感じで仲林君も押したと思います。
東4局も激アツでした。仲林君が
リーチ、たろうちゃんが場況が良さそうなカン待ちで追っかけて、岡田さんも粘って粘って、ペン待ちリーチ。
が切りづらい状況で重ねていって、ちょうど
が3枚見えたところでもう一回テンパイ復活、そこでリーチを打ったのもいい判断だったと思います。この局が勝負どころでしたね。ここでたろうちゃんが負けたときに、たろうちゃんも「あれっ」て思ったんじゃないかな。
■たろうちゃんの執念と、長年の経験
ここで競りになって南入するじゃないですか。かなりもつれて、南3局4本場で、たろうちゃんがポン、
ポンのホンイツ仕掛けで向かっていったけど、
を残して
入れてテンパイしたのは、よく残したなと思いました。もっとソーズを引いてくれば落としたと思うんですけど、ちょっともつれた感じがあったから、ちゃんと残した1シャンテン、あの構えがあったからこそ引いたが放銃につながらなかった。
おかぴーはカン待ちで親満確定のリーチを打っていて、場況的にもピンズならいけるんじゃね？と思っていたと思うし、あそこも勝負局っぽいなというところはありました。
あれ、たろうちゃんが一回カンで受けていればアガリがあったけど、になってアガれたじゃないですか。たろうちゃんの技と、競り合いの中で初トップへの執念が見えた、たろうちゃんらしい1局だったな、という感じでしたね。
この試合のたろうちゃん、バック仕掛けが多かったですよね。やっぱり競り合いなので、みんなが出てくるじゃないですか。となると字牌が鳴きやすい状況でもあるし、プラス他から攻められたら字牌のトイツ落としで対応できるから、この競り合いの状況の中で、余計にそういう選択を多用したんじゃないかな、というところはあるかなと思います。字牌が手の内にあると、行くもオリるも、という選択肢が生まれやすい状況にはなるので、みんなが出てくる状況ならわりとバックの仕掛けもアガりやすいというのもある、そこは長年の経験でたろうちゃんが一番よく分かっていて、なおのこと対応したのかなと思います。
■黒沢さんのトップは抑えが効いたからこそ
黒沢さんはたった1回のアガリでトップを死守できるという。でも、うまくまわりながらテンパイも組んだりしていたし、黒沢さんらしい打ち方だったと思いますね。急所急所で当たり牌を止めていたところもありましたし。南3局4本場、おかぴーのリーチにをポロッと打っちゃってもおかしくなかったのに、あの小場の競り合いの中で、親に1回打つと致命傷だとよく分かっているから抑えてたんだと思いますけど、ああいう抑えが効いたからこそ、たった1回のアガリでこの競り合いのトップが取れたんだと思います。
私もガチガチ攻めていくタイプなのに結構オリたりすることもあるので、そうすると「らしくない」と言われるんですけど、背に腹は代えられない部分もあるので。勝つためには、私も大好きな一気通貫を捨てて三色に走ることもありますし、勝つためには「今回ごめんね」と思いながらやっていると思います。
■小島先生の言葉を思い出した
最後ね、たろうちゃんは手が入っていたのに、あの1シャンテンが長すぎ！あれ、受け入れも3メンチャンリャンメンで広いし決め手になる手なんですけど、あれがまさかの、ですよ。そこまでいろいろと自分の培った技を使って小場を凌いであの点数でオーラスまで持っていったのに、あの1シャンテンが長過ぎて、そこで仲林君に
をツモり負けて3着まで落ちると。あれ、配牌もらった瞬間に「これはトップ行けるかな？」と思いますもん。やっぱり麻雀って怖いよね、と思いました。何も間違っていないんですけどね、何の打牌も間違っていなくても、そういうことが起こり得るのが麻雀なんだなと、自分も心に刻みます。
ただやっぱりね、こういうのは1シャンテンが長いときはどうもうまくいかないことが多いんですよ。昔、小島武夫先生から「8巡1シャンテンが埋まらなかったら、その局は勝てると思うな」と言われたことがあって。当時は「あ、そうなんだ」と思って聞いていたんですけど、確かに1シャンテンが動かないときって、その後に手が入っても放銃になっちゃったりとかが多いんですよ。小島先生の言葉ってオカルトのようでそうじゃなくて、8巡もあれば相手の手も育ちますからね。やっぱり、偉人の言葉は大事なんだなと思いました。それだけ経験を積んでいる人の言葉は大事だなと、私はいつもそういうことを心に刻みながら麻雀を勉強していっていますけど、まさにそれだなという感じです。
小島先生の言葉は20年くらい前に言われて、ずっと忘れない言葉なので。安藤満さんとか、昔のレジェンドに言われた言葉は結構いろいろあるので､小出しにしていきますね。
【第20期女流桜花決定戦２日目（５～８回戦）】
８回戦、２日目が終了しました。
最後に古谷はラスも、
「そんなに上手いことが続くわけないですからね。」
と今日は上出来とのこと。清水「粘った。粘った。粘った。
こういう麻雀は得意じゃないんですけどね。
皆さんの応援のお陰で粘れました。」… pic.twitter.com/AGv2SD31GA— 日本プロ麻雀連盟 速報アカウント (@JPML_sokuhou) December 17, 2025
私、水曜日に女流桜花決定戦の最終戦で、今は25ポイント差くらいで2位につけているんです。私は追われるより追うほうが得意なタイプなので、25ポイントくらいはワンパンで変わると思っていますけど、麻雀の巡り合わせとか怖さというのは今日を見ていても心に刻まれたし、それをまた胸に刻んで、最終戦は必ず勝って連覇しようと思っています。
辛くない決勝戦はないし、辛くない対局もほぼないです。最後まで気を抜かず精神力を切らさず、1回のアガリでもトップになれることがあると黒沢さんに勉強させてもらいましたし、それを生かして何としても勝ちます！
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